ロードバイクは本当に高くなったのか? 10〜30万円のロードバイクの世界を改めて見てみたら、実は「いま一番面白い価格帯」だった
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「ロードバイクは高くなった」。ここ数年、自転車界で何度も聞くようになった言葉だ。確かにハイエンドモデルの価格は上がり、かつての感覚では手が届きにくい存在になった。しかし、その一方で見落とされがちな世界がある。30万円以下、「エントリーロードバイク」と呼ばれるレンジだ。
現在発売中の『サイクルスポーツ4月号』では、この価格帯のモデルをまとめたカタログを掲載した。各ブランドのラインナップを一覧にしてみると、そこには思っていた以上に多彩な選択肢が並んでいた。本当にロードバイクは「高くなりすぎた」のか。それとも、見ている場所が変わっただけなのか。
そんな疑問をきっかけに、自転車ジャーナリストの大屋雄一、オンロードもオフロードも強いフィールドサイクルの野中店長、そして本誌編集長のエリグチの3人で、この価格帯について改めて語り合った。
「30万円以下のロードバイクはどうなの?」
野中店長:今回30万円以下のロードバイクをまとめて一覧してみて改めて思ったんですけど、この価格帯って結構可能性ありますよね。28Cタイヤが標準になってきているし、30万円に近いモデルだとシマノ・105(機械式)が組まれていたりもする。昔の「エントリーモデル」とはだいぶ違ってきているなと感じました。
エリグチ:そうなんですよ。サイスポに寄せられるコメントを見てると「自転車が高くなった」「もう買えない」っていう話はすごく多いじゃないですか。でも今回30万円以下をちゃんと見てみたら、思っていた以上に豊潤な世界だったんですよね。
大屋:一覧にしてみると「あれ、こんなにあるんだ」ってなりましたよね。
野中店長:むしろ「これもあったのか」「あれもこの価格だったのか」って感じでした。名前は知っているけど、こうして並ぶと改めて気づくというか。
エリグチ:僕もそれ思いました。この価格帯、各ブランドがめちゃくちゃ頑張ってますよね。
大屋:そうですよね。
エリグチ:単に安いモデルを置いてます、という感じじゃなくて、ちゃんとブランドの入口として作っている印象があります。
野中店長:ショップ目線でも、それはすごく感じますね。最初から50万とか60万のロードを探している方ばかりじゃないんですよ。むしろ最初の1台としては、20万円前後で考えている方が多いです。
30万円くらいの予算で来店されても、「最初の1台ならアルミフレームで20万円くらいにして、残りでヘルメットとかウェアをそろえましょう」っていう話は普通にあります。
大屋:やはりそこがボリュームゾーンなんですね。
野中店長:そうですね。やっぱりそのくらいの価格帯が現実的なんですよ。
エリグチ:今回のカタログを見ていて思ったんですけど、同じ20万円台でも結構キャラクターが違いますよね。レース寄りのモデルもあるし、ロングライド向きもあるし、日常使いに寄せているものもある。
野中店長:昔のエントリーって、もうちょっと「とりあえずロードバイクです」みたいな感じでしたけど、今はちゃんと個性がありますよね。
大屋:そこは確かに変わりましたね。
野中店長:それに、装備も普通にいいですからね。ディスクブレーキが当たり前になってきているし、タイヤも太いし。
大屋:昔の完成車とは、だいぶ違います。
野中店長:昔の105完成車と今の完成車を単純に価格だけで比べると「高くなった」と感じるかもしれないですけど、中身は確実に進化してます。
大屋:「昔は105カーボンが20万円で買えたじゃないか」っていう話もありますけど、あの頃と今をちゃんと比べると、タイヤもホイールもブレーキも全部良くなっている。
野中店長:そうなんですよ。たとえば今のCUESとか、実際使うと「こんなにいいの?」ってなるレベルですし。
エリグチ:グレードの考え方も変わりましたよね。
大屋:どういう意味で?
エリグチ:ひと昔前って「105じゃなきゃダメ」みたいな空気があったじゃないですか。ティアグラでいいの?みたいな。
大屋:ありましたね(笑)。
エリグチ:でも今はCUESもGRXもあるし、用途に合わせて選べる。単純なヒエラルキーじゃなくなってきていると思うんです。
野中店長:それはすごく思いますね。ただ、その辺の情報って、まだ一般のユーザーにはあまり伝わっていないですよね。
店頭でも説明するんですけど、「105より下なんですよね?」っていう認識のままの方も結構多いです。
エリグチ:CUESとかGRXって、まだイメージが浸透してないですよね。
野中店長:そうなんです。だから今回みたいにカタログで一覧にして、今この価格帯にどんなモデルがあるのか見てもらう意味は大きいと思います。
大屋:確かに。
野中店長:30万円以下でも、普通にレース出られるバイクもあるし、ロングライド向きもあるし、街乗りにも使えるモデルもある。思っているよりずっと幅広いんですよね。
エリグチ:あともう一つ思ったのは、この価格帯の自転車って、意外と長く付き合う1台になる可能性があるんじゃないかなということです。
大屋:どういう意味で?
エリグチ:例えば最初の1台として買ったロードバイクって、その後もっといいバイクを買ったとしても、手放さずにずっと残っていることが多いじゃないですか。
タイヤを替えたり、パーツを替えたりして、通勤とか街乗りとか、ちょっとしたライドとか。そういう用途でずっと使い続けることも多いと思うんです。
野中店長:ああ、それはありますね。
エリグチ:だから「エントリー=すぐ買い替える前提のバイク」というわけではなくて、むしろ生活の中に入り込んで、一番長く使う1台になることもある。そういう意味でも、この価格帯のロードバイクって、楽しみながら選んでもらいたいなと思いました。
大屋:なるほど。確かにそれはありますね。
ロードバイクの価格が上がったことは事実だ。しかし、それと同時に、30万円以下のゾーンは確実に進化している。
装備も性能も、ひと昔前のエントリーモデルとはまったく別物だ。そして何より、この価格帯には「最初の1台」としての十分な魅力がある。
今回の対談を通して見えてきたのは、ロードバイクの世界が決して高級化一辺倒ではないということだ。むしろ、始めやすく、選びがいのあるゾーンが今もちゃんと残っている。
『サイクルスポーツ』4月号では、今回話題に上がった30万円以下のロードバイクをカタログ形式で60台以上を掲載している。
各ブランドのモデルを一覧で見比べられるので、これからロードバイクを始めたい人はもちろん、久しぶりに1台選びたい人にも参考になるはずだ。ぜひ誌面もチェックしてほしい!
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雑誌コード:04137-6
ISBN:4910041371044


















