お外ラーメンを、失敗せずにつくれるクッカー選び【アウトドア道具好きおじさんの自転車キャンプTips 第3回】
目次
第1回ではストーブを選び、第2回で実際にストーブでの湯沸かし、コーヒードリップを行った。外で湯沸かしができるようになれば、好きな場所でカップ麺が食べられる。さらにフリーズドライ食品のリゾットや炊き込みご飯、パスタ等もお湯だけでつくれて、案外美味しくいただけるので、是非試してみてほしい。アウトドアショップやスーパーマーケットの防災品コーナー等で販売されている。
今回、そして次回の第4回では、ストーブを使った調理をしてみたい。とはいえ、慣れない環境で、慣れない道具で、失敗なく調理ができる人は、稀だ。そこで、まずはインスタンラーメンをつくることからはじめてほしい。簡単に思うかもしれないが、クッカー選びを間違えると、簡単ではないどころか、粉っぽい上に、火傷や筋肉痛にもなる可能性が高まる。ポイントは、容量とカタチと材質だ!

●アウトドアライター、野外道具案内人・PONCHO。登山やアウトドアの雑誌&ウェブメディアで、最新ギアのレビューや魅力的なコースについての多数執筆。折りたたみ小径車でのキャンプツーリング経験も豊富。無類のアウトドア道具好きで、その探求に明け暮れている
インスタントラーメンからはじめよう!
キャンプで食べる食事。その定番として多くの人が思い浮かべるのは、BBQだろう。またはカレーライスかもしれない。でも自転車キャンプでまずつくってみてほしいのは、インスタントラーメンだ。
なぜか?
BBQは時間が掛かる。炭熾しもそうだし、炭の後始末に手間が掛かる。カレーライスは、ストーブでご飯を炊くとなると、経験が必要だ。火力調節、蒸らしのタイミングを間違えずに、はじめての炊飯で美味いご飯になる確率は、かなり低い。みんなが簡単だと思っているカレーだって、炒めて、煮て、ルーを入れたらコゲないように混ぜて、火力調節も必要。ストーブやクッカーの扱いに慣れていないと、誰でも失敗なしのカレーを失敗する確率は高いのだ。
それに、僕たちがこれから楽しもうと思っている自転車キャンプは、食事をする場所まで、自転車を漕いで行くことになる。いつものツーリングのように軽い装備なら、50キロくらい漕いでも、疲れもしないだろう。ところが、重さ10キロのキャンプ装備を積載、背負って走ると、いつも以上に身体を使い、距離20キロくらいでも案外疲れる。
その疲れた身体で、テントを設営して、調理器具をセットして、調理をするんだ。それが初めての自転車キャンプだとしたら、たぶん調理を諦めて、コンビニや飲食店に向かうことになる人、案外多いと思う。
そうならないために、まずは湯を沸かし、麺を茹でるだけでできる、インスタントラーメンをつくることからはじめてみることを提案する。
キャンプは無駄を削り美しさを求める戦略
BBQやカレーとの違いは、手軽さだけではない。
1人前がわかりやすいことも大きな理由だ!キャンプ慣れしていない人の調理の傾向は、量の加減ができないことなんだ。大抵は多すぎて、食材をあまらせてしまうんだよね。あまると持ち帰るのが面倒になったり、重い、腐りそう、すでに臭い!という理由で、キャンプ場に捨てる、途中の道の駅のゴミ箱に廃棄……なんてことを考えがちだけれども、それは絶対にNG。自宅まで持ち帰ろう。
それが嫌なら、あまらせないこと!ちょっと少ないかな……くらいにしておけばいい。
そもそもアウトドアで遊ぶというのは、日常生活で溜めてきた「無駄」をどこまで削れるかの戦略を試すこと。
キャンプの基本を表すコトバとしてよく使われる「立つ鳥跡を濁さず」、「来た時よりも美しく」。それはキャンプに限らず、ヒトとしての美しさを自分自身に求めるもの。例えば上画像のようなハンモックテントを使えば、跡さえ残らない。道具選びは、美しさを具現化する戦略の基本。
食材をあまらせてしまう人は、キャンプ道具選びにも無駄が多い。必要のないモノも持って行きがち。装備も重くなって、疲れがち。でも。キャンプに慣れていなければ、それは当然のこと。だって、なにが必要で、不必要かは、経験で判断するしかないのだから。
デイキャンプツーリングや自転車キャンプの経験を重ねることで、無駄がわかり、それを省けるようになり、僕たちはシンプルに、美しい時間を過ごせるようになる。
ユーティリティさを知るためのインスタントラーメン
さて、1食分の量が明確なインスタントラーメンは、無駄がない。もし自転車を走らせてお腹が空いてしまうことがわかったら、次からトッピングを増やしたり、お湯を注ぐだけでできるフリーズドライご飯のチャーハンなんかをプラスすれば、無駄なく、美味しく、満腹になれる。
そうやって、自分の量を知っていけば、朝昼晩でなにを、どれだけ食べたらいいのかがわかってくる。食糧計画を立てることに慣れてくると、要不要の判断ができるようになる。さらには使い回しを、考えられるようになるんだ。
夕飯に使ったハムは、翌朝は細かく刻んでリゾットに入れよう。
もやしの半分とチャーシューを使ってお好み焼き風にしてもよさそうだ!
ホットサンド用のプチトマトは、タンタンメンにトッピングするのもありかもしれないなぁ。
という、考えから生まれたのが、上画像の、ラーメンスープ雑炊。あまりがちなラーメンスープに、フリーズドライの白米を投入。フリーズドライの白米は、お湯で戻すのが通常だけれども、ラーメンスープに入れて、ストーブで炊けば、短時間でできあがる。その白米も、売られているままのパッケージで持って行くのではなく、自転車キャンプの行程に合わせてジップロック袋等に移し替えておいて、食事ごとに必要分を戻せば、無駄がない。
こうした「使い回し」の思考、「ユーティリティ」な食材や道具を見つけるアイデアこそが、キャンプ道具選び、装備の軽量化の基礎になるのだ!
ラーメンクッカーはヨコ型の浅鍋がいい
使い回しとは、複数の使い方をすること。本来、それ用を謳われていなくても、自分が思い付いたアイデアで、使ってみることだ。正解かどうかは気にしない。とりあえず、試してみる。
例えば、クッカー。ストーブ本体やガス缶、カトラリーを収納するケースとして無駄なく使うスタッキングについては、前回に解説した。そのスタッキングを、インスタントラーメンをつくる目的で応用すると、クッカーは麺が割れないように持ち運ぶケースにできる。
ただし、コレができるのは、ヨコ型の浅鍋や平鍋と呼ばれる直径の大きなクッカーだけだ。
ひとり用のソロクッカーと呼ばれるタテ型の深鍋だと、乾麺の大きさよりも直径が狭く、割らない限りは入れられない。
そう、割らないと入らないので、深型ソロクッカーでインスタントラーメンをつくると、麺が短くなってしまう。
これが浅型クッカーであれば、割り入れる必要がないので、美味しい長さのまま、ズルズルっと啜ってラーメンをいただける。ラーメンケースとして使わないとしても、割らずにインスタントラーメンをつくれることは、浅型クッカーを選ぶ大きな理由になると、ラーメン好きは思うのだ。
浅型クッカーは、容量十分なところもイイ!
浅型クッカーの多くは、容量が1L以上ある。この大きめな容量も、浅型クッカーがラーメンづくりに適している理由だ。
インスタントラーメンをつくるのに必要な水は、約500ml。だとすると、クッカーの容量は700~800ml程度あれば十分だろうと思うでしょう。でも、実際はそうじゃないんだ。
上画像は、浅型クッカーのSOTO(ソト)/チタンポット1100。
容量は1100mlあるので、500mlの湯が沸騰しても、余裕がある。少し火力を弱めて、乾麺や具を投入しても、問題なく煮込める。深さのない鍋なので、柔らかくなってきた乾麺が対流しやすく、箸でかき混ぜもしやすい。直径も大きめで、ストーブの五徳上で安定感があるのも、利点。
こちらは、MSR/セラミックソロポット。
容量は1300ml。SOTOよりも直径が大きく、高さは同等。500mlの湯が沸騰しても、まるで問題なし。箸を使ってかき混ぜる際に、クッカーの縁に指が触れにくいのもポイント。
調理がしやすい!
これはゼインアーツ/チタニウムポット950。
容量950ml、浅型ではない。とはいえ深型でもなく、その中間の寸胴型なので、沸騰しても余裕がそれなりにある。実際にインスタントラーメンをつくってみると、この寸胴型950mlが、面倒なしでつくれるギリギリの容量と形状に思える。
これは深型クッカーのエスビット/チタニウムポット750ml。
容量は750ml。500mlの湯沸かしなら問題ないけれど、この沸騰状態だと、火力調節をしても、インスタントラーメンを茹でるには、ちょっと余裕がない。しかも吹きこぼれないように火力を弱めると、麺が対流しにくく、くっついてしまうんだよね。
クッカーは106gと軽くてよいのだけれども、くっついて粉っぽいラーメンを食べて気持ちは重くなりがち。
という経験をして、僕はこのクッカーでの調理は諦め、湯沸かし用に活用している。
最後に、深型で重量76gと超軽量のエバニュー/Ti SOLO pot NH(チタンソロポットノーハンドル)。
容量550ml。500mlの湯を容量550mlのクッカーで沸騰させれば、こうなるよね。
これでは、弱火にしてもインスタントラーメンはつくれない。フリーズドライ食品やカップ麺、コーヒーの湯を沸かすクッカーとして、軽さを生かして使いたい。
ラーメンクッカー・オススメ3選。まずは軽さ重視モデル!
実際に湯沸かしした状態を見れば、どれがオススメかはもうわかったと思うけれど、それらをもう少し詳しく紹介していこう。
まずは軽量チタン浅型クッカーだ。
最初にオススメしたいのは、SOTO/チタンポット1100(6820円)。
重量112gのチタン製。1100mlの容量で、この軽さは驚きのスペック。それを可能にしたのは、板厚0.3mmという薄さ。手で押すと簡単に形が変わるのでちょっと強度に不安があるのだけれど、約3年使っていて、問題になったことはない。とはいえ、パッキングには気を遣っているのも事実。軽さの利点を享受するために、慎重な取り扱いは必須だ。
大きさは、袋麺を収納できるもの。一体型ストーブなら本体と110ガス缶を収納可能。でも、分離型やCB缶ストーブだと、ストーブ本体か小型ガス缶のどちらかしか入らないので注意!
このクッカーのよさは、別売で専用の保温収納袋、コジー1100が用意されていること。
保温性に長けたアルミ蒸着シートを装備した袋で、ラーメンの温かさを保って、最後まで美味しくいただける。しかも丼のように手で持てるのがサイコー!指を通せるストラップも装備されていて、安定感もあるんだ。
クッカーを手持ちできるって、ラーメンをいただくのに結構大切なこと。熱いクッカーは素手では持たない。では付属のリフターを使えばいいと思うだろうけれど、小さなリフターでクッカーを掴んでラーメンを食べるのは、かなり難儀。重さですぐに手が痛くなって、ラーメンに集中できなくなるんだよね。
でも、コジーを使えば手持ちは可能!
このコジー、チタンポット1100の専用と紹介したけれど、同じくらいのサイズのクッカーなら使い回しもできる。
次に紹介するMSRのクッカーにも、僕は使い回して熱々ラーメンを手持ちで味わっている。
沸騰時間の短い、アルミ製浅鍋!
着脱できるハンドルを装備。大きめハンドルなので、それほど重さを感じずにラーメンを食べられるのが、MSR/セラミックソロポット(1万2100円)だ。
でもクッカーひとつで1万円オーバーと、なかなかの高価モデル。重量も208gとチタン製クッカーに比べると結構重いという難点はあるけれど、それをくつがえす使い勝手のよさを装備している。
ひとつは、熱伝導率の高い素材のアルミ製なので、沸騰時間が短いんだ。
500mlの湯の沸騰時間を計測した結果は以下の通り。
MSR/セラミックソロポット 3分13秒
SOTO/チタニウムポット1100 3分35秒
ゼインアーツ/チタニウムポット950 4分00秒
エバニュー/Ti SOLO pot NH 4分21秒
浅型は深型に比べてストーブの熱を効率よく受け止めて水に伝えられるので、直径が小さい深型より、直径の大きい浅型のMSR、SOTOの方が、沸騰時間が短くなる。
さらにMSR以外は、すべてチタン製。アルミは熱伝導率が高いので、ほぼ同じサイズのSOTOよりもMSRの方が、沸騰時間が短い。上画像は左がMSR、右がSOTOだけれども、MSRは鍋底全体から沸騰時の泡が出ているけれど、SOTOは中心部から泡が出ているのが、熱伝導率の違いを表している。
この違いは、乾麺への火の入り方にも影響。アルミ製のMSRの方が、茹で上がった麺が美味しい。でも、熱伝導率が高いので、できたてラーメンのスープをクッカーに口をつけて飲もうとすると、「熱っ!」と火傷の可能性があるので気を付けたい。
ちなみに、アルミ製クッカーは沸騰時間が短いので、ストーブの燃料の節約にもなる。それによる重量差もあるが、長い目でみると、燃料代を安くできるメリットもあるだろう。
MSRのクッカーは、内側にコゲつき防止のセラミックコーティングが施されているのもポイントだ。インスタントラーメンをつくるのにコゲつきの心配はないけれど、食べ終わった際に、油分をサッと拭きとれるのは、キャンプではかなり助かる。
それに、インスタントラーメン以外の料理をつくるなら、アルミ製でコゲつき防止加工されたこのクッカーは、間違いなく使い勝手がいい。フライパン的に炒めものをしたり、煮込み料理をつくる時には、このクッカーが機能してくれる。
使いやすさがデザインされたチタンクッカー
ちょっとフツーと違うチタン製クッカーが、ゼインアーツ/チタニウムポット950(4400円)。
容量950mlで、重量120g。チタン製で十分に軽いが、しかし軽さに特化はしていないのが特長だ。
敢えて0.4mmのちょっと厚めのチタンを採用。先に紹介したSOTO/チタニウムポット1100が0.3mm厚で柔らかさを感じるのとは違い、わずか0.1mmの厚さを増しただけで、しっかりとした強度がある。
サイズ、形状も絶妙。250ガス缶も収納できる、直径121×104mm。それは深型と浅型の中間的寸胴タイプ。乾麺を茹でるのに、容量に余裕があり、ストーブの火を鍋底全体で受け止められ、対流も起こりやすく、麺がくっつきにくい。
沸騰時間はやや長めだが、その反面、熱伝導率が低いので、調理後間もなく、直接口をつけてスープを飲むことができる。これ、結構ありがたい!
ハンドルも持ちやすく大きめで、ラーメンを食べる際に握っても、指に食い込む感じもない。ストーブに掛けている時も、比較的熱くなりにくい構造になっている。
さらに細かいことをいうと、フタのクリップのようなツマミが素晴らしい。バネのような感覚で起こしたり、寝かせたりでき、ツマミの円部分が、指にしっくり馴染む。軽さと機能性とを併せ持つ、すぐれたデザインといえる。
同クッカーシリーズは、このチタニウムポット950以外に、チタニウムマグ350、チタニウムワイドマグ450、チタニウムポット600があり、それらはすべて入れ子状にスタッキング可能だ。全部を持って行ってもよいし、ラーメンだけなら950、コーヒーを楽しむなら600と350というように、自分なりの組み合わせで使えるのがいい。
950と450なら、一体型ストーブ本体、110ガス缶をスタッキングできるので、僕はこの組み合わせでラーメンとコーヒーの湯沸かしに使うことが多い。
チタン製でコゲつき防止加工もされていないので調理向きではない。でも、コーヒーを飲み、インスタントラーメンやレトルト、フリーズドライ食品を食べるのに使うなら、このクッカーのバランスのよさに、きっと感心するだろう。
今回はココまで。次回は春の房総半島で、はまぐりラーメンをつくるぞ!
ラーメンクッカー、どれか興味を持ったものはあっただろうか?
次回は今回オススメしたなかから、SOTO/チタニウムポット1100を使って、はまぐりラーメンをいただくレポートをする。
デイキャンプツーリングをしたのは、房総半島の里山から海沿い。春を感じる旅は、やさしい時間に満ちていた。
ではでは、今度の休み、自転車キャンプに行こうよ!






































