「散走(さんそう)」とは、一体何ぞや? スポーツではない(?)、自転車を使った新しい遊びを体験してきた!

目次

絶賛発売中「東京サイクリング 23区編」に掲載されてるコースの一部をサイクリングでもない、「散走」を初体験。果たして、その楽しみ方は、アラフィフオヤジに刺さるのか……

聖徳記念絵画館

散走とは何なのか?

「東京サイクリング 23区編」で取材協力いただいた「Life Creation Space OVE」(南青山にオープンして15年になるカフェ&ランチスペース)が提案する自転車の新しい楽しみ方が「散走」だ。散歩の「散」に自転車で走るの「走」。文字通り、散歩感覚で自転車を気軽に楽しむことと想像できるが、実はそれだけではなく、自転車を使って、乗ること「を」目的にするのではなく、自転車「で」何か別のことを楽しもうという提案だそうだ。と、言葉にすると、お固くなってしまうので、とりあえず出発してみましょかね……。

何と出発前に好みのジャンルや食べ物を聞かれるとは……

この日、ガイドをしていただいたのは、OVEの散走スタッフであり、フォトグラファーの中村規(なかむらただし)さん。定番の散走は、歴史、建築物、お茶等々、テーマ毎に募集されているが、今回のように、お客様の好みを聞いたうえでコースを決める、オーダー散走もあるそうだ! 何て素晴らしいホスピタリティなんだと驚く。そして、筆者の大好物は、旧街道とスポーツ。そして食べ物は、辛いのも甘いのもいけると伝えると、ふむふむとうなづきながら、頭の中でコースを描いている様子。こちらは、勝手に期待値を上げることになるが、「大丈夫やろか、中村さん」と顔を覗き込むが不安な様子は一切なく、「わしにまかしとき!」と言わんばかりの余裕の表情だ。

集合場所に手ぶらで行けるのが散走の特徴

OVE散走は、自分のバイクを持って行かなくて良いのと、ヘルメットも用意してくれるので、手ぶらで参加できるのでとても楽チンだ。この日もターンの内装11段(アルフィーネDI2)というレアなバイクを用意していただいた。しかもハンドルを手前にすることで、上体が起き上がり、ふだんのロードバイクでは、見られない景色に出会えますと、中村さんから提案された。「むむっ、何かと新しいぞ!」外苑前を出発して直後。青々としたいちょう並木を抜けると、突然、新国立競技場のお出迎えだ。「中村さん、いきなり私の大好物であるスポーツに焦点を当ててくれたんやろか?」いきなりテンションが上がる。そして、前方に見たことない建物が現れ、私の「あれ、何ですのん?」の問いに対し、中村さんが「絵画館ですわ~。ほな、行ってみましょか!?」といきなりの寄り道。スタートして間なしで走る気満々のテンションにとまどう筆者……。

ターンの内装11段アルフィーネ変速DI2

内装11段(アルフィーネDI2)付きのターン

いちょう並木

スタート直後のいちょう並木に期待値もUP

新国立競技場

初めて見たナショナルスタジアムにテンション↑

明治記念館にある樺太国境標石

聖徳記念絵画館前にある樺太国境標石が生々しい……

明治記念館にある樺太国境標石

新宿区にこんなに路地があるとは知らなかった……

中央線の高架下を抜け、いきなり出くわすのは、細い路地。出発前に好みを聞かれた際、「路地好き」とは、伝えてなかったが、どうやら中村さんも「路地好き」のようだ。次から次へと細い路地を抜けて行く。どこに行くか分からないのが、おっさんのわくわく感を盛り立てる。そして暗くはない「闇坂(くらやみざか)」を上ると最初の目的地「須賀神社」に到着。ここは、アニメ映画「君の名は」のエンディングシーンとなったそうだ。ちなみに筆者は、アニメにまったく興味がないが、今回一緒に参加した「東京サイクリング 23区編」の田村編集長(大のアニメ好き)の好みに合わせたようだ。

路地

路地から路地へと

路地
路地
暗闇坂

暗闇坂は、都内のあちこちにあるらしい

須賀神社

須賀神社(東京都新宿区須賀町5番地)

「君の名は」ラストシーンの聖地

「君の名は」ラストシーンの聖地はここらしい。今だに撮影に来るファンが絶えないそうだ

サイクリングとバッセンのコンボ最高!!

その後も大通りはほとんど使わずに裏筋の路地をくねくねと走り、内藤正勝の墓がある太宗寺や多武峯(とおのみね)内藤神社等、新宿に所縁のある寺社を回った。そして、お楽しみのランチは中村さんから「韓国料理とトンカツ茶漬けのどちらがいいですか?」の投げかけに、一瞬戸惑いながらも、トンカツ茶漬けをリクエスト。揚げ物にお茶をかけるとは、まったく想像できなかったが、意外にあっさりして、おいしかった。
お腹いっぱいになった後に待っていたのは、まさかのバッセン(バッティングセンター)だった。
出発前に中村さんから好みを聞かれていたことを思い出し、めちゃくちゃテンションアップの元高校球児は、2ゲームをこなし、満足顔で次へと向かった。

太宗寺の塩かけ地蔵

太宗寺の塩かけ地蔵は、だいぶ不気味だ(東京都新宿区2-9)

トンカツ茶漬けの「すずや新宿本店」

トンカツ茶漬けの「すずや新宿本店」(新宿歌舞伎町1-23-15SUZUYAビル5F)

新宿バッティングセンター

新宿バッティングセンターは、1ゲーム300円で楽しめる(新宿区歌舞伎町2-21-13)

新宿の階段

この界隈は、このような階段が多く見られる

新宿駅近くの閉店した銭湯

純和風建築の銭湯が新宿駅近くにあったが、残念ながら閉湯していた

新宿の激渋アパート

激渋アパートには、住人がいる雰囲気があった

甲州道中一つ目の宿場町である「内藤新宿」を学ぶ

やはり後半戦も路地から路地をめぐって、新宿の歴史と文化を学べる「新宿歴史博物館」へ。
今月末から「旧街道じてんしゃ旅」シリーズ第三弾となる「甲州道中」へと旅立つ筆者としては、日本橋から一つ目の宿場町である「内藤新宿」を予習できて良かった。ゴール間際には、「東京三大たい焼き」のひとつ「たい焼き わかば」でたい焼きをいただいた。
気がつけば、私の好物である旧街道とスポーツを組み合わせた「散走」を自転車「で」楽しませてもらったことに気づいた。「散走」恐るべし……。

「内藤新宿」宿場町の模型

新宿歴史博物館にある「内藤新宿」宿場町の模型(新宿区四谷三栄町12-16)

たいやき わかば

行列のできる名店「たいやき わかば」(新宿若葉1-10)

直線距離わずか4kmを4時間半で走る散走

直線距離4kmを何と4時間半掛けるとは、何て贅沢なサイクリングなんやろ……。ただし、20か所ほどの珍スポットや食事、スイーツを徒歩「で」巡ろうと思ったら、ぞっとするが、自転車「で」巡れば、誰でも簡単に楽しむことができる。また、古くて味のある建物を見るたびに、「中村さん、写真撮らせて~!」と言って、ちょこちょこ止まってくれるのも散走の魅力だと感じた。ちなみにこういうサイクリングは、やはりガイド付きをお勧めする。「散走」は最近まで、コロナ禍でイベントは自粛されていたが、今年は少しずつ活動を開始するそうだ。気になる方は OVEのホームページをチェックしてみよう!

フォトグラファーの中村規さん

ガイドをしてくれた中村さん。写真家だけあって、撮られるのはめちゃくちゃ苦手らしい(笑)。前述の「東京サイクリング 23区編」でコース提供していただいた

問・Life Creation Space OVE
港区南青山3丁目4−8 KDXレジデンス南青山
TEL:03-5785-0403
営業時間:10:00〜18:00 ※現在時短営業中
定休日:月曜 ※祝日の場合は、翌日定休日

 

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