自転車青切符制度は、悪質な利用者のためのものです

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気持ち良く、何にも縛られることなく自由に走る。自転車に許された幸せな時間――そこに立ち込める「自転車青切符」という暗雲……。いや、その暗雲ちょっと待った! 青切符は本当にサイクリストの楽しみを奪うものなのだろうか? ルールを知らず、うわさ話に振り回され、不必要にザワつくのは今日で終わり。サイクルスポーツ2026年2月号より、青切符ガイド決定版の一部をどうぞ!

 

縦列走行

 

青切符の113項目ってどんな内容?

  • 対象となる違反行為の総数
  • 適用開始時期 2026年4月1日

113項目と聞くと、「そんなに覚えられない」と尻込みしそうになるが、警察庁がまとめたルールブックを開いてみると、自転車に関わる危険性の高い行為をとにかく漏れなく分類したら、この数にまで増えたというのが実情だろう。中には、これってクルマ向けでは?という項目もあるので、ぜひ一度、興味本位だとしてもルールブックを見ることをお勧めする。もちろん113項目の全てを覚える必要はないが、代表的なものは教えられなくても知っているものばかり。当然のごとく違反をして青切符を切られれば、反則金を支払うことになる。2026年4月から適用開始になる前に、反則金の額と共に、主だったものだけでも頭に入れておきたい。

 

青切符

 

青切符の主な対象違反行為と反則金

携帯電話等使用(ながら運転):1万2000円
信号無視:6000円
右側通行などの通行区分違反:6000円
一時不停止:5000円
傘をさしながらの運転:5000円
イヤホン等での通話:5000円
二人乗り:3000円
並進禁止違反(横に並んで走行):3000円

自転車青切符は警察庁が作成したルールブックに詳細が記載されている。一度チェックしてみよう!

 

「青切符制度は、悪質な利用者のためのものです」

青切符制度と聞くと、どうしても身構えてしまう。厳罰化、反則金などのワードが先行するとなおさらだ。ところが導入の目的を知ると、見え方は大きく変わる。国の自転車政策にも関わる有識者団体・自転車活用推進研究会の内海潤氏に詳しく聞いた。

 

内海さん

自転車活用推進研究会事務局長
内海 潤さん
1966年生まれ、兵庫県出身。メディア企業を経て、自転車関連会社を起業。現在は事務局長として、様々な啓蒙活動を推進

 

違反者を犯罪者にしないため?

2026年4月、自転車にも「青切符」が導入される。SNSでは制度導入の発表直後からざわつきはじめ、「サイクリスト狙いの厳罰化では?」「細かい違反まで取り締まられるのでは?」といった不安の声も少なくない。だが、制度の背景を丁寧にたどると、そこにあるのは“サイクリストを締め付ける”ための仕組みではなく、むしろ交通全体の安全性を底上げするための、現実的な一歩だということが見えてくる。

今回、この制度の成り立ちや本質を整理するため、自転車活用推進研究会の事務局長を務める内海潤氏に話を聞いた。

もともと青切符制度は、1967年にクルマの交通違反処理を簡素化するために設けられたもの。違反を全て刑事罰で処理すれば前科が付いてしまうため、それを避ける救済措置として反則金制度が生まれた。内海氏はまず、その点を強調する。

「青切符はもともとドライバーを罰するためのものではなく、“違反者全員を犯罪者にはしない”ための制度。今回の自転車への適用も、その流れの延長にあります」

では、なぜ今、自転車にも導入されるのか。理由はシンプルだ。

近年、交通事故の全体数が減るなか、自転車事故の減り方は緩く、事故全体に占める比率は高い。赤切符だけでは対応が追いつかず、注意や見逃しをせざるを得ない場面が多かった。そこでいよいよ、反則金制度を自転車にも拡大する段階に来たというわけだ。

「これまで軽微な違反は、警察官が注意するだけで終わっていました。結果として“自転車は何をしてもいい”という空気を助長してしまった面があります。青切符は、その悪循環を断ち切るための施策です」

SNSでささやかれるような“自転車いじめ”ではなく、むしろ事故を減らすための手段。これが制度導入の根っこにある考え方だ。

 

自転車関連事故件数および全交通事故に占める構成比の推移

自転車の交通違反の検挙件数の推移

クルマを含む全交通事故の総数が減少傾向にあるなか、近年増加傾向にある自転車の交通違反の検挙件数。青切符の導入で、違反者に前科がつくことを減らす

 

サイクリストはお手本に

気になるのは取り締まりの対象だが、ここにも誤解が多い。

青切符制度により、全国で一斉にサイクリストが取り締まられるのでは? そんなイメージを抱いている人もいるだろう。しかし実際には、「重点地区」を中心とした運用となる。駅前や繁華街など、自転車による事故が多い場所で効率的に取り締まりを行う方針だ。

「サイクリングロードなどでの取り締まりは、実質ほぼないと思っていいです。あくまで事故の多い場所、迷惑行為が目立つ場所が対象です」

つまり、この制度の根本は悪質な利用者に向けたものということ。信号無視、ながらスマホ、イヤホンで周囲の音が聞こえない状態での走行――いずれも事故に直結し、歩行者を巻き込む危険性が高い。青切符は、まずこうした行為を減らすことを目的としている。

興味深いのは、警察がサイクリストに寄せている期待の大きさだ。警察とも意見交換を行っている内海氏が代弁する。

「サイスポ読者をはじめとするサイクリストは、普段からよく周りを見て、安全な走り方を分かっている人が多い。読者の皆さん、あなたたちは心配する必要はありません。むしろ“理想的な見本”として社会をリードしてほしい」

今回の青切符は、スポーツバイクユーザーを締め上げるためではなく、自転車に関心の薄い層に、最低限のルールを思い出してもらうための仕組みということだ。

これらを踏まえると、読者が抱えている「やたら厳しくなるのでは?」という不安は、かなり解消されるはず。もちろん、制度が始まる前である以上、どこまでが取り締まり対象かは現場判断に委ねられる面も残る。しかし、その点についても内海氏は冷静だ。

「制度にはどうしてもグレーゾーンが残ります。大切なのは『なぜルールがあるのか』を理解すること。そこを押さえていれば、必要以上におびえる必要はありません」

青切符制度は、サイクリストを罰する仕組みではない。むしろ、これまで注意だけで済まされてきた危険な行為の責任を明確化し、交通環境の底上げを図るための土台となるということだ。

そして、ルールを知り、安全に走るサイクリストたちこそ、この制度の“追い風”となる存在だ。青切符は、スポーツバイクファンが安心して走れる未来を作るための転換点。だからこそ、まずは落ち着いて、制度の背景と目的を知ることから始めたい。

 

青切符制度は

  • 罰金目当てではない
  • サイクリストを狙っている制度ではない
  • “全員取り締まり”ではない


対象は悪質行為(信号無視・ながらスマホ等)

 

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