効率良くFTP UP!! Zwift ACADEMY 2021でパフォーマンス向上!

目次

コロナ禍に甘んじてダラダラと過ごしていたサイクリストが、強くなれるとうわさのズイフトアカデミーに挑戦! ぬるま湯につかりきった体は、はたしてどこまで進化できるのか……? 駆け抜けた1か月の記録がここに。

大城実結身長:163㎝、体重:50㎏、FTP:113W、自転車歴:9年目。本誌ライター。”楽”が付くものが大好物で、峠が大の苦手。普段はツーリングメインだが、時に仲間とレースに出走することも。コロナ禍で失われた筋肉のキレと体力を取り戻したいと密かに野望を抱いていた

ふぬけた我が筋肉たちをズイフトでいじめ抜け!

最近、鏡で自分の体を見るのが怖い。というのもコロナ禍以前と比べて、明らかに脚の筋肉量が減っているのだ。加えてなんだか脂肪も増えた気がする。いろんなところがぷにぷにだ。ただでさえ苦手だった峠が、以前にも増して嫌いになっていた。鈍りきった自身の体に辟易していた矢先、始まったのがズイフトのトレーニングイベント「ズイフトアカデミー」だったのだ。

時に世界中のサイクリストとバーチャルライドを楽しみ、時にトレーニングで自身の限界まで追い込むことのできる室内専用のサイクリングアプリ「ズイフト」。外出制限が続いたこの2年を経て、読者の中には最近始めた人や気になっている人も多くいらっしゃることだろう。今回取り組んだのは2021年8月から10月にわたって開催されたイベント「ズイフトアカデミー2021」。プロを目指す人にとっては才能発掘プログラム、多くのアマチュアライダーにとってはトレーニングプログラムとして参加できるイベントで、短期間で効率的にパワーアップできるのが最大の魅力だ。私の最大の敵は峠道。はたして室内トレーナーで苦手意識を改善し、キレキレの筋肉を手に入れられるのだろうか。1か月の実録をお届けする。

Zwift ACADEMY 2021とは?

2回の測定、6回のワークアウト、2回の回復走で構成されている

2回の測定、6回のワークアウト、2回の回復走で構成されている

トレーニング前後の記録が一目瞭然。どれだけ伸びたのかを可視化!

トレーニング前後の記録が一目瞭然。どれだけ伸びたのかを可視化!

効果的に強くなるための特選ワークアウトが一堂に会す

効果的に強くなるための特選ワークアウトが一堂に会す

2021年8月31日〜2021年10月25日に開催されたトレーニングプログラムイベント「ズイフトアカデミー」。イベント期間中にベースラインライドと6回のワークアウト、2回のリカバリーライド、フィニッシュラインライドの合計10のプログラムを行うことで、自身のパフォーマンスを向上させるのが狙いだ。プログラムを達成することでゲーム内のオリジナルキットがアンロックされるほか、効率的に強くなれるのが最大の魅力。全世界同時イベントなので、世界中のズイフターと励まし合いながらトレーニングに取り組めるのもモチベーションアップにつながる。

ズイフトに必要、あったら良いアイテム

スマートトレーナー:ズイフトは固定ローラーなど幅広い機材に対応しているが、より快適にリアルな走行性を求めるならスマートトレーナーがオススメ。ワフー・キッカーは非常に静かで集合住宅にも

スマートトレーナー:ズイフトは固定ローラーなど幅広い機材に対応しているが、より快適にリアルな走行性を求めるならスマートトレーナーがオススメ。ワフー・キッカーは非常に静かで集合住宅にも

バイク昇降デバイス:ズイフト内のコースの起伏に合わせてフロントが上下するバイク昇降デバイス。特にヒルクライムで真価を発揮し、トレーニングがよりつら〜くもがき甲斐のあるものに大変身

バイク昇降デバイス:ズイフト内のコースの起伏に合わせてフロントが上下するバイク昇降デバイス。特にヒルクライムで真価を発揮し、トレーニングがよりつら〜くもがき甲斐のあるものに大変身

ドリンク:トレーニングをする前に必ず十分な量の水を用意すべし! 通常トレーニングでは500㎖ほどでも良いが、ベースライン・フィニッシュラインライドには1ℓ準備しておくと安心

ドリンク:トレーニングをする前に必ず十分な量の水を用意すべし! 通常トレーニングでは500mlほどでも良いが、ベースライン・フィニッシュラインライドには1L準備しておくと安心

スマートフォンホルダー:スマートフォンのズイフトコンパニオンアプリを活用すると楽しい。今回は市販のホルダーを活用してスマホを目線の位置に設置。グループライドで「Ride on!」しやすくなった

スマートフォンホルダー:スマートフォンのズイフトコンパニオンアプリを活用すると楽しい。今回は市販のホルダーを活用してスマホを目線の位置に設置。グループライドで「Ride on!」しやすくなった

FTP測定:ワークアウトの強度を決める重要な数値

FTPを知ることは効果的に強くなる第一歩

FTPを知ることは効果的に強くなる第一歩

アカデミーのみならずズイフトでワークアウトをする前には必ず自身のFTPを測定しよう。初心者にオススメなのはランプテスト。短時間で測定できるが、もちろんきついので覚悟を

アカデミーのみならずズイフトでワークアウトをする前には必ず自身のFTPを測定しよう。初心者にオススメなのはランプテスト。短時間で測定できるが、もちろんきついので覚悟を

測定結果:FTP 113W PWR 約2.6倍

FTPとは、自分が1時間平均して維持できるワット数(パワー)の最高値のこと。閾値(しきいち)パワーとも呼ばれ、ズイフトではこれを指標に、ワークアウトの難易度を決定している。FTP値が高いほど、インターバル中に表示される目標ワット数も高くなる。そのため自身のレベルに合ったトレーニングを行うためには、必ず事前にFTPテストを実施して、現状のFTPを把握することが大切だ。フルバージョンのFTPテストから簡易版テスト、さらには初心者向けのランプテストなど、さまざまな方法での測定が可能。トレーニング前にまず取り組んでみよう!

パワーゾーンとは?

FTPに基づくパワーゾーン

FTPに基づくパワーゾーン

パワーゾーンは自身のFTP値に基づいてトレーニングの目安となる強度を6つのゾーンに分けたもの。リカバリー(グレー)からエンデュランス(青)、テンポ(緑)、FTP(黄)とゾーンレベルが上がるほどきつくなる。

いよいよズイフトアカデミーに参戦!

トレーニングをするうえで欠かせない知識と、ズイフトに最適な環境を整えれば、早速アカデミーに入学だ!日々ハード、しかし手応えは十分。全力を出し尽くす毎日が待ち受けていた。

トレーニングをするうえで欠かせない知識と、ズイフトに最適な環境を整えれば、早速アカデミーに入学だ!日々ハード、しかし手応えは十分。全力を出し尽くす毎日が待ち受けていた。

ベースラインライド:現状の自分の能力を測定

現状の自分の能力を測定

ベースライン  PRタイム、ミディアム/2:55、ショート/00:34、ロング/13:28

ズイフトアカデミーのスタート時には必ずベースラインライドへ参加することとなる。これはミドル、ショート、ロングと3種類のタイムを計測し、現在の体力値を把握することを目的としており、トレーニング終了後には同一条件でフィニッシュラインライドを実施。3種類のタイムを比較することで、アカデミーでどれだけ力が付いたかを客観的に知ることができるのだ。

ワークアウト#1 VO2 OVER/UNDERS

中〜高強度のヒルクライム対策に

中〜高強度のヒルクライム対策に

最初からなかなかハードなワークアウトで幕開け!序盤に飛ばしすぎると後半持たなくなるので注意。力みすぎてスコアが微妙に

最初からなかなかハードなワークアウトで幕開け!序盤に飛ばしすぎると後半持たなくなるので注意。力みすぎてスコアが微妙に

ヒルクライムが苦手な人に向けたメニュー。VO2max(ゾーンレベル5)を強化すると酸素摂取量が増加し、中強度〜高強度の運動時間を増やせるようになる。ここでは各インターバルの開始時に運動量を急増させ、その後強度をFTP値(ゾーンレベル4)に保つことで高い酸素消費を維持。持久力向上を見込める。

ワークアウト#2 PEAK VO2 INTERVALS

アタック合戦に勝つためのメニュー

アタック合戦に勝つためのメニュー

次々と襲いかかるVO2maxピーク値! 2セット目で「これ最後まで持つのか……?」と戦慄。どうにか完走するも6セット目は意識も怪しい

次々と襲いかかるVO2maxピーク値!2セット目で「これ最後まで持つのか……?」と戦慄。どうにか完走するも6セット目は意識も怪しい

レース終盤のアタックや短く急な上りでのアタックをするために必須のメニュー。このセッションでは各インターバルの序盤でVO2maxのピーク値で負荷をかけ、有酸素系に効果的なレベルを持続。さらに6セット行うことで有酸素能力と乳酸クリアランス能力に負荷をかけ、総合的なリカバリー力も向上させる。

ワークアウト#3  LACTATE TOLERANCE

VO2maxを高めるトレーニング

VO2maxを高めるトレーニング

個人的には最も苦しかったワークアウト。レストを挟むことなくVO2mÅaxとFTPを繰り返せば、終わる頃には脚が生まれたての仔羊に

個人的には最も苦しかったワークアウト。レストを挟むことなくVO2maxとFTPを繰り返せば、終わる頃には脚が生まれたての仔羊に

乳酸耐性を伸ばすことを目的としたメニュー。乳酸を代謝する能力が高いほど持久力が向上するため、タフなレース展開にも食らいつけるようになる。このワークアウトでは、FTP以上の強度で走れるようになることと、VO2maxを高めることの2点を目標に取り組むとなお良し。ちなみに一番キツく感じたメニューはこれ。

ワークアウト#4 THRESHOLD UNDER/OVERS

長時間、高出力で走り続けるためのワークアウト

長時間、高出力で走り続けるためのワークアウト

程良く心拍を上げつつ、走行可能な出力を持続させるのに良い練習となった。ここで初めてFTP出力値の感覚をつかめたのも大きな収穫

程良く心拍を上げつつ、走行可能な出力を持続させるのに良い練習となった。ここで初めてFTP出力値の感覚をつかめたのも大きな収穫

どんな上り坂や丘陵地、地形変化の激しい場所にも耐えられるようになるメニュー。VO2maxまで上げた後、FTP前後の出力を維持することで耐性を向上させる。長時間継続して高出力で走れるようになるワークアウトなので、レースはもちろんだが長距離ライドやツーリングにも効果的と言えるかもしれない。

ワークアウト#5 UPPER THRESHOLD BLOCKS

ラストに強度を上げていくTT向けメニュー。序盤は淡々とこなせるメニューだが、後半のブロックになるとガクンと乳酸値の高まりを感じる。トレーニング後の脱力感がすさまじい

ラストに強度を上げていくTT向けメニュー

序盤は淡々とこなせるメニューだが、後半のブロックになるとガクンと乳酸値の高まりを感じる。トレーニング後の脱力感がすさまじい

序盤は淡々とこなせるメニューだが、後半のブロックになるとガクンと乳酸値の高まりを感じる。トレーニング後の脱力感がすさまじい

TTライダーになるための要素が詰まったワークアウト。前半のセットでは高い強度でスタートするため、乳酸が完全にクリアされず、乳酸値が僅かに上昇する。後半は強度が低いパートから始まるため、ラストにかけて疲労もピークに。じわじわと脚が重くなる感覚こそ強くなっている証拠だ。

ワークアウト#6 FTP BOOST

アタックを想定したワークアウト

アタックを想定したワークアウト

ラストは自身のパワーレベルを機敏にコントロールしつつ効果的に脚をいじめ抜く。無酸素運動後の1分間のレストが良い仕事をするぞ

ラストは自身のパワーレベルを機敏にコントロールしつつ効果的に脚をいじめ抜く。無酸素運動後の1分間のレストが良い仕事をするぞ

レースでのアタックや上り坂で発生する激しい燃焼。このワークアウトでは燃焼を押しとどめ、アタックの後でも出力を衰えさせずハイペースを維持するのに適したメニューとなっている。各セクションはじめの無酸素運動はFTP向上に不可欠な乳酸濃度を高める。レストのおかげで最後まで踏み切ることができる。

フィニッシュラインライド:向上したパフォーマンスを確認

フィニッシュ  PRタイム、ミディアム/ 2:53、ショート/00:30、ロング/2:32(ベースライン  PRタイム、ミディアム/2:55、ショート/00:34、ロング/13:28)

フィニッシュ  PRタイム、ミディアム/ 2:53、ショート/00:30、ロング/12:32(ベースライン  PRタイム、ミディアム/2:55、ショート/00:34、ロング/13:28)

全てのタイムが短縮。さらにFTP 6Wアップ!

今回の最大の目標は、ヒルクライムへの苦手意識を減らすこと。そのために注目していたのが、ベースラインおよびフィニッシュラインライドでのロングでいかにタイムを短縮するかだ。ロングでは約4㎞のヒルクライムが再現されており、実戦さながらの環境でTTできる。ベースラインライドでは13分28秒だったため、『13分を切る』を具体的な目標に掲げトレーニングに取り組んできた。ワークアウトをこなしながら徐々に分かってきたのは、自身の持っているパワーの全体量、いわばバッテリー総量と最大出力値の2点。これらを1か月で伸ばすのはなかなか難しいため、アカデミーでは現在持っている力を「いかに効率的に出し切るか」を考え、パワーの配分をコントロールする練習をした。そしてフィニッシュラインライド本番、ロングでは目標としていた13分切りをどうにか達成。PRタイムの短縮だけじゃなく、FTPも6Wアップしてくれました。ズイフトは効率的なトレーニングメニューが豊富にあるので、これからもトレーニングを続けていきます!