ストーブを選んで、デイキャンプからはじめてみない?【アウトドア道具好きおじさんの自転車キャンプTips 第1回】
目次
自転車は旅道具でもある。そのよさを、さらに深めてくれる時間がキャンプなんだ。ツーリングよりも荷物は増えるけれども、その分スピードを落として、通過するんじゃなく、訪れた土地をゆったりと味わう。それが、自転車キャンプの旅の仕方だと思うんだよね。
最近のアウトドア道具は、ウルトラライト、つまり超軽量なモノが増えたから、キャンプ道具を持ち運ぶのが、とても楽になった。シビアな軽量化をせず、軽そうなモノを選んだだけで、総重量は7~8kg程度で収まる。これって、僕が自転車キャンプをはじめた頃と比べると半減レベル。
でも、いきなりテントと寝袋を持って自転車旅をするのはハードルが高いし、ちょっと大変だと思うでしょ。だから、まずはデイキャンプからはじめてみない? それだけでも、これまでの自転車ツーリングとは、まるで違う風景に出合えるからさ!!

●本連載を担当するのは、アウトドアライターのPONCHO(ポンチョ)。登山やアウトドアの雑誌&ウェブメディアで、最新ギアのレビューや魅力的なコースについてを多数執筆。自身も山のガイドとして様々な遊び方を提案している。折りたたみ小径車でのキャンプツーリング経験も豊富で、野外でのコーヒーとラーメンについて語り出すと止まらない
デイキャンプは、ストーブ選びから!
自転車キャンプに行こう! そんなワクワクした気持ちの勢いで、いきなりテントや寝袋を持って出掛けると、「やっぱりキャンプは大変……温泉宿に泊まった方がよかった」なんて、残念な結果に終わること、案外多いので注意したい。
慣れない設営に四苦八苦、食事の支度に悪戦苦闘、焚き火を熾そうとしたら火が点かない……なんてことになるんだ。そういう人、僕は何人も見ている。もちろん助けてあげたけれど、もし誰の助けも借りられなかったら、せっかくの旅が残念すぎるよね。
新しいことに取り組む際には、準備が必要だ。一歩ずつ段階を踏んだほうがいい。だから、最初はテント泊のキャンプではなく、ストーブを使って湯を沸かしてコーヒーを飲む、なんていうデイキャンプからはじめるといい。
キャンプは自然の中で自分の経験と知恵を使って、寝食を行うこと。できるだけ快適な時間を過ごすこと。その満足度を高めるもののひとつが食事だ。
自然の中で食べるカップラーメンがやけに美味しく感じられるのは、僕たちの知覚が自然の中で鋭敏になっているからじゃやないかと僕は考えている。だから、日常よりも美味しさに敏感に反応する。
そこでまずは、自然の中で湯を沸かして、コーヒーや紅茶、ハーブティーを淹れて、飲み、温まろう。サーモボトルに入れた飲み物をいただくのとは、ちょっと質の異なるシアワセを感じられるだろう。
そのために用意してほしい道具がある、ストーブだ。といっても家で暖を取る石油ストーブでは、もちろんない。バーナーやコンロとも呼ばれていて、上画像のように火口と五徳、燃料ボンベ部分を、アウトドア用に軽量コンパクト化させ、携帯しやすくした煮炊き、調理を行うための道具。
このストーブには、燃料がホワイトガソリンや灯油、ガス、アルコール、固形燃料等に分かれていて、さらに形状や仕様によっていくつもの種類がある。使ったことがない人は、どれを選べばよいのか?なかなか、ややこしい。
それぞれによさ、用途があるんだけれど、その中でも手軽に使えて、機能とデザイン性に長けたストーブを4つ紹介したいと思う。それらは僕がアクティビティや調理目的に応じて、実際に愛用しているモノでもあるんだ。
風にも寒さにも強いガスストーブの定番
ストーブの定番は、アウトドア用のガスボンベ(以下OD缶)を使用するガスストーブ。OD缶というのは、家庭用としてみんなも使っているカセットコンロの燃料=カセットボンベよりもコンパクトで頑丈。気温が低い季節でも火力が落ちにくいガスが充填されているのが特長だ。
上画像が、そのガスストーブで、下部の銀色の丸みを帯びたボンベが、OD缶。そのOD缶とネジ込みで連結した上部がストーブ本体。
OD缶を燃料とするガスストーブの多くは、本体の火口が風に吹かれても影響を受けにくい構造を採用。重量は100g前後で軽量コンパクト。軽さに特化したモデルだと、64gなんてものもある。例えると、Lサイズの卵とほぼ同じ。軽い!

※出典:SOTO(ソト) マイクロレギュレーターストーブ FUSION TREK(フュージョントレック/1万1000円)
ちなみに、OD缶の上部にストーブ本体を連結させるタイプを一体型って呼ぶんだ。他に、OD缶とストーブ本体とをガスを送るホースとで連結、分離させた分離型っていうのもある。この分離型は、五徳の位置が低くて調理がしやすく、大きな直径のクッカー(鍋)を載せるのが得意だ。ホース等の部品分、一体型に比べて、ストーブ本体が重く、収納サイズが大きい。だから、ソロキャンプでは、二番手か三番手的存在だ。
一体型は、収納サイズもコンパクト
一体型は、収納サイズもコンパクトなものが多い。今回紹介するのは、SOTOという国産ブランドの「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター(9350円)」で、僕の一番手ストーブ。
重量67g、収納サイズは4.7×5.1×8.8cmと手のひらサイズ。上画像の通り五徳は珍しい着脱式で、大きめのクッカーを載せたい場合は、別売の大型五徳「フォーフレックス(2090円)」に付け替えて使用することができるもの。
このストーブは、マイクロレギュレーターと呼ぶ機能を搭載していることが最大の武器。ガスストーブは低温に弱い、つまり火力が落ちる弱点があるのだけれども、これは気温が-5℃と冷え込んでも、安定した火力を維持してくれる。
すり鉢状の火口は風にも強い。だから、日没後、気温が下がって、風も強くなってきた時に、火力が弱まり、湯が沸かない……って事態を解消。キャンプの夜に寒くてひもじい思いをせずに済む、安心ストーブなんだ。
経済的なカセットボンベの最強モデル
ガスストーブには、アウトドア仕様のOD缶の他に、カセットコンロにも使われるカセットボンベ(以下、CB缶)を燃料とするモデルもある。上画像のストーブがそれ。
これもSOTOのもので、「レギュレーターストーブ TriTrail(トライトレイル/9900円)」っていう2024年に発売されたモデルだ。
CB缶を燃料としているけれども、先に紹介したマイクロレギュレーターストーブ ウインドマスターと五徳を除いたストーブ本体の形状、機能はほぼ同じ。だから、低温にも風にも強い。つまり安心ストーブ!
ところで、CB缶の弱点は、OD缶以上に低温時に火力低下しやすいことと、大きさ。ストーブ本体が低温に強くても、ガス缶が低温に対応していなければ、その効果は半減してしまう。
そこでSOTOは、トライトレイルと同時に「CB TOUGH(タフ)」という、低温に強いOD缶同等のガスを充填したCB缶を開発。
しかもコンパクトなOD缶の110サイズに匹敵する、125サイズのCB缶も用意(上画像)。ストーブ本体だけでなく、ガス缶自体も軽量コンパクトになったことで、自転車キャンプだけでなく、いろいろなアウトドアアクティビティで装備しやすくなった。
トライトレイルの重量は135gで、同社のCB缶を燃料とした既存モデル「レギュレーターストーブ」の330gの半分以下。低重心で大きめクッカーにも対応するために五徳は大きめ。収納サイズは11.2×4.7×11.3cm。かなりコンパクトになったのだけれども、ソロキャンプで湯沸かしだけに使うには、ちょっと大きい。でも、しっかり調理をするなら、かなり使える。
ガス缶がリーズナブルなのも魅力。OD缶の110サイズが682円に対して、CB TOUGH 125は440円。ガスの性能は大きく変わらないのに、OD缶2本の価格で、CB缶3本買える差は、選択する大きな理由になるよね。
アウトドア用瞬間湯沸かし器の最軽量、高効率モデル
OD缶を燃料とするストーブの中で、調理は時々で、ほとんど湯沸かししかしないという場合、選択肢の筆頭に挙がるのが、米国ブランドの「ジェットボイル」だ。
ジェットボイルの特長は、専用クッカーとストーブ本体を連結させて、その火力を最大限に活用。最速モデルだと0.5Lの湯を約100秒で沸かせる。その速さは、点火して、カップ麺のパッケージを破り、具材やスープの素を入れ、カトラリーを用意している間に、沸騰するレベル。
ただし、最速モデルはストーブとクッカーで371gもあって、ちょっと重いんだよね。今時のソロ用のストーブ&クッカーなら、200g以下に抑えられるから、携行するのに二の足を踏んでしまう。
そこで選びたいのが、通常のストーブとクッカー同様に、連結ではではなく五徳に載せるタイプのジェットボイル「スタッシュ(1万7000円)」だ。
ストーブとクッカーを合わせた重量は200g。収納サイズはφ13×高11.2cm。容量0.8L、調理容量は0.5Lで、自転車キャンプで持ち運びするのに問題ないスペックだ。
このスタッシュの0.5Lの湯沸かし時間は、150秒。最速モデルより50秒遅いが、多くのストーブとクッカーの組み合わせよりも、30秒程は速い。
速さの理由は、付属クッカー底に備えられた蛇腹状のリング。このリングが火の熱を効率よく吸収。アルミ合金製のクッカーの熱伝導の高さも手伝って、素早い沸騰を可能にしているのだ。
なのだけれども、近年はストーブの進化もあって、沸騰時間150秒なら同等かそれ以上の早さで沸騰できるストーブも登場してきているんだよね。だったら、わざわざスタッシュを選ばなくてもいいか……となりそうだけれども、もうひとつ大きな利点があるんだ。
スタッシュは他のストーブよりも、かなり燃費がいい。使用している感覚だと、他のストーブに比べて倍近くの回数の湯沸かしが可能だ。
自転車キャンプが1泊2日なら、どのストーブでも心配ないけれど、3泊4日くらいになってくると、110サイズのガス缶でもスタッシュなら余裕。けれども、他のストーブだとガス缶の予備を持って行った方がよさそうだなぁ、といった感覚。ランニングコストも当然抑えられる。
これって、かなりの差だと思う。もし、将来的に長めの自転車キャンプに出掛けたいと考えている人なら、選ぶべきストーブはコレ!
アナログな構造で、道具を使っている感の強いアルスト
見出しに書いたアルストとは略語で、アルコールストーブのこと。
燃料用アルコールを燃焼させるストーブで、その構造がとてもシンプルなため、故障の心配がまったくないのが、最大の利点。
ただし、火力は強くない。状況にもよるけれど、0.5Lの湯沸かしに約5~6分程度は掛かってしまう。風にも弱いので、風防を別途用意。多くは五徳もないので用意が必要。
なによりライターやマッチで点火する際、慣れていないと、火傷を心配する怖さが先立つだろう。
つまり、ちょっと面倒くさい、手の掛かる道具だ。
それでも、多くの道具好きから愛されている。その理由は、アナログさから。面倒に思えることを、アナログでワクワクする道具だと思うんだ。
超軽量を愛するU.L.スタイルのハイカーはアルストを自作したり、道具好きが高じて手づくりして販売するガレージブランドから超軽量モデルのアルストを手に入れ、使っている。
ここで紹介するのは、日本の老舗アウトドアブランドのエバニュー「Ti アルコールストーブ(5280円)」。
純チタン製で、重量は34g。ガスストーブに比べると圧倒的に軽いけれど、ガレージブランドのアルストには10g以下もあるので、まぁまぁ重めといえる。
ストーブ内側には30mlと60mlの目盛りがあり、30mlのアルコールで約5分燃焼、400mlの湯沸かしが可能だ。
エバニューでは、別途十字五徳や、クッカーと風防兼五徳がセットされたものも用意している。けれど、僕がTi アルコールストーブと組み合わせて愛用しているのは、北海道に拠点を置くミュニークの「X-MESH(メッシュ)ストーブ(大)(3520円)」 だ。
ストーブという商品名だが、アルストの風防兼五徳で、エバニューのTi アルコールストーブにちょうどよく、同じくエバニューのクッカー「Ti Mug pot(マグポット) 500(6380円)」 を、ジャストで載せられる。しかもアルストの炎を無駄なくクッカー底部に当ててくれる。火力の弱いアルストの性能を最大限に引き出してくれるのだ。
このX-MESHストーブは、円筒状に組み立てて使うのだが、分解するとシート状になって、クッカー内に、その存在を忘れてしまうように収めることができるのもいいんだよね。
Ti アルコールストーブは34g、X-MESHストーブ17g、Ti Mug pot 500が75g。合計126g。他にアルコールと持ち運ぶためのボトルも必要だが、クッカーも含めた重量が、ガスストーブ本体とほぼ同じという軽さは、アルストを使う強い理由になるでしょ。
実際、湯沸かししかしないなら、沸騰時間の遅さにイライラしないなら、いろいろな面倒を楽しめるなら、アルストはイイ。僕は、大人のままごと(飯事)道具だと思っている。コレをスマートに使えるようになったら、かなりアウトドア経験値がアップしたともいえる。それくらい、湯沸かしすることだけで、考えて、工夫して、対応することを求められる道具だから、オモシロいんだ。
今回はココまで。次回はストーブを使ってコーヒードリップ!
ストーブについての、解説、紹介はココまで。どれか気になるモノはあっただろうか?
次回は、このストーブにクッカーを組み合わせて湯沸かし。コーヒーをドリップすることを目的に実際に自転車デイキャンプをしてきたレポートをするぞ。
ではでは、今度の休み、自転車キャンプに行こうよ!





























