貴重な税込20万円台カーボンロードバイク ジャイアント・TCR アドバンスド 3 KOMを試乗

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Presented by GIANT

1997年に誕生し、2025年モデルで第10世代へと進化したジャイアントの「TCR」シリーズ。今年は普及価格帯を担うTCRアドバンスドに、話題の新世代コンポであるシマノ・キューズを組み込んだ「TCRアドバンスド3 KOM」が新登場。超ワイドなギヤ比設定と、28CのTLRタイヤを標準装備しながら、27万5000円という驚異的な安さを実現している。その魅力に迫ろう。

 

ジャイアント・TCR アドバンスド 3 KOMの特徴

ジャイアント・TCR アドバンスド 3 KOM ●価格/27万5000円 ●試乗車サイズ/S

 

ジャイアントのオールラウンドレーシングモデルである「TCR」シリーズが、ついに第10世代となった。ラインナップは上位から「TCRアドバンスドSL」、「TCRアドバンスドPRO」、そして「TCRアドバンスド」の3グレード。中でもTCRアドバンスドは、普及価格帯ということもあり、ロードバイクが初めてというビギナーから、子育てを終えたリターンサイクリストまで、幅広い層に支持されている。

今回紹介するのは、2026年モデルとして加わった「TCRアドバンスド3 KOM」だ。昨シーズンは最廉価モデルとして、機械式105コンポを採用した「TCRアドバンスド2 KOM」が33万円で販売されていた。これに対して新登場の3 KOMは、シマノの新世代コンポであるキューズを採用。価格を5万5000円も引き下げることに成功した。

カセットスプロケットは、105の12速から10速へと2枚減ってはいるが、ローギヤは36Tから39Tへと大きくなり、まさにKOM(キング・オブ・マウンテン)の名に恥じない進化を遂げている。耐久性を重視したコンポを採用したことで、Sサイズの公称重量は2 KOMの8.3kgから8.9kgへと約7%増えているが、価格が17%も下がったことを考えると、プライスダウンの方を喜ばしく思う人の方が多いはずだ。

アドバンスドグレードのフォーク

細身のブレードが特徴的なフルカーボンフォークは、左右対称のデザインとすることで、剛性と軽さ、そしてエアロダイナミクスを高次元でバランスさせている。タイヤクリアランスは33mmまで許容

前三角

リヤ三角

TCRシリーズのフレームは、第9世代でトランケイテッド・エリプス(楕円の後部を切り落とした翼型断面形状)を採用。現行の第10世代ではこれをさらに進化させ、エアロダイナミクスをアップデートしている。BBは幅86mmのプレスフィットを採用

キューズ

2025年1月にドロップハンドル仕様が加わったシマノ・キューズの2×10Sコンポを採用。カセットスプロケットに新技術のリンクグライドを導入しているのが特徴で、従来のハイパーグライドと比べて3倍もの耐久性を実現。加えて変速ショックは67%も低減されており、安定した性能が長期にわたって続くのがうれしい

キューズの油圧式ディスクブレーキ

キューズには機械式ブレーキ仕様もあるが、TCRアドバンスド3 KOMではコントロール性に優れる油圧式ディスクを採用。ブレーキキャリパーはφ160mmローターに特化した設計であり、アダプターなしでスマートに装着可能。ローター自体はジャイアントのオリジナル製品だ

ハンドルまわり

ジャイアントはハイエンドモデルの完成車であってもステム一体型ハンドルを採用していない。理由はポジション調整とメンテナンスを容易にするためであり、この考えは3 KOMにも受け継がれている

シートポスト

シートポストはカーボン製だ。楕円の後端を切り落としたような断面形状とすることで、エアロダイナミクスと快適性を両立している。サドルの交換や位置&角度調整が容易に行えるヤグラもポイントだ

アプローチ

サドルはジャイアントのアプローチという製品。パッド内に流動する粒子が封入されており、骨盤にかかる圧力を20%以上低減する。また、独自のユニクリップシステムにより、テールランプなどをスマートに装着できるというメリットも

 

ジャイアント・TCR アドバンスド 3 KOM スペック

●価格/27万5000円(税込)

●フレーム&フォーク/カーボン

●サイズ/XS、S、M、M/L、L

●カラー/スーパーノヴァ

●メインコンポーネント/シマノ・キューズ 2×10S

●ホイール/ジャイアント・S-R2 ディスク

●タイヤ/ジャイアント・ガヴィアコース 1  700x28c

●ハンドル/ジャイアント・コンタクト

●ステム/ジャイアント・コンタクト エアロライト

●サドル/ジャイアント・アプローチ

●シートポスト/ジャイアント・ヴァリアント コンポジット

●参考重量/8.9kg(Sサイズ・ペダルなし)

 

ジャイアント・TRC アドバンスド 3 KOM試乗インプレッション〜パッケージとしてのバランスに優れる

大屋さん

インプレッションライダー/自転車ジャーナリスト・大屋雄一  モーターサイクルにも造詣が深いフリーランスライター。ヒルクライム、エンデューロ、ブルベ、シクロクロス、MTBレース、ママチャリ耐久、仮装レース、バイクパッキングなど、自転車遊びを一通り経験して今に至る

 

ジャイアントのTCRアドバンスドは、18年前にフレームセットを購入したことがある(当時はTCRコンポジットという名称だった)筆者にとって、非常に思い入れのあるモデルだ。付け加えると、5年前には先代TCRアドバンスドを買おうかどうか検討したことも。このときは、ケーブル類がフル内装ではないという一点のみがマイナス要素となり、結局アメリカンブランドに手を出してしまった。そんな筆者にとって、フル内装となった第10世代はまさに死角なしだ。

TCRアドバンスド3 KOMは、9kgに迫る重量だけあって、持ち上げたときにやや手応えがある。シマノのサイトに記載がないので詳細は不明だが、おそらくキューズというコンポはそれなりに重いのだろう。ところがである。サドルにまたがり、ペダルを踏み下ろした瞬間に驚いた。ゼロ発進の転がりからして明らかに軽く、しかもそのあとに続く速度の上昇がスムーズなのだ。その走りは上質であり、まるで舗装し直したばかりのアスファルトの上を進んでいるかのようだ。

その理由は主にタイヤにある。この価格帯では異例のTLRを標準装着し、サイズについては昨年の2 KOMが採用していた25Cから28Cへ。合わせてリムをワイドなものへと変更し、28Cのタイヤの性能を存分に引き出せるようにしているのだ。テストでは空気圧を3bar後半にセットしたが、もがいても腰砕けるような感じは一切なく、それでいてコーナリング時はしなやかに路面を捉え続けてくれた。エントリーグレードであっても、常にトレンドを反映してアッセンブルを見直す姿勢は、さすがジャイアントだ。

中間加速や上り勾配での走りは、この価格帯の完成車としては圧倒的に軽く、カーボンホイールをインストールすれば、フレームのポテンシャルをさらに引き出せるだろう。ハンドリングは非常にナチュラルであり、ケーブル類のフル内装化によるネガは一切なし。下りコーナーでの安定性も高いレベルにあり、そこで感じられる安心感は、23C&リムブレーキ世代のTCRとは段違いだ。

コンポのキューズについては、変速ポイントのタイミング如何でタイムラグが出ることもあるが、1段ずつの歯数差が大きいのに変速時のショック自体は少なく、これだけでも感心してしまった。STIレバーのブラケット形状はフィット感に優れ、油圧式ディスクブレーキのコントロール性も優秀。シリアスなロードレースを目指すなら、ギヤ比がより細かく選べる上に重量も軽い105以上を勧めるが、現状でも十分であることは間違いない。

パッケージとしてのバランスに優れており、しかもフレーム自体に伸び代が見えるTCRアドバンスド3 KOM。エンデューロやヒルクライム、ブルベなど、さまざまなロードバイク遊びに応えてくれる1台であり、これが27万5000円で買えるのは驚きでしかない。

 

Brand Info〜ジャイアントについて

台湾に本社を置くジャイアントは、自転車業界のリーディングカンパニーだ。1972年の創業以来、他社のOEM生産で培った高い技術力を武器に、自社ブランドを展開。軽量なアルミフレームや、現代ロードバイクの標準となったスローピングフレーム(コンパクトロード)の開発など、業界に革新をもたらしてきた。最大の強みは、「自社工場での一貫生産」による圧倒的なコストパフォーマンス。同価格帯であれば他社ブランドよりも1つ上のグレードのコンポを搭載することが多く、初心者からベテラン、そしてプロにまで幅広い層に支持されている。