ストラバジャパンアワード2021発表 記憶に残るアクティビティを記録したサイクリストたちを表彰

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今回で3回目となる「ストラバジャパンアワード」が発表された。ストラバアワードは、アスリートのためのSNSであるストラバに投稿された国内のサイクルおよびランのアクティビティから、優れた記録を残した人を表彰するものだ。今回の投稿の対象期間は2020年10月1日~2021年9月30日まで。前回とは異なり、時間、距離、獲得標高と、アスリートのストーリーを総合的に見て、4人の受賞者が決められた。また、特別賞もあり、コミュニティに多くのインスピレーションを与えた2人が選ばれている。その中から、サイクリスト3人のコメントを紹介しよう。

トロフィー

 

The Devotee(アクティブ時間の称号):渡辺徹さん

埼玉県在住の渡辺徹さんは2年連続の受賞となった。コンスタントな100kmの通勤ライドによって、移動距離、移動時間はともに日本で1位。

「エベレスティング2回であるとか、ものすごいことをやったわけでもないんですが、先日(プロ野球の)日本ハムの監督に新庄(剛志)さんが就任されまして、その記者会見のときにおっしゃっていた内容なんですけども、いきなり最初から優勝を目指すのではなくて、日々のこつこつとした地道な練習の積み重ねの上に、9月ぐらいになって優勝を目指せるようになっているっていうのがすばらしいなというコメントがありました。こんな賞を私が本当にもらっていいのかなと思う気持ちが、そのコメントを聞いてひょっとしたらいいのかもしれないと思えるようになったんですね。私もいい年なんで、これから優勝を目指すようなことはできないと思うんですけども、これからも地道な積み重ねをしていけたらなと思っております」

渡辺さんは東日本大震災をきっかけにサイクリングを始めた。

「地震が起きまして、夕方まだ明るいうちに(会社を)出たんですけれども、10km以上家まである駅にやっと着いたのが日付が変わる頃で。その頃は子供がいなくて良かったんですが、その後子供ができまして、子供を保育園に預けているときにこんなことが起きたらどうなるんだろうと思ったときに、公共交通機関に全部頼るんじゃなくて、自力で移動できれば一番いいんじゃないかと思って始めたのが自転車なんですね。最初は折りたたみの自転車を買って、最悪電車に乗って帰ることもできるので始めたんですけど、結局面倒くさいのと距離を乗るようになったら乗ってる方が楽しくなっちゃって。結局100kmに伸ばして今に至るという感じです」

1日100kmを続けるモチベーションとそのコースについては次のように話す。

「私にとって100km走ることがモチベーションなんですね。まず100km走るっていうことは決まっているので、それを達成するためにどうしたらいいのかっていうのを考えるのがモチベーションになりますし、結構時間が掛かることなんで、その時間をどうやってひねり出すかっていうのも逆に楽しいというか。普段のコースとしては、浦和を出まして秋ヶ瀬橋から荒川に入りまして、そのまま一気に海まで行って、海からほとんどスタート地点に近い朝霞水門まで戻って、途中ど真ん中ちょっと先ぐらいの江北橋で荒川を出まして、これでだいたい90kmぐらいかな。そこから15kmくらいで渋谷の会社まで行くという感じで走ってます。帰りは会社からダイレクトに荒川まで行って、そこから荒川をちょっと抜けてだいたい30kmという感じです。いま妻が在宅勤務している日としていない日とがあって、していない日は私の子供を送り出ししなきゃいけないんで、その場合にはちょっと短縮コースになって、でもほとんど同じコースですね。なぜ同じコースかと言うと1つにはローカルレジェンド。この設定が非常に荒川は多いので、荒川をとにかく距離走ると数多く取れるというのがあって、去年あたりからそれを続けてまして、9月の終わりの段階では270くらい取ってたと思うので成果はあったのかなと」

来年については、

「何とかレースも開催できそうな感じもあるので、また富士ヒルに出て、過去のタイムよりもうちょっと上回れるように頑張りたいと思います」

渡辺徹さん

 

The Adventurer(オールマイティの称号):遠藤杏奈さん

静岡県在住の遠藤杏奈さんも2年連続の受賞。移動距離、移動時間が1位、獲得標高が3位だったということでオールマイティの称号を獲得した。自転車を始めたきっかけは「弱虫ペダル」だが、ここまで乗るようになったのは旅行が好きだからだという。

「いろんな遠いところに、景色がきれいなところとかご飯がおいしいところに行きたいなっていうのがあって長距離を乗るようになったので、目的地に着ければうれしいので、1分1秒を削るというよりは安全に着くことを重視していて、タイムとかにはあまりこだわっていないんです。けど、旅先の目的地に日が暮れる前に着きたいとか、観光の時間がより長く取れたらうれしいので、そういう意味でより速く走れたらいいなとは思っている感じです」

2021年は怪我に悩んだ時期もあったが、そんな中でも、ナショナルサイクルルートに指定された太平洋岸自転車道1200kmを5日掛けて走破したことが記憶に残っている。

「太平洋自転車道という和歌山の西端から千葉の東端の銚子までつながっているルートがナショナルサイクルルートに選定されて、その大部分が静岡県を通っていて、自分が走り慣れている好きな道を通っているので、こんな道が続いているなら全部走ってみたいなと思ったので計画を立てて走破しました。大変だったのは、一番は天気が過酷で、5日間まとめて休みを取れるのはあまりないので決行したんですけど、5日中3日ぐらいゲリラ豪雨に見舞われて、目が開けていられないぐらいの雨が降るような時間も結構あって、その天気の中 初めての道を走らなきゃいけなくて、フェリーの時間とか宿の時間とかもあったので、そういう天気との戦いが一番大変でした。ゲリラ豪雨が降っていない時間とかは晴れていて天気がいいときもあって、そういうときに見た和歌山の海沿いの湾が入り組んでいる様子とか、そういう景色は本当にきれいで走って良かったなと思いました」

2022年の目標についてはこう話す。

「再来年に開催されるパリ・ブレスト・パリに出るために、来年はブルベの4つのカテゴリーの200、300、400、600kmを全部走破したいなと思っています」

遠藤杏奈さん

 

The Motivator(コミュニティ賞):上田優衣さん

ストラバを使って競技や人生を最も楽しんだアスリートを表彰する特別賞に選ばれたのは、東京都在住の上田優衣さん。ロードバイクは2020年の9月に始めたばかり。そのきっかけはコロナによって通っていたジムが休館してしまい、運動できなくなってしまったこと。ロードバイクを購入して5日目には東京都檜原村の都民の森(ストラバのセグメント)に行って20kmのヒルクライムをした。ロードバイクがきっかけで人生が大きく変わった1年だったという。

「大きく分けて(転機は)3つあると自分では捉えています。1点目はプライベートも仕事も楽しめるようになったというところです。前10年間 小学校の教員をしていたので、チャイムで時間にきっかりな生活をしていたんですね。その仕事はやりがいもあって楽しかったんですけれども、転職したなかでプライベートの時間を持てるようになって、そこにロードバイクに出会って、ロードバイクの楽しさを知って、どうにか1日24時間を30時間ぐらいにできないかなというふうに思って、いろいろと試行錯誤しながらプライベートも楽しめるようになりました。2点目は、人生の転機というよりも、ロードバイクの楽しみ方っていうのがストラバと出会ったことによって大きく変わったなっていうふうに思っています。最初の1か月半くらいはストラバを使ってなかったんですけど、ただただ遠くに行けることが楽しかったのが、セグメントでタイムが縮まったりとか、タイムだけじゃなくて自分ができるようになったこと、ダンシングであったりそういった小さな1つひとつのことが増えていくのが楽しくて、もっともっとロードバイクにのめり込んでいきました。3点目が、ロードバイクをきっかけに今の旦那さんと知り合って先月結婚したんですけれども、それもストラバをきっかけに。私が狙っていたセグメントがあって、そこを一緒に走ってもらって急激に仲が縮まったっていうのがあります」

今後の抱負については次のように語った。

「大きな転機のもう1つとして、私は現在妊娠4か月です。受賞の連絡をいただいたときも、そのちょっと前からロードバイクを全く乗れていない状態だったので1回お断りはしたんですけれども、それでもということで。来年度の抱負としては、子供ができたことはうれしいんですが、自転車を始めて1年でしばらく乗れなくなってしまうので、マタニティスポーツとして何かできることはないかなと思っています。今まで屋外でしか乗ったことはなかったんですけれども、もう少し安定期にしっかり入ったら、ズイフト(バーチャルサイクリングサービス)で妊婦用のライドとかもあると聞いたりしたので、そういうところから。また、高齢出産にあたる年になるので、高齢出産になる方々でも何かできることはあるよっていうのをお伝えしていければいいなと思っております」

上田優衣さん

STRAVA JAPAN AWARD 2021 全6部門受賞者

ランナー

The Mountain Goat(上りの称号)=岩澤たかしさん
距離:7007km
獲得標高:40万3982m
時間:1104時間

The Out-Laster(移動距離の称号)=細川由美さん
距離:7695km
獲得標高:11万9258m
時間:797時間

 

サイクリスト

The Devotee(アクティブ時間の称号)=渡辺徹さん
距離:4万7564km
時間:1871時間

The Adventurer(オールマイティの称号) =遠藤杏奈さん
距離:2万4582km
獲得標高:27万1152m
時間:1034時間

 

特別賞

The Big Deal(アクティビティ・オフ・ザ・イヤー)=小椋裕介さん
ストラバ史上、最も早いフルマラソンの記録を残し、最も多くのKudosを獲得:1回のアクティビティでKudos2913

The Motivator(コミュニティ賞) =上田優衣さん
モチベーションが人生のターニングポイントを生んだアスリート