Setouchi Vélo協議会 鳥取・岩美町ミーティングが開催
目次
瀬戸内地域やその周辺地域を世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、地方自治体、国、経済連合会等で構成するSetouchi Vélo協議会9回目のミーティングが鳥取県の鳥取市・岩美町で行われた。
開催日:2025年10月3日(金)
会場:とりぎん文化会館(鳥取県立県民文化会館)
主催:Setouchi Vélo協議会
国内最大級の砂丘をスタートするトライアルライド
ミーティングに先立ち、恒例のトライアルライドを実施。
鳥取県の東部に位置する「鳥取砂丘」は、南北2.4 km、東西16 kmに広がる国内最大級の砂丘だ。自然環境保護のため、自転車で乗り入れることはできない。
(※事前予約のファットバイクツアーのみ一部区域の走行可能)
この日は広大な砂丘をバックに記念撮影をし、県内を東西に横断する「鳥取うみなみロード」の一部を走り、山陰海岸ジオパーク認定の浦富海岸(岩美町)まで16km程走った。
この日走った鳥取うみなみロードは、日本海沿岸を東西に152km/獲得標高1086m走れるサイクリングルート。ルート沿いには、点在する温泉、日本海の海の幸を楽しむことができる観光スポットがあり、サイクリング以外でも鳥取を満喫することができる。
この日のルートは雰囲気のいい昔ながらの漁港が点在していて、筆者的には非常に大好きな景観だった。また、この日は2か所の補給ポイントで鳥取県の名産である「二十世紀梨」のジュース、梨ケーキ、そしてイカスミソフトが振舞われた。

日本海に面するアウトドア複合施設「IWADO BASE」で提供いただいた、梨サイダーと梨ケーキ。炭酸で割ったジュースは爽やかで甘過ぎず、サイクリングにぴったりのドリンク

開催地を代表して、岩美町 副町長 田中祥一氏より挨拶
「本日トライアルライドで走られた岩美町の田後(たじり)地区は京アニ制作のアニメ「Free!」のロケ参考地で、年間を通じて多くのファンが訪れていますが、ロケ地巡りにレンタサイクルが多く使われています」

事務局を代表して、本四高速 取締役常務執行役員 森田真弘氏より挨拶
「3年前に29団体で発足しましたが、87団体となりました。引き続き加盟団体エリアにおけるサイクリングルートの新規増設を進めていきます」
開催地発表「鳥取県のサイクルツーリズム推進について」
鳥取県は令和2年2月に「鳥取県サイクルツーリズム推進・連携会議」を設置し、サイクリングツーリズム推進に向け以下7つの取組を実施している。
①県内どこでもサイクリングが楽しめる環境づくり
②ナショナルサイクルルート指定に向けた整備
③地域の魅力を感じられるサイクリングツアーの促進
④インバウンド・国内誘客の促進
⑤多様なサイクリングイベント実施の促進
⑥鳥取県で進む自転車と公共交通の連携
⑦自転車の日常利用の促進による活力に満ちた地域づくり
特に「自転車と公共交通の連携」については、他府県より一歩進んでいると思われる。鳥取うみなみロードに並行して走るJR西日本山陰本線「鳥取駅~米子駅」間のサイクルトレインは通年運行しているし(※冬季は休止)、10/11~11/30まで大山(だいせん)への上りを自転車を輪行せずにそのまま載せ、下りだけを楽しめるサイクルバスの試験運行も始まっている。
サイクリストは一筆書きで走りたいので、行きはサイクリング、帰りはサイクルトレインを利用することで、一層旅感が増すし、何よりエスケープの手段になる。また、大山への上りをパスすることで、家族やビギナーとも一緒にサイクリングを楽しめる画期的な取組だと感じた。
第3次自転車活用推進計画について
第3次自転車活用推進計画について講演されたのは、ご自身もガチガチのサイクリストである国土交通省 道路局 参事官・自転車活用推進本部 事務局次長 土田宏道氏。この日は現行(第2次計画)のおさらいと、来年度からスタートする第3次計画について簡潔に分かりやすくお話しいただいた。
第2次計画では「都市環境」「健康」「観光」「安全・安心」の4つの目標に対し、それぞれのエリアでの施策など、一定の進捗が見られるものの、矢羽根だけでなく自転車専用空間の設置など、今後も通行空間の安全性・快適性の向上や日常的な自転車利用の拡大、サイクルツーリズムの環境整備、自転車・乗用車の交通ルール遵守等が課題となっている。
そして、上記(第2次計画)のフォローアップ、自転車を取り巻く社会情勢などの変化、ヒアリング・アンケート調査、海外の自転車計画のレビューを踏まえ、次期計画に向けて、ビジョンの追加、目標・施策などの整理、指標の整理を実施し、第3次計画では、現状4つから5つの目標へバージョンアップが検討されている。
第3次自転車活用推進計画の枠組み(案)
<ビジョン>
誰もが安全・快適に自転車を活用できる社会を実現し、自転車活用を通じて持続可能で活力ある地域と暮らしをつくる
<目標>
①安全で快適な走行環境などの整備による良好な自転車利用環境の実現
②自転車事故のない安全で安心な社会の実現
③自転車交通の役割拡大による地域の良好な移動環境の形成
④自転車利用の促進による活力ある健康長寿社会や脱炭素社会の実現
⑤サイクルツーリズムなどの推進による観光地域づくりや地域の活性化
パネルディスカッションは「鳥取市・岩美町におけるサイクルツーリズムの可能性」
鳥取市・岩美町におけるサイクルツーリズムの可能性についてパネルディスカッションが行われ、以下のような意見が出た。
上村町長「離島である上島町へ渡るには船に乗る必要があるが、自転車料金が無料になる「かみじまサイクルフリー制度」を導入した結果、宿泊、飲食、観光客が増えたのはサイクリストのおかげです」。
縫谷さん「地域課題を解決する目的で鳥取市の観光二次交通として今年の8月から11月まで観光シェアサイクル実証事業の運営をさせていただいている」。
木原さん「鳥取県では免許更新時にドライバーに矢羽根の説明をすることで、ドライバーへサイクリストの地域理解を得られるように努力している」。
山口さん「鬼太郎、コナンなどのIP資源に恵まれているので、有効活用するのはあり。写真を撮りたくなるモニュメントの設置も有効手段」。
迫田「自転車全振り型ではなく、SUP、釣り、カヤック、登山も楽しめるエリアなので、他のアウトドアアクティビティを絡め、移動も楽しめるアクティビティとして自転車を活用しいくことをおすすめする」。
土田参事官「公共交通との連携が非常に進んでいると感じた。空港には更衣室、組み立てスペースもある。サイクルトレイン、サイクルバス、サイクルキャリアを装備したタクシーもある。安心・快適なサイクリングができる環境をもっと発信していくことで誘客につながると思う」。
自転車先進県の「しまなみモデル」を目指すのではなく、自転車をうまく活用した「鳥取モデル」を構築していくことが近道ではないか。家族で安心・快適に楽しめるエリアを目指し、自転車文化が根付くようになってほしいと締めくくった。

国土交通省 土田参事官、コーディネーターにプロサイクリストの(株)コイデル代表取締役 門田 基志氏、パネリストは愛媛県 上島町長 上村俊之氏、(株)トリベイ代表取締役社長 縫谷吉彦氏、岩美町観光協会 事務局長 田中司氏、 鳥取県 サイクルツーリズム振興室 室長 木原久美氏、サイクルスポーツ編集部迫田、バイシクルクラブ山口編集長(写真左から)
瀬戸内地域等を、環境に配慮し安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」に育てることにより、瀬戸内地域等のブランド価値の向上を図り、持続的な地域振興を実現することを目的として、2022年10月29日に地方自治体、国、経済連合会等で構成、設立された組織。現在では87団体が所属する。 ※Vélo=自転車(フランス語)
構成団体(順不同): 兵庫県、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、中国経済産業局、四国経済産業局、中国経済連合会、四国経済連合会、せとうち観光推進機構、四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路
参加団体(順不同): 南あわじ市、淡路市、神戸市、明石市、川西市、上郡町、洲本市、備前市、玉野市、真庭市、美作市、新見市、津山市、総社市、高梁市、和気町、呉市、尾道市、福山市、竹原市、江田島市、東広島市、三原市、安芸太田町、柳井市、周防大島町、大山町、南部町、米子市、境港市、鳥取市、鳴門市、小松島市、吉野川市、三豊市、土庄町、多度津町、坂出市、観音寺市、さぬき市、東かがわ市、小豆島町、高松市、綾川町、今治市、上島町、松山市、宇和島市、八幡浜市、伊予市、大洲市、西予市、内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町、松前町、香南市、いの町、宿毛市、本州四国連絡高速道路協会、福山観光コンベンション協会、鳥取県商工会連合会























