ロードバイクのペダリングは「踏む」から「倒す&伸ばす」へ意識改革を!
目次
ペダリングについては「踏む」「引き脚を使う」「円を描くように回す」といった表現が飛び交い、何が正解なのか分からないサイクリストも多いのではないでしょうか。しかし、ペダリング効率を上げるために重要となるのはそのいずれでもないのです。本記事では、ペダリング効率の基本と、その効率を高めるための具体的な考え方・練習法を紹介します。

効率の良いペダリングとは何か?

ADVISER:ハムスタースピン/福田昌弘さん ハムスタースピン代表としてプロ選手やホビーライダーのコーチングを行う傍ら、関西医科大学大学院医学研究科博士課程でペダリングについて研究。自らも国内外のレースやイベントにも参加する

ペダリングとは、ペダルに力を加えてクランクを回し、チェーンを介して後輪を回転させることで推進力を生み出す動作です。

青は接線方向のベクトルでクランクを回す力(トルク)になります。赤は放線方向のベクトルで、その他の無駄な力です。緑色は合成ベクトルです
重要なのは、力を加える方向です。クランクを回転させるためには、クランクと直角に交わる「接線方向」に力を加えるのが最も効率的で、それ以外の方向の力は推進力に変わりにくいとされています。
ペダル位置を時計に例えると、0時(上死点)から6時(下死点)へ下がる局面では力を伝えやすい一方、6時から12時へ戻る局面では大きな力を生み出しにくくなります。

そのため、効率よくトルクを発生させるには、【0時〜3時では倒す】【3時〜6時は脚を伸ばし切る】ことがポイントになります。結果として、反対側の脚は自然と抜重されます(ただし、ネガティブトルクと呼ばれる推進力に換わらない力はどうしても発生はしてしまいます)。
「引き脚」は本当に必要か?

下死点を過ぎてから上死点までの区間で、ペダリングで「引く」こと(いわゆる引き脚)を強く意識すると、効率はむしろ下がると考えられます。ロード用ビンディングシューズも、基本的には上から踏力を加える設計で、引き脚でトルクを生む構造にはなっていません。
また、人間の股関節はクランクを回す動作に最適化されておらず、「回す」意識も効率的とは言えません。
つまり、無理に引き上げたり回そうとしたりするより、接線方向に力を伝えることに集中する方が理にかなっているのです。
パワーだけでは速くなれない
近年はパワートレーニングが普及し、出力値に注目するサイクリストが増えています。しかし、パワーが出せてもフォームが崩れれば、無理に力をしぼり出す状態になり、高いパフォーマンスを持続できません。
ペダリングパワーはトルク×ケイデンスで決まります。
パワーを高めるには①トルクやケイデンスを上げる、②推進力に関係ない力を減らすという2つの方向性があります。②がまさにペダリング効率の向上です。
プロ選手はパワーと効率が直線的に伸びますが、ホビーライダーは高出力域で効率が頭打ちになりやすい傾向があります。これは、出力を上げようとしてペダリングが乱れるためです。よって、我々ホビーサイクリストは、やみくもにパワーを上げようとするのではなく、ペダリング効率を高めていく努力をすることが重要なのです。
効率の良いペダリングを習得するための自転車に乗らずにできる練習法
自転車に乗らない状態でのドリル練習を推奨します。自転車上は不安定なため、狙った動きを身につけにくいからです。そこで、ここでは自転車に乗らずに行える練習法を2つピックアップしてご紹介しましょう。
これらは一見シンプルですが、体幹を安定させて股関節主導の動きができない人ほど難しく感じます。習得できれば、効率向上だけでなく故障予防にもつながります。
ケトルベルでフルスクワット

背中を真っすぐに保ったままスクワットします。脇を締めてケトルベルを持つと、使いたい筋肉を意識しやすくなります。腿に力を入れず、腹圧を高めて腹筋を意識し、お尻まわりの筋肉を使って腰を沈めます。腿が床と平行よりも沈み込んでから、ゆっくり立ち上がります。これを30回ほど繰り返します。
ペットボトルを倒すトレーニング

0時の位置ではクランクは真上に向いていて、3時の位置では水平になっています。ここまでは“クランクを前に倒す”イメージで動作を行うと良いです。しかし、これはなかなか意識して行うのが難しいです。そこで、それができるように意識づけをするため、ペットボトルを置いて前に倒すトレーニングを行うと良いです。母指球の辺りでペットボトルを前に倒すようにするのがポイントです。
自転車に乗って行うペダリング練習
自転車に乗って行うドリルを1つピックアップしてご紹介します。実走でもできますが、固定式のインドアトレーナーで行うと動作に集中しやすくなります。
上死点-下死点トレーニング

上死点と下死点の位置を把握し、0時から6時までの脚の動きを確認します。片脚を上死点の位置に持ってきて静止し、その後フリーハブの音をさせないようにペダルを踏み始めます。反対脚が上死点に来た時点で再び静止し、同様にフリーハブの音をさせないように踏み始める動作を繰り返します。腿でペダルを踏まず、踵を下げないようにします。0時からペットボトルを倒すように脚を動かし、スクワットの要領で脚を伸ばします。
効率は一朝一夕では身につかない
効率の良いペダリングは、すぐに身につくものではありません。体の使い方を理解し、動きを習得し、無意識でも再現できるレベルまで落とし込む必要があります。パワーを上げてもフォームが破綻しない状態こそが目標です。











