東京発! サイクリング コース3 大島一周ライド

目次

map オゾングラフィックス

「都内」でありながら、非日常的なサイクリングを味わえるのが伊豆諸島だ。なかでも最大の大島は、都心から120kmの洋上にあり、距離約50kmとサイクリングにちょうどいい一周道路が島を取り巻いている。東海汽船のジェット船を利用すれば、竹芝客船ターミナルからわずか1時間45分ほどで着く。

筆島

海中から屹立する筆島を背景に快走。大島一周道路沿いは絶景の宝庫だ

 

コース情報

走行距離 約47km

元町港→(約50分・約9km)→岡田港→(約50分・約8km)→大島公園→(約70分・約12km)→筆島→(約20分・約3km)→波浮港→(約40分・約7km)→地層切断面→(約30分・約7km)→元町港

コースデータはこちら

大島一周のマップ

元町港をスタート&ゴールにして、シンプルに島を一周すれば約50km弱のサイクリングが楽しめる。東岸からあじさいレインボーラインが、西岸からは御神火スカイラインが三原山の中腹へ延びる。かなりの激坂が続くが、健脚の人はコースに組み込んでみよう

 

アクセス

東京(竹芝客船ターミナル)から最短で1時間45分、熱海からはわずか45分で大島に渡ることができる東海汽船の高速ジェット船が一番便利で、揺れも少なくて快適だ。東京23時発で翌5時着の大型客船も時間を有効に使うことができる。調布飛行場からの空路も魅力だが、ダイヤが薄いのが難点。

高速ジェット船

東京・熱海などと伊豆諸島を結ぶ高速ジェット船

ジェット船輪行

ジェット船では輪行袋が必須(大型船も輪行推奨)

 

都心から一番近い楽園へ

島を一周するコースを組む場合、走行車線が海寄りになるように、時計回りに進むのが定番だ。船は西岸の元町港か、北岸の岡田港に着く。まずは南側の波浮(はぶ)港を目指して走り出そう。せっせと走れば一日でも十分に一周できる距離だが、島の魅力をじっくり味わうなら、ぜひ一泊したいところ。ハイキングや釣りなどさまざまなアクティビティと合わせて楽しむのいいだろう。

大島にはコンビニがない。元町港と波浮港にはスーパーがあるものの、日中の補給食などは、東海汽船の乗り場である竹芝客船ターミナルで調達しておくと安心だ。ここでは元町港から北上するコースを組んだが、すぐにサンセットパームラインという海岸沿いの道に出る。大島屈指の広い視界が広がり、火山島ならではのダイナミックな地形が待っている。大島の西岸は坂が少なく、クルマと信号も極端に少ないため、胸が空くような快走が楽しめる。空気が澄む冬場なら、大海原越しに富士山を望むこともできる。

元町港の岸壁

元町港の広い岸壁に上陸。ツバキやウミガメ、乳牛など大島のシンボルを描いたイラストが迎えてくれる

長根浜公園に立つゴジラ像

元町港に隣接した長根浜公園に立つ素朴なゴジラ像。大島は初代ゴジラが上陸したゆかりの地だ

 

サンセットパームライン

元町港から北へ延びるサンセットパームライン

サンセットパームライン

溶岩が作り出した黒い海岸と緑のコントラストが鮮やか

大島空港をトンネルでくぐると、すぐに岡田港だ。天候次第ではこちらに船が着くことも多い。岡田港を過ぎると、泉津(せんず)という小さな集落に差し掛かる。ここでは旧道を進もう。するとツバキがうっそうと茂り、天然のトンネルのような光景が現れる。巨木が伸びる崖を切り通した細道も必見だ。一周道路をそのまま進むと、これらのスポットを見逃してしまうので注意したい。

泉津の切り通し

昼なお周囲を暗くするほどの巨木の間に道が拓かれ、集落の奥へと続いていく。神秘的な光景だ。自転車:ピナレロ・パリディスク(価格39万6000円)

泉津を過ぎると、道はぐいぐいと標高を上げていく。湖の一周とは違い、島や半島の一周にアップダウンはつきものだ。椿園がある大島公園を過ぎてもキツめの上りが続く。公園には貴重な自動販売機があるので、水分を補給していこう。標高が400mに近づくと、ようやく上りはひと段落し、海が望める区間も現れる。「裏砂漠」の入り口もあり、ちょっとのぞいてみるのも面白い。

大島の東岸

東岸は緑のトンネルが続き、人家がない区間も長い。上り勾配と相まって深い山の中を進むようだ

ダイナミックな展望

険しい上り道がひと段落すると、標高差のあるダイナミックな展望が広がる

裏砂漠への入り口

東岸の中ほどには「裏砂漠」への入り口もある。自転車は奥まで行けないので、興味があれば徒歩で

道が下り始めると、あっという間に筆島が見えてくる。海に突き出た高さ30mの岩だ。火口から流れ出たマグマの名残であり、神としても崇められたという。ここまで来れば、情緒豊かな波浮港は目の前。大島一周の中間地点なので、ぜひ一泊したい。サイクリスト歓迎のゲストハウス「青とサイダー」がおすすめだ。人気のキャンプ場もあるが、昨今のコロナ禍で休場が続いている。

大島一周道路沿いのシェルター

一周道路沿いには、土石流から逃れるためのシェルターが設置されている。厳しい自然と隣り合わせだと実感

大島一周道路の標識

以前は細道区間も多かった一周道路だが、近年の再整備や災害からの復旧によって、高規格の道になっている

波浮港

大島南端の波浮港。文人も足跡を残した情緒ある港町だ。見晴し台に立てば箱庭のような情景を俯瞰(ふかん)できる

波浮港の網元の屋敷跡

明治時代、波浮港が全盛期だった頃に建てられた網元の屋敷跡が残る。なまこ壁が見どころ

踊り子坂

波浮の集落は港を囲む崖の上に広がり、踊り子坂と呼ばれる階段の小道で港へ降りることができる(車道で迂回も可)

釣り

釣りの道具

伊豆諸島は釣りのメッカ。東海汽船を利用する人の多くも釣り人だ。サイクリングの合間に釣りを楽しむのもアリだろう

青とサイダー

“アートと自転車のための宿”として人気のゲストハウス「青とサイダー

青とサイダーの人たち

ゲストハウスのご主人や、ご近所の方(家族総出!)とのコミュニケーションに恵まれることも。旅の醍醐味だ

カマスと野菜の唐揚げ

波浮港のゲストハウス「青とサイダー」は調理器具を完備。釣ったカマスを野菜と一緒に唐揚げにしてご満悦

大島西岸のハイライトは、何と言っても地層切断面。大噴火のたびに降り積もったスコリア(黒い軽石)や火山灰が目に鮮やかな縞模様になっており、訪れる者を驚かせる。

大島西岸の地層切断面

美しいカーブと縞模様を描き、「バームクーヘン」とも呼ばれる地層切断面。百数十回に及ぶ噴火が作り出した絶景だ

波浮港から元町港までは距離15kmほどしかないので、一気に走るとあっという間でもったいない。時に一周道路を逸れてみたり、食事処に立ち寄るなど、乗船時間まで思い思いに過ごそう。

大島一周道から分岐する細道

一周道から分岐する細道はグラベル(砂利道)が多い。タイヤが太めの自転車で気ままに進むのが楽しい

元町港周辺の食事

元町港周辺の食事処では、地場産の海産物を活かした個性的な料理を楽しむことができる

元町港

広い堤防が客船を迎える元町港。周囲は大島で一番栄えたエリアで、食事処やスーパーが立ち並ぶ

 

着用シューズ:fi’zi:k TERRA POWERSTRAP X4

走り+αをかなえる万能シューズ

テラパワーストラップx4

自転車はさまざまな遊びを包含できる。乗ってる時も降りた時も快適なシューズを選ぼう

fi’zi:k TERRA POWERSTRAP X4
価格:1万9580円
問:カワシマサイクルサプライ

自転車用のシューズ選びは、自転車本体やウエアと同じくらい大切だ。その良し悪しが走りの効率を大きく左右する。また、レースではないサイクリングでは、歩きやすさも重要だ。

自転車にまたがる時間が長いなら、シューズとペダルを固定できる「ビンディング」と呼ばれるシステムが最良だ。もし、自転車を降りる時間も長いなら、フラットペダルをしっかり踏めるシューズがいいだろう。イタリアを代表するサドルメーカーであるセラロイヤルのアイテムブランド「フィジーク」は、ビンディングとフラットペダル、いずれのシューズも豊富に展開しているので、望むサイクリングのスタイルに合わせて理想的な一足を選ぶことができる。

テラパワーストラップX4とペダル

ビンディングシューズなら、TERRAシリーズが最適。足をぴったり包むPOWERSTRAP X4はロングライドとの相性もいい

乗っている時も降りた時も快適な別モデル

TERRA ERGO RACE(価格1万7380円)は適度な柔軟性によって歩きやすいソールと、カジュアルなレース(靴ひも)が特徴。女性向けサイズも充実。

テラエルゴレース テラエルゴレース

自転車を降りてのアクティビィも楽しむなら、GRAVITAシリーズのVERSOR X6 FLAT(価格1万5180円)がいい。ペダルの食いつきもよく、安心して自転車を操れる。

ベルソルX6フラット

ベルソルのソール

 

今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、他にもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京発! サイクリング」は、都民や近県にお住まいで、自転車通勤や休日ライドによってサイクリングに関心が高まっている方へ贈るコースガイドです。都心から自走圏内、もしくは輪行で1時間〜2時間ほどでアクセスできる関東近郊での、超おすすめなサイクリングコースを紹介します。巻頭では、関東を代表する5つの自転車道を徹底リポート。輪行の方法もわかりやすく解説します。日帰りから一泊二日で楽しめる、自転車をとおした「大人の遠足」を提案します。

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