街とグラベルを一つなぎにする。ブロンプトンGライン
グラベルと街中という対極にあるようなライドフィールド、この両者をシームレスに楽しめるのがブロンプトンの新作「Gライン」だ。既存のモデルを普段の相棒とする本誌特別編集長の吉本 司が、ブロンプトンの新たな価値を体験する。
スポーツバイクにおける注目ジャンルといえばグラベルである。自転車遊びの原点でもある冒険心を刺激するとあって、多くのサイクリストが心を奪われているが、ついにブロンプトンもこの世界へ「Gライン」を新たに投じて足を踏み入れた。筆者をはじめ愛らしい英国車を日々乗り回すファンには、魅力的な一台である。
既存モデルの16インチから20インチへと外径を上げたホイールと2.1インチの太幅タイヤ、それを制御するディスクブレーキと幅広なライザーバーを装備したGラインの立ち姿はたくましい。そして、そこから繰り出される走りは、グラベル性能うんぬんではなく自転車としての基本性能が大きく向上している。
フレーム自体もそうだが、車体全体に芯が通ったようなしっかり感があり、折り畳み自転車にありがちな“ぎくしゃく感”を覚えることはない。さらに空気の容量が大きくなったタイヤと幅広になったハンドルはバイクに安定性をもたらし、小径車にありがちな不安定さを抑えてリラックスできるライディングを与えてくれる。
グラベルでも、この基本性能の高さがいかんなく発揮される。試乗の前は「おっかなびっくりかも……」と少々構えたのだが、安定感や操作性は想像以上に優れたレベルで、拍子抜けするほどに不安はなく“フツー”に走るのだ。
もちろん700Cホイールのグラベル車に総合力では及ばないのだが、Gラインはコイツでしか体験できない楽しさがある。小回りが利いてターンもしやすく、俊敏な出足と相まって曲がりくねった道で機敏に走り、軽快さのあるハンドリングがレーンチェンジを容易にする。おびえるほどではない良い湯加減の“緊張感”が通った走りはホットハッチの車を操るかのようで、700Cのグラベル車とはまた異なる感覚で楽しめる。オフロードでもせせこましい小道に入りたくなるのはやはり小径車の常であり、それがライドにおける冒険感を増大させてくれるのだ。
さらにグラベルから舗装路にフィールドを移してもGラインの魅力は色あせない。むしろCラインに相当するモデルを普段の足とする筆者は、Gラインの走りに驚かされた。タイヤを含めて大径化されたホイールによって、滑らかにそれでいて力強い走りを披露する。明らかに筆者の相棒よりも常用速度は上がり、とりわけ巡航走行が楽になるのだ。以前であれば自転車を折り畳んで電車で移動に切り替えるタイミングであっても、もう少しコイツで進もうという気にさせてくれる。そんな機動性の高さゆえに、バッグを括り付けてロングツーリングに出掛けたくなる妄想に駆られてしまう。
Gラインはグラベルというジャンルにフォーカスしたが、グラベルだけでなく舗装路まで垣根なく楽しめるバーサタイルな折り畳み自転車として華麗なる進化を遂げている。そして先述のとおり自転車としての基本性能が向上したことで、より遠くへと向かい、操る喜びという自転車の本質的な魅力が色濃くなったのだ。日常は街中をコミュートし、休日は郊外の自転車旅へと繰り出し、グラベルで自然と思い切り戯れる。自転車生活をシームレスかつ大胆に楽しめるGラインは、ブロンプトンのラインナップにおいて最もぜいたくな一台と言えよう。試乗を終えて以来、筆者はコイツとの生活を妄想する日々が続いている……。
自転車と都市生活を結ぶ新しいフラッグシップ店

Brompton Tokyo
東京都渋谷区神宮前2-5-10
電話/03-6459-2012
営業時間╱12:00〜20:00、土・日・祝日=11:00〜19:00
定休日╱火曜日(火曜日が祝日の場合は翌水曜日が休み)
Brompton Tokyoは「都市生活をより自由に楽しむこと」をコンセプトに設計された旗艦店だ。最新モデルの試乗や購入、カスタムや修理まで幅広いサポートを受けられるほか、アートな店内や展示スペースにより、どんな人も心地良く過ごせる空間となっている。定期的にコミュニティライドを開催しており、自分らしいブロンプトンの楽しみ方や仲間を見つけられるなど、ハード面・ソフト面から自転車と都市生活を結ぶ拠点として進化を続けている。


















