タイレルほど折りたたみ自転車界に新鮮な驚きを与えたブランドはない。2005年、突然変異のようにスタイリッシュな小径車でデビューを飾り、その5年後に満を持して投入した折りたたみモデルのFXが再び話題をさらった。廣瀬将人氏という天才（としか言いようがない）が手がけた各モデルは、讃岐（香川県）発というローカル色をアピールしつつ、デザインは超モダン。しかも圧倒的な走行性能を見せつけてくれる。その最新バージョンがFSXである。

「完全にロードコンセプトの折りたたみ自転車。大口径の軽量アルミパイプを使って剛性を確保するなど、走行性能の追求に妥協がありません。折りたたみにはひと手間かかりますが、とにかく距離を走りたい人やレースも考えている人がユーザーとして多いですね。折りたたみと速さを同時に求めた欲張りなモデルです」（鈴木潤）

眺めるだけで風を感じるようなスマートなデザインがタイレルの持ち味。そして走れば期待通りの快速性能を発揮する。見た目も走りも折りたたみ自転車の常識を変えたモデル

価格/36万6000円（シマノ・アルテグラ仕様)、32万8000円（シマノ・105仕様）、31万9000円（シマノ・ティアグラ仕様）、19万1000円（フレームセット） *いずれも税抜。他にフラットハンドルやDi2仕様の設定もあり

SPEC
フレーム●7005アルミ・ダブルバデッドチューブ
フォーク●カーボンモノコック
コンポーネント●シマノ・アルテグラ他 11スピード
ギヤ●53-39T×11-28T（歯数変更可能）
タイヤ●シュワルベ・デュラノ 20×1.1インチ
カラー●せとしるべルビーレッド、ムーンリット ナイト ブラック他（カラーオーダー可能）
撮影車両実測重量●9.8kg
標準仕様公称重量●9.3kg

あふれ出すタイレルらしさ

乗った瞬間に「タイレルだ」と感じるほどシャープな走り。どこにも無駄がなく、遠くへ走ることに集中できる。整った路面でのスムーズな加速感や高い直進安定性は、本書で紹介している20モデル中トップクラス。フレーム全体の硬質さと細い高圧タイヤが相まって荒れた路面では伝わる衝撃が強いが、それは速さを求める自転車の共通事項。折りたたみ自転車特有の「のんびり」感とは無縁だ。輪行が簡単にできるロードバイクと考えるのが正解に近いだろう。