ロードバイクでロングライドするときに知っておくべき「自分のラクレベル」
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ロードバイクで長い距離を走ることは、このスポーツの醍醐味の一つ。しかし、ペース配分に失敗して後半で失速したり走りきれなくなってしまう人は多いのではないでしょうか。そんなロングライドを安定して走り切るために、ぜひ知っておきたいのが「自分のラクレベル」。達人にそのコツを教えてもらいました。

ロングライドでは速さより“続けられる強度”が大事

今回のアドバイザー/山本和弘さん。愛称カズ。2015年までプロライダーとしてロードとオフロードの両分野で活躍。現在はキャノンデール国内正規代理店のインターテック社に勤務しつつ、国内外のレースやイベントに参加しながらサイクリングの魅力を発信しています。
ロングライドでは、つい周囲のペースや速度表示に引っぱられがちです。しかし大切なのは、今の自分にとってその強度がどれくらいラクなのかという感覚です。
特に100kmを超えるようなロングライドでは、序盤で「少し速いけれど行けそう」と感じるペースでも、後半になって一気に失速してしまうことがあります。だからこそ、自分の体感を基準にして、どのあたりが無理なく維持できるゾーンなのかを把握しておくことが、完走への近道になります。
サイクリングにおける「5つのラクレベル」とは?

サイクリング中の運動強度を5段階で整理できるようになりましょう。図ではピラミッド状に示され、下に行くほどラク、上に行くほどきつい構成です。この運動強度の感覚をまずは自分の中で確立することこそが、ロングライドを成功させるための重要なカギとなります。
LEVEL1:すごくラク

ベースとなる最低強度は、リラックスしてただ脚を動かしているだけの、ゼロ負荷のイメージです。走りながらでも会話が途切れずに続けられるような運動強度です。
この一つ上のレベル2はいわゆる「脂肪燃焼ゾーン」で、軽く脚を回せる程度の快適な負荷の運動強度になります。レベル2でも踏んでいるという意識はなく、会話もしつつラクに走れるゾーンです。
より距離の長いロングライドでは、レベル2で走る割合を増やすようにペーシングしましょう。
LEVEL3:ちょうどいい

いわゆる「有酸素運動ゾーン」と呼ばれる強度で、脚に適度な負荷がかかっている状態です。会話を続けるのは少しつらいですが、同じペースを何時間も維持できる程度の運動強度になります。
瞬間的な感覚としては意外とラクに感じるため、初心者はもっと高い強度をレベル3だと思ってしまいがちです。しかし実際には、自分がレベル3だと思う強度で50kmほど走り、ペースを維持したまま走り切れるかどうかを確認してみましょう。
ロングライドではこのレベルが原則として最大の強度になります。
LEVEL5:かなりキツい

ほぼ限界の負荷で、30秒持つか持たないかという運動強度です。ロードレースでアタックやスプリントをしたり、逆に集団からちぎれる寸前のイメージになります。
順位を競うレースであれば鍛えておきたい部分ですが、距離が相手になるロングライドでは原則として使わない強度です。むしろ、この強度に入らないように走る必要があります。
一度このレベルに入ってしまうと体にダメージが確実に残り、ロングライド後半のペースメイクに悪影響が出る可能性があるため注意しましょう。
ロングライドでは原則LEVEL2〜3で走りましょう
ロングライドで意識したいのは、LEVEL2からLEVEL3の範囲です。もちろん坂やストップ&ゴーの多いルートでは一時的にLEVEL4に入ることもありますが、全体を通して見ると「ラク」「ちょうどいい」と感じられる範囲でまとめることが、長く走るうえでは理にかなっています。
特に序盤は身体が軽く感じやすいため、気づかないうちにLEVEL4寄りまで上がってしまうことがあります。最初の数十分ほどは意識的に抑え、自分が本当にラクだと感じる範囲で走ることが、後半の余裕につながります。
“自分の感覚”を基準にすると失速しにくい
この考え方の良いところは、速度やパワー計の数値だけに頼らず、その日の体調やコース状況に合わせて強度を調整しやすいことです。「今日はLEVEL2で巡航できているか」「いまはLEVEL3を超えていないか」といった、自分の感覚を基準に走ることが重要になります。
ロングライドを成功させるには、ただ脚力を上げるだけではなく、どの強度なら最後まで保てるのかを知ることが大切です。それを走りながら判断できるようになるだけでも、ペース配分は大きく変わります。自分なりの“ラクのものさし”を持てば、無理なオーバーペースを防ぎやすくなり、結果として快適に長距離を楽しめるようになります。
速く走ることだけがロングライドの正解ではありません。最後まで余裕を持って走り切るために、まずは自分の「5つのラクレベル」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。











