Zwiftワークアウトを活用して“できるサイクリスト”を目指せ!

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Presented by Zwift Japan

オンラインフィットネスサービス「Zwift(ズイフト)」の中でも、フィジカルを鍛えることに特化した機能であるワークアウト。その有効性や活用方法について、元プロロードレーサーの飯島誠さん・現役プロ自転車レーサーの沢田時選手に教えてもらおう。

Zwiftワークアウトを活用して“できるサイクリスト”を目指せ!

 

飯島誠さんが教えるZwiftワークアウトのポイント

飯島誠さん

飯島誠さん。ブリヂストンサイクルに勤務する会社員。選手時代はロードレースとトラックレースの両方で活躍し、オリンピックには何と3大会出場している。メディア出演やイベント出演も多数で、自転車文化発展に尽力もしている

 

Zwiftを始める最初の一歩』の記事では、これからZwiftを始めたいと思っている人に向けた、導入的内容をお届けした。今回は、限られた時間の中で効率良く・楽しく鍛えたいと考える人に向けた、もう少し踏み込んだ内容だ。

「仕事があり、家族もいる中で、何とか体力を維持するために、近年ではかなりの頻度でZwiftをするようになりました。そして、Zwiftをやるときは基本的にはワークアウトしかやりません」。そう話すのは、選手時代はロード/トラックの両方で活躍した名ライダーであり、現在は会社員として忙しい毎日を送る飯島誠さんだ。

「もともと実走でも一人で黙々とトレーニングする方だったので、Zwiftワークアウトは性に合っています。そうしたタイプの方にはおすすめですし、自分のような長年続けている自転車乗りでも、違和感なく取り組めるものだと思いますよ。

時短効果、外的要因に左右されないこと、そして何より満足感が高いのが大きなメリットです。従来の固定トレーナーや3本ローラーでもやれないことはないですが、オンラインで世界の著名コーチが作成したさまざまなワークアウトを選べることや、滑らかで自然な負荷で乗ることができる点では、圧倒的にZwiftの方がいい。初期投資は必要ですけれど、長い目で見ると十分に元が取れておつりがきます。

ここでは、皆さんにZwiftワークアウトのポイントをご紹介しましょう!」。

 

Zwiftワークアウトとは

Zwiftワークアウトとは

さまざまなスポーツ分野で耳にするようになったが、「ワークアウト」とは特にフィジカルを鍛える運動を指す。自転車の場合はフィジカルを鍛えるトレーニングメニューと考えていい。Zwiftでは目的別でさまざまなワークアウトがそろっており、「●Wであと1分走って」→「30秒レスト走をして」というように、自分の能力に基づいてガイドつきでメニューをこなせ、スマートトレーナーがそのときに最適な負荷をかけてくれる。

 

Zwiftワークアウトのメリット① 短時間で効率良く走れる

「下のチャートでも説明していますが、準備と片付けに時間が掛からないうえ、バイクにまたがってこぎ始めたらすぐ本編となるライドに入れるので、短い時間で効率良く鍛えることができます。ウェアを着たりタイヤに空気を入れたり、信号のない走りやすい場所まで移動したりといったことに掛かる時間って、ばかにならないんです」。

 

Zwiftワークアウトのメリット② 外的要因に左右されない

「インドアなので、雨や風、気温といった天候の影響、時間帯、交通状況などの外的要因に左右されず、いつでも安全に快適に走ることができます。これは、言い換えればノートラブルということであり、目標や予定に対して計画的にトレーニングを組み立てられることにつながるので、時間の少ないサラリーマンライダーにはかなり重要です」。

 

Zwiftワークアウトのメリット③ 満足感が高い

「短時間で効率良く、ノートラブルで確実に鍛えられるということは、達成しやすいということでもあります。達成しやすいから、トレーニングの効果以上に高い満足感が得やすいのです。だから“今日も達成できた。よし、次回もやろう”とポジティブな気持ちで1日を終えられ、次のライドへの継続性につながります。これ、大事です」。

 

実走とは同じ時間でも大きな差が生まれる!

ワークアウトのメリットを示した図

1日約40分時間が取れる場合、実走とZwiftとで生まれるトレーニング本編にかけられる時間とトータル時間の差を表したイメージ図

 

準備時間の差

実走の場合、意外に走り出すまでの準備作業に時間がかかる。Zwiftなら、トレーナーにバイクを据え置きしておけば、準備完了まで早い。服装も最低限シューズとソックスを履き、Tシャツ一枚にサイクリングパンツでもOKだ。

 

フィールドゾーンへのアクセス時間の差

最寄りのサイクリングロードへ出るなど、トレーニングをするにはフィールドゾーンと呼べる場所までアクセスする必要がある。Zwiftなら乗り出せば即フィールドゾーンで、パンクに見舞われたり渋滞にはまるリスクもゼロだ。

 

トレーニング本編にかけられる時間の差

帰宅する時間も考えると、実走の場合トレーニング本編に割ける時間は意外と少ない。Zwiftならずっと脚を止めず走れるので、ウォームアップ、ワークアウト、クールダウンまで、全ての時間を本編として使うことができる。

 

帰宅にかかる時間の差

実走だと帰宅するまでの時間が存在する。ここでトラブルに遭ってしまうと仕事や次の予定に影響が出る。Zwiftならそれがないので、「今日は重要な会議があって遅刻できないからライドしない」という事態を回避できる。

 

後始末にかかる時間の差

Zwiftならバイクは置きっぱなしにできたり着替えや汗の始末も楽だったりと、後片付けの時間も短縮できる。駆動系の汚れもほぼなくメンテナンス頻度も減らせる。実走だと、あれこれするうちに予定時間をオーバーだ……。

 

沢田時選手のZwiftワークアウト活用術

沢田時選手のZwiftワークアウト活用術

Zwiftワークアウトは国内のトップライダーも活用している。彼らがどのように使っているのかはとても気になるところだ。ここではプロ自転車レーサーの沢田時選手の事例を紹介しよう。「なるほど!」と目からウロコの観点だらけだ。

プロ自転車レーサー・沢田時選手

プロ自転車レーサー・沢田時選手。94年生まれ。小学生からMTB・XC(クロスカントリー)とシクロクロスを開始し、16年と20年に全日本選手権シクロクロスで、21年に同MTB選手権XCO(クロスカントリー・オリンピック)で優勝。現在はロードレースにも競技の幅を広げている ※2023年1月現在は宇都宮ブリッツェンに所属しています。本記事は2022年11月取材時の内容を元にしており、写真では当時の所属チームのジャージを着用しています

 

オフロードレーサーである沢田選手だが、オフロード競技にもZwiftは有効なんだろうか?

「いや、むしろZwiftはXCやシクロクロスのようなオフロード競技にこそメリットが大きいんですよ。もちろん、一般のロード系レースにも非常に有効です。こなしたいメニューが、Zwift行った方がやりやすいんです」と沢田選手。それは非常に興味深い。

 

実走は地形に左右される

現在はどのくらいの頻度でZwiftでトレーニングしているのか? そして、Zwiftの方がやりやすいメニューとは?

「週に1回〜2回ですね。最近はZwiftレースに出ることが多いですが、ワークアウトをする場合は自分で作ったものを実施します。

で、僕がZwiftワークアウトをするときの狙いというのが、“外ではできない内容をする”ということです。トレーニングにおいて重要なのが、狙った強度で狙った時間踏み続けるということなんです。

僕は走行環境の良い場所に住んでいますが、それでも地形に左右されて狙った時間・狙った強度を踏み続けるというのは非常に困難です。

XCとシクロクロスでは、よーいドンでいきなり全力走行になり、その後強度は落ちても脚を休ませられるような区間というのが存在しません。そしてまた必要な場面で高い強度でアタックしていかないといけない。つまり、高強度なシーンの後で、脚を回復させつつも決して楽ではないペースで走り続ける能力が求められるわけです。

これに対応するためのトレーニングをするとなると、全開で10秒程度走って、その後そこそこのペースで約2分踏み続けて、それからまた10秒もがいて……を繰り返すような内容となります。

しかし、実走でこれをやろうとすると、途中で下り坂が始まって脚が止まってしまったり、斜度が一定でなくて強度の変化が生まれてしまったりと、すごくやりにくいんです。これが、Zwiftワークアウトなら安定して一定で走れるから、可能なわけです。オフロード競技向けのトレーニングに向いている、と言った理由の一つがこれですね。

ロード系レースをする人でも、強度が上がったときに対応しつつ、次にまた強度が上がるときまで脚を温存しながらそこそこの強度で走る力は絶対必要で、身につけるべきです。最初からガツンとペースが上がるのが苦手な人ほど、Zwiftをやった方がいいと思います。実際、そのレース展開の方が多いですから。

また、みんなインターバル的な練習をやりがちなんですが、途中で脚を休ませる場面が入るので、休み癖がついてしまうんです。結局その後踏めなくなって、そのときにライバルに抜かれてしまう。自分を休ませないためにZwiftでやる、という意義もありますね」。

 

むしろ集中できて飽きない

「もう一つ、Zwiftワークアウトでトレーニングする意義としては、プレイ画面でしっかり数値を見て、適切な範囲を守りながら走れることですね。それが、実走よりむしろ集中してトレーニングすることにつながります。ちょうど自分の目線に画面が来るのが自然でとてもいいんです。実走で数値を見つめるのは危険ですし、サイクルコンピューターの数値は小さくて見づらい。

集中できるからこそ、時間が過ぎるのも結構早く感じます。そして、ワークアウトだと強度の変化があって単調にならないので、きついはきついんですが、意外と飽きがこないんです。そこもいいところです」。

 

そんな使い方も!

「あと、これはZwiftレースの話ですが、60回転程度で高いパワーで走る、なんてこともやります。オフロードの特性上、トラクション確保のために低ケイデンスで高いパワーを出すのが大事になるからです。
これを実走でやるとすごく退屈なんですが、Zwiftレースだと動きや変化があるので、面白いんですよ。こんな使い方ができるのも、オフロード競技にこそメリットがあると言える点ですね」。

Zwiftの活用法は無限大だ!

 

沢田選手オリジナルワークアウト「SSTバースト」にチャレンジ!

沢田流SSTバースト

【ワークアウトのデータはこちら】

沢田選手が取り組み続けている自作ワークアウト。1分50秒のSST(FTPの85%でケイデンスは90rpmが目安)→ギヤを1〜2枚上げて10秒全力ダッシュ(120rpmを目安にパワーというより回転数を上げきるように)→10回繰り返す(これを1セットとする)→レストを挟んで2〜3セット。高強度対応力と次なるアタックに向けての回復力という、2つの能力が身につく。上からダウンロードできるので、あなたの実力と相談しつつ、挑戦してみよう。セット数を減らしたショートバージョンも用意してある。

 

※ワークアウトの使用方法

ZwiftをインストールしたPCが必要となります。上記URLからデータをダウンロードし、Zipファイルを解凍してください。次に、あなたのPC内に存在する「Zwift」のフォルダを探してください。そのフォルダ内の「Workouts」フォルダ内に、あなたのZwift ID番号が表記されたフォルダが存在します。そのフォルダ内に解答した2つのデータを移します。その状態でPCでZwiftを立ち上げ「カスタムワークアウト」を表示させると、こちらのワークアウトが使用できるようになります。また、同時にお使いのタブレットやスマートフォンなどのデバイスにおけるZwiftアプリでも、同アカウントであれば使用可能となります。