ロードバイクでヒルクライムを速く楽に走るための基本と実践テクニック

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ヒルクライムを速く走りたい人も、できるだけ楽に上りたい人も、最も重要なのは「効率」だ。トレーニングで強くなることは正攻法だが、それ以前にフォームやペダリングを見直すだけで、走りが大きく変わる場合も多い。本記事では、56サイクル代表であり数々のヒルクライムレースで実績を残す筧五郎さんが解説する、ヒルクライムの基礎と実践ポイントを整理して紹介する。

 

筧 五郎さん

Adviser:筧 五郎(かけい ごろう)さん
56サイクル店長。マウンテンサイクリングin乗鞍チャンピオンクラス優勝、Mt.富士ヒルクライム総合優勝の輝かしい経歴を持つクライマー。現在はインドアサイクリング教室も開き、ホビーライダーの目標達成をサポートする

 

上りではフォームを変える必要がある

平坦と上りでは、バイクの姿勢が大きく異なる。上りでは前輪が後輪より高くなり、バイクは前上がりの状態になる。このとき平坦と同じサドル位置に座っていると、相対的に後ろ乗りになり、ペダルに力が伝わりにくくなる。

これを防ぐため、勾配がきつくなるほどサドルの前方に腰を移動することが重要だ。クランクが3時の位置に来たとき、真上から体重を乗せて踏めるポジションを意識しよう。ヒジは軽く曲げ、上体が突っ張らないフォームが理想だ。

ヒルクライムで前乗り姿勢を意識したロードバイクのフォーム

上りではサドル前方に腰を移動し、3時の位置で真上から踏めるフォームが重要だ

 

ペダリングは「0時から3時」を意識する

上りのペダリングで最も意識すべきポイントは、上死点付近(0時)から踏み始めることだ。力を加える局面は0時から3時まで。4時以降はスーッと力を抜くイメージを持つと、効率よくトルクを掛けられる。

また、ペダルを踏み込む際にかかとが下がらないよう注意したい。かかとが下がると、踏力が逃げてペダリングロスが大きくなる。脚の動きは、地面に立てた500mLのペットボトルを前に倒すようなイメージで、斜め前に力を加えるのがポイントだ。

 

ヒルクライム時のペダリングでは0時から3時まで踏む

上りでは0時から3時までトルクを掛ける意識が効率を高める

 

ケイデンスとギヤ選択の考え方

軽いギヤをただ回すのではなく、ケイデンス毎分70回転前後を目安に、やや重めのギヤでしっかりトルクを掛ける意識を持つことが重要だ。ダンシングでも、上死点付近からトルクを掛けられるよう、腰の位置を高く保つことが求められる。

 

ヒルクライムに必要なトレーニングの考え方

ヒルクライムでは、有酸素運動能力のベースが重要になる。パワーを基準にすると特にSST〜FTP強度で走り続ける能力が、タイムに直結する。FTPそのものの高さだけでなく、「体重1kgあたりの出力(パワーウエイトレシオ)」が重要だ。

ただし体重だけに注目しすぎるのは危険だ。筋肉を落とさず、しっかり食事をとりながら減量すること、睡眠や体調管理を含めたコンディショニングが不可欠となる。

 

パワーゾーンの表

 

実走とインドアトレーニングの併用が効果的

ズイフトなどのインドアトレーニングは効率が良いが、実走とはペダリングが異なる場合も多い。定期的に「マイ峠」を走り、実走でのパフォーマンスを確認することが大切だ。ヒルクライムレースは実走で行われるため、実走で走れる体を作る必要がある。

ヒルクライムトレーニングにおけるズイフトと実走の併用イメージ

ズイフトと実走を組み合わせることで実践的な走力が身につく

 

食事と補給もパフォーマンスの一部だ

体は食べたものでできている。タンパク質と炭水化物をしっかり摂り、食べ方を工夫することが重要だ。ライド前後、ライド中で補給の目的は異なり、摂取タイミングに合った補給を行うことで、初めて効果が期待できる。