ロードバイクライダーの皆さん、FTPについて分かったつもりになってませんか?【FTP再入門】
目次
主にロードバイクライダーの間で、パワーメーターが一般的な機材として普及してきています。レースに出る人だけでなく、サイクリング目的の人でも装備する人が増えてきました。そこで指標になるのが「FTP」ですが、皆さん、きちんと理解していらっしゃるでしょうか? そこで、今回はFTPの基本について学べる特集をお届けします。

FTPとはそもそも何?

今回のアドバイザー:福田昌弘さん 「ハムスタースピン」代表。プロ選手やホビーライダーのコーチングを行う傍ら、関西医科大学大学院医学研究科博士課程で研究に従事。自らも精力的にレースやイベントに参加しています
→1時間に出せる平均最大パワーのこと
FTPとはFunctional Threshold Powerの略で、1時間持続できる平均最大パワーのことです。アメリカの運動生理学者、アンドリュー・コーガン博士が作った定義です。FTPは乳酸閾値(乳酸をエネルギーに変換できる有酸素運動の限界付近の運動強度。LT)でのパワーに近い値を示し、この強度以下で走ることで長時間有酸素運動を持続できると考えられます。FTPは現在、多くの人が実践するパワートレーニングの運動強度の物差しとしても活用される重要な数値でもあります。
FTPはどうやって計測する?

→オーソドックスでオススメなFTPの計測方法は、インドアトレーナーで20分間保つギリギリのペースで走ったときの平均パワーの95%を算出する方法
FTPを計測する方法はいろいろありますが、ウォーミングアップ後に20分間ギリギリ続けられるペースで走り、その平均パワーの95%をFTPとみなすのがオーソドックスな方法です。道路環境に左右されることなく安定して運動でき、また条件を毎回そろえることができるため、インドアトレーナーで行うのがベターです。
本来は1時間ギリギリ続けられるパワーで走り続けて計測するのが望ましいのですが、現実的にそれは難しい場合が多いので、この20分で計測する方法をとります。
ただし、ウォーミングアップの方法が重要となります。以下の流れで行いましょう。
20分 軽い運動強度で走る(いわゆるウォームアップレベル)
1分ハイケイデンス走×3本+5分リカバリ走(なしでもいい)
5分 全力走→無酸素エネルギーを使い果たす
10分 リカバリー走
20分 ギリギリもつ運動強度で走る→この平均パワーの0.95倍をFTPと想定する
本編の前に5分全力走を入れるのは無酸素のエネルギーが枯渇した状態を作り出すためで、その方がより有酸素の能力指標としての1時間走との差が出づらくなります。
なお、人によって無酸素の能力が異なるので、無酸素が強い人ならFTPは20分計測平均パワーの0.88〜0.90倍程度の場合もありますし、弱い人なら0.90倍ぐらいの可能性もあります。
ここで重要なのは、20分で計測したFTPは、実際に1時間もつFTPとは異なる可能性があるということです。自身の能力基準として扱う場合は、毎回同じテストプロトコルを使う必要があります。自分の中でやりやすい計測方法がオススメです。
計測時のポイントはペース配分
→20分間なるべく一定のパワーとケイデンスを保ちましょう
FTP計測時の理想のパワー配分は、始めから最後まで一定に保つことです。序盤から高いパワーで突っ込んでしまうと後半に失速してしまいますし、逆に前半を抑えすぎると最後に全力を出し切れない可能性が高くなります。一度で理想のペースをつかむのは難しいため、何度かテストを繰り返し、前回のテストの記録を目安にしながら自分のペースをつかんでいきましょう。このとき、ケイデンスもなるべく一定に保つようにすると、ペースをつかみやすくなります。
FTPをどう活用する?

パワーメーターは装着しているけど、出てくる数字を見てなんとなく一喜一憂している、というだけの人は多いのではないでしょうか。
パワーメーターは、トレーニングの指標として、あるいはサイクリングにおけるペース管理の指標として活用することではじめてその真価を発揮します。そのときに不可欠なのがFTPなのです。
FTPを基準にすると、下の図のようなパワーゾーンが判明します。

活用例① サイクリングのペース管理に使う
FTPが分かれば、バテずに走れるペースも分かります。パワーゾーンで言う、L2の領域を超えないように走り続けるようにすると望ましいですね。
上りではどうしてもパワーが上がってしまいますが、例えばFTPを超えないように注意するなど抑えれば長時間走り続けられます。ロングライドのペース管理はスピードではなくパワーで行うとよいでしょう。
活用例② トレーニングの指標にする

例えば、FTPの88〜94%を維持して30分走る(SSTと呼ばれます)、といったメニューを組み、トレーニングの指標とすることができます。この手法をパワートレーニングと呼びます。
心拍計はあった方が良い
パワートレーニングではパワーさえ分かれば良いと思えるかもしれませんが、できれば心拍計も併用しましょう。パワーは運動強度、心拍数は体の負荷を表し、同じパワーを低い心拍数で出せるようになるとパフォーマンスが上がったと分かるからです。
いかがでしたでしょうか。今回紹介したのは基本中の基本ですが、FTPへの理解を深め、ぜひパワーメーターを活用してより楽しいサイクリングライフを送っていただきたいと思います。











