日本の短距離モビリティの“共存共栄”は可能か シェアサイクル・電動モビリティ事業者が語る未来像
2026年1月24日、大東文化大学(東京都練馬区)にて、セミナー「日本の短距離モビリティの“共存共栄”は可能か」が開催された。本セミナーは同大学社会学研究所と自転車とツーリズム・まちづくり研究会の主催によるもので、シェアサイクルや電動マイクロモビリティの最前線で事業を展開する企業関係者らが登壇し、日本における短距離移動のあり方と課題について議論した。

登壇したのは、株式会社LUUP、株式会社ドコモ・バイクシェア、シナネンホールディングス株式会社の各社関係者に加え、自転車問題に詳しい疋田智氏(写真右から)。各社の取り組み紹介とともに、今後の都市交通における役割や課題について意見が交わされた。
「街じゅうを駅前化する」マイクロモビリティの可能性

株式会社LUUPは、電動アシスト自転車や電動キックボードのシェアリングサービスを展開しており、「街じゅうを“駅前化”するインフラをつくる」ことをミッションに掲げる。現在、サービスは全国18都市に広がり、ポート数は16,000箇所、アプリダウンロード数は500万を突破するなど急速に拡大している。同社は鉄道会社や自治体、不動産事業者と連携し、駅と街をつなぐ新たな移動手段としてマイクロモビリティの社会実装を進めている。こうした取り組みは単なる移動手段の提供にとどまらず、街の回遊性向上や不動産価値の向上など、都市そのものの構造に影響を与える存在になりつつある。
シェアサイクルは「自治体サービス」として進化

ドコモ・バイクシェアの清水貴司社長は、シェアサイクル事業の本質について、「自治体向けのソリューションサービス」であると説明する。全国62エリアで展開される同社のシェアサイクルは、違法駐輪対策、交通不便の解消、観光回遊性の向上など、都市が抱える交通課題の解決に寄与している。また、鉄道やバスと連携することで、公共交通ネットワークの補完としての役割も強まりつつある。シェアサイクルは単独のサービスではなく、都市交通全体の一部として機能する存在へと進化している。
地域密着型モビリティの実装と新たな車両開発

シナネンホールディングスは、地域に根差した短距離モビリティ事業を展開しており、自治体での公務利用や観光地での回遊支援など、多様な導入事例を紹介した。同社はシェアサイクル専用車両の開発にも取り組み、約100kmの走行が可能な電動アシスト自転車や、特定小型原付区分の電動モビリティを展開している。さらに、再生可能エネルギーを活用した充電拠点の整備など、モビリティと都市インフラを統合した新たな取り組みも進められている。
安全性と社会受容が今後の鍵に

一方で、マイクロモビリティの普及には課題も多い。疋田智氏は、電動モビリティの普及に伴う問題点として、
・歩道走行時の速度問題
・ヘルメット着用率の低さ
・飲酒運転
・高齢者の利用問題
などを挙げ、安全対策と制度整備の重要性を指摘した。
鉄道やバスなどの既存交通との連携、都市の回遊性向上、高齢化社会への対応など、短距離モビリティが担う役割は今後さらに拡大していくと見られる。
安全性の確保や制度整備といった課題を乗り越えながら、日本の都市交通において「共存共栄」が実現できるか。その動向が注目される。











