けんたさんが行く!麗しの台湾、日月潭のオトコ旅【後編】
目次
環島(ホァンダオ=台湾一周)で名を馳せる世界屈指のサイクリング天国台湾の、最大の湖が「日月潭(にちげつたん)」だ。けんたさんと仲間たちが4日間で上って下って味わって旅してきた。その後半は、いよいよ爽快なダウンヒルへ!

旅するサイクリストになる
3日目の朝、ホテルの窓に目をやると、台湾屈指の景勝地というのもうなずける景色が広がっていた。そして旅のメインディッシュ、日月潭一周サイクリングへ。一周30km を時計回りに継ぎ目なく快走できる好コースで、まさにロードバイクには好適の道。加えて、湖岸スレスレを通るサイクリングロードも整備されており、そちらではゆったりとしたペースで流すこともできる。丁寧に整備された湖岸ルートは、いまだ日本にない景色。サムさんのハイテンポ牽引であっという間に周回してしまったのだが、それもまた良しなのだ。
今回はA→B→C→Dと約30kmの日月潭周回ルートをライド。サイクリングコース兼遊歩道のルートが整備されており、けんたさんたちは車道と両方を走行してみた。「サイクリングロードは湖畔脇に延びているので、エメラルドグリーンの水面を間近に感じながら走ることができますね。ただし歩いて散策している人も多いので、スピードを出すのには注意が必要だなと思いました。ジャイアントのレンタルeバイクで家族とゆっくり過ごすのも良いかも。そしてロードバイクで快走するなら車道の方がオススメですね。この日は交通量も少なく、あっという間に一周できました。また、スタートから約4km にある『文武廟』(C)は、学問と武の神が祀られた日月潭を代表する名所で、荘厳な門や美しい装飾が印象的でした。境内から湖を一望できるので、ぜひ立ち寄ってみて。湖畔沿いは山々だけでなく、こうした寺院や山門といった建物も度々出てくるので、景色の変化に飽きることはありませんね」
旅の本懐を遂げ、あとは台中に向けて一本道を進むのみ。一見単調な山道を行くのかと思いきや……けんたさんのこれまでの経験からしても、「これがもう過去イチ最高だったルート!」なのだ。緩やかな勾配の下り坂が40km近く続き、重力に沿って回すペダルのままにクルージングしていく。これぞロードバイク、そして軽量なバイクパッキングだからできる快走だ。4人共ただ笑みがこぼれっぱなし。帰宅ラッシュのスリリングな台中市街の喧けん騒そうを駆け抜け、ホテル「樂微行旅」になだれ込んだ。ここはサイクリストウェルカムなホテルで、なんと1部屋ごとに洗濯機を完備。当然、自転車は部屋に持ち込み可能でもある。今晩は台湾らしく夜市で打ち上げでどうだろう?
充実のライドを完遂し、最終日は台中に建つ新ジャイアント本社を訪問。お目当ては隣接する展示施設「サイクリング・カルチャー・ミュージアム」だ。同社の歴史的名車が数多く並ぶ、自転車にまつわる学びと発見に満ちた博物館だ。台湾の自転車製造大国ぶりを身近に感じられるスポットであり、マニア目線での満足度は高い。再びの桃園空港でパッキングを済ませ、昼の帰国便に搭乗。台湾の魅力満載の4日間は無事お開きとなった。今回の旅をけんたさんは振り返る。
「海外旅行それ自体が豊かな時間ですが、自転車が加われば喜びは5割増し。自分でペダルをこぐからこそ、現地のリアルな手触りだったり、ガイドブックにはない景色に出合うことができます。飛行機輪行や予算などハードルはあるかもしれません。けれどそこには、お金で買えない濃密な思い出が得られるはずです。まずは仲間を誘って、日本の外へ飛び出してみて!」
究極の非日常は、自転車だからこそ我がものになる。
TOPICS! ジャイアント本社横の「世界最大級の自転車ミュージアム」
最終日にけんたさん一行が立ち寄ったのが、「サイクリング・カルチャー・ミュージアム」。運営するジャイアントの名車たちはもちろんのこと、世界と台湾の自転車産業の歴史や、各国の自転車交通事情まで、グローバルな視点からサイクリングを紹介している。名車「MCR」を発見してけんたさんも大興奮!
けんたさんの台湾日月潭旅“一問一答”ガイド
Q1 これまでの台湾サイクリングの経験と、行き先を日月潭に決めたきっかけを教えてください
台湾旅行はこれで4回目です。2年前の台北サイクルショーが初訪問で、9日間の台湾一周ライドや単発のショートツーリングを数回経験しました。次の行き先探しに地図を見ていて、島の中心部に興味が湧いたのがきっかけです。そこで日月潭のことを知りました。
Q2 台湾旅行の前後で、現地に対するイメージは変わりましたか?
台湾って自転車を作る国で、乗る場所だとは正直思ってませんでした。でもサイクリングロードの充実ぶりを実際に見て、良い意味で裏切られました。ホテルもきれいだし、自転車へのフレンドリーさにも感銘を受けましたね。後は地元の人たちのおもてなしも温かく、行く先々でお土産を頂いたり。今ではすっかり台湾のとりこです!
Q3 旅の装備について教えてください
今回は軽量バイクパッキングスタイル。飛行機用の輪行ケースは空港に預けて、後は全部携行して走りました。バッグ類はアピデュラのフルフレームバッグ、7Lサドルバッグ、トップチューブバッグロング、フードポーチの4点。中身は2日分の着替えと撮影機材一式です。リュックは背負わない派です。
バイクはスペシャライズドのエートス。獲得標高が900mほどあったので軽さ重視でいきました。タイヤサイズは28C。思った以上に舗装がきれいで大正解でした。
Q4 旅といえば食ですが、何が一番おいしかったですか?
豆花(トウファ)というデザートです! 豆乳味の強い杏仁豆腐みたいなスイーツで、スルッと食べられて夏日にぴったりでした。それから牛肉麺はやはり鉄板!
Q5 ライドできつかったところは?
日月潭までの上りは部分的に10%ほどあって、ちょっとハードでした。でもその分下りが楽しめたし、全体的にはイージーでしたね。
Q6 ライド中の補給やトイレ、メカトラ対策事情を教えてください
ルート各地にはきれいな公衆トイレが点在しているほか、日月潭周回コースではジャイアントストアの他にも向山ビジターセンター(向山遊客中心・写真下)でリペアキットなども用意。特に、日本の建築家團紀彦氏が手がけた名建築として日月潭のランドマークとなっている向山ビジターセンターは、ウォーターサーバーが利用できるなど補給ポイントとしても活用できます。また、台湾では日本と同様にコンビニ(ファミリーマート!)もそこかしこにあるので、事前にルート上でチェックしておくと良いでしょう。
Q7 予算はどれくらい必要ですか?
フライトから宿泊まで、トータル15〜20万円あればとても豪華な旅ができるでしょう! 物価は2025年現在は日本と変わらないくらいですが、食事は地元の食堂が安くておいしいのでおすすめです。
Q8 台湾ツーリングのコツを教えてください!
日本国内で普段輪行している人なら、かなり近い感覚で台湾を動き回れると思います。今回のような身軽なバイクパッキングスタイルはかなりおすすめ。不安があれば現地ガイドを頼ったり、パッケージツアーに参加するのも手です。後はナビデータをしっかり準備しておくとより安心ですね。
けんたさんの旅を動画でもチェック!
今回のレポートは、ディスカバーライドとのコラボ特別企画! YouTuberけんたさんが、相棒のツッチーさんと共に自転車で国内外を走って旅することで、その魅力を改めて発見するウェブコンテンツが「ディスカバーライド」だ。今回の日月潭の旅だけでなく、2023年の台湾一周自転車旅の模様も動画で配信中。ぜひ動画でも台湾の旅を体験してみてほしい!

































