けんたさんが行く!麗しの台湾、日月潭のオトコ旅【前編】

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協賛 台湾観光庁

環島(ホァンダオ=台湾一周)で名を馳せる世界屈指のサイクリング天国台湾の、最大の湖が「日月潭(にちげつたん)」。けんたさんと仲間たちが4日間で上って下って味わって。異国への自転車旅をぜひご覧あれ。ここではまず、日月潭までの前編を紹介する

日月潭

台湾・南投県の集集鎮にある「グリーントンネル」は、約4.5kmのマホガニー並木道。1940年に住民が植えた木々が作る美しいアーチは、涼やかな木陰が続く人気の癒しルートだ

台湾ルートマップ

 

親愛なるお隣さんへ

「それは“究極の非日常”」。けんたさんは海外ツーリングの魅力をこう表現する。我らがニッポンも旅先に恵まれた観光大国ではあるが、走れる場所は国内に限られているわけではない。せっかくの自由に旅ができる自転車なのだから、ここは一つ国外にも目を向けてみよう。異国の文物を自らの脚でたどるサイクリングは、旅好きにとっては人生で一度は経験したいことの一つだ。では海外自転車旅デビューにおすすめの国は、と聞かれたら? けんたさんは自信を持って紹介する。それは、台湾だ。

台湾を推す理由はあまたある。まず、東京や大阪から飛行機で3時間とほど近い。次点に、自転車産業の一大拠点であるからこそ「自転車大国」として自転車道が広く整備されており、どこまでもサイクリングに没頭できる。更に歴史的背景から文化風習が日本に近く、あらゆる面で親しみやすい素地がある。旅費も比較的安いときた。まさに初異国旅には申し分ない国なのだ。何と極めつけには、食事もおいしい!

というわけで、そんな台湾を題材にした旅企画が動き出したのだが、けんたさんが目をつけたスポットが、台湾中央部に位置する「日月潭」だ。標高約750mに位置する天然湖であり、1周約30kmの湖岸サイクリングは台湾国内で大人気だという。それは誤解を恐れず言えば、東京から山中湖に行くような感覚だろうか。どうやら新幹線輪行も駆使すれば、台北からのアクセスも決して悪くないロケーションらしい。

旅の目的地さえ決まれば、後はスケジュールの確保あるのみ。今回は特別に現地サイクルツアーガイドのバックアップを得て、3泊4日の日程に落とし込んだ。すり合わせの結果、前後2日は移動日として、中2日に合計160kmをライドするという、なかなか実践的なツアーに仕上がった。

そして旅は一人でというのも素敵だが、せっかくの機会なのだから、誰と旅をするかも重要だ。今回のパーティーは、けんたさんと共に「ディスカバーライド」でおなじみ相棒のツッチー、現地ガイドのサムさん、カメラマンのNBさんと、走るオトコ4人組。全員がロードバイクにバイクパッキングで荷物をまとめ、サポートカーは随行せずという、快速実走ツーリングカルテットだ。

 

太陽と月を目指して

初日は移動日として、まずは成田空港から昼便で台湾の桃園空港に飛び、台北市街で一泊。ちなみに飛行機輪行には、厚手のパッドで覆われたソフトケースか、ボックス型のハードケースを利用するのが常道。これらは空港から動き出す際の足かせとなるものだが、桃園空港ではスーツケース1個と同額で安価に預け入れしてくれるサービスが利用可能だ。早速、空のオーストリッチOS-500を空港に残し、より機動力の高い薄手の輪行袋にバイクを移し替える。これで台湾国内の鉄道や新幹線でも輪行が可能になるのだ。

台湾も輪行でラクラク!?
新幹線

台湾は日本と同様にして、鉄道など公共交通機関においては専用の輪行袋に入れることで、自転車を運搬することが可能。車両内では飛行機輪行で使うような大型ケースでなくともOKなため、小型輪行袋を用意して、飛行機輪行時と袋を分けて運用するのがオススメだ。

桃園から彰化までは約1時間の新幹線旅。今回は普通車が満席だったため、グリーン車を予約。料金は1人当たりNT$1210(約5800円)。ゆったり座れて荷物スペースも安心、輪行時にはありがたい選択肢。

※レートは2025年4月時点のもの

迎えた2日目。まずは新幹線「台灣高鐵」で彰化(しょうか)駅まで約50分、車窓旅がムードを高めてくれる。輪行ルールは日本とほぼ同じで、バイクは大型荷物用のラックに収納するのがベターだ。到着して駅の組み立てスペースで身を整えたら、いよいよお待ちかねのサイクリングへと出発進行!

台湾ツアーガイドであるサムさんの引いたルートは、日陰が涼しく風光明媚な「集集(ジージー)綠色隧道」や、1999年の震災を今に伝える「集集九二一地震紀念館(旧武昌宮)」など、観光的要素に事欠かない。通ってきた道や記念館の展示などを流ちょうな日本語で説明してくれるサムさんだが、もちろんローカルグルメもバッチリ押さえてくれている。古い街並みが残る「集集」に立ち寄り、麺に飯にかき氷にと腹ごしらえ。一方で4月だというのに最高気温は既に30℃。いよいよ始まる上り坂に、じわりと汗が吹き出してきた。鳥の鳴き声、鮮やかな植生、建物のあせた色。異国の空気が五感全てを覆い、その中でペダルを回して高度を上げていく。「同じアジアでもここまで違うんだ」。時折ペースダウンするツッチーを囲みながら4人のパックは進み、そんな感想を大きな声で響かせるうち、ついに日月潭を望む交差点にたどり着いた。

太陽と月の形のようだと称される天然湖は、隆々たる山嶺を反射して、エメラルドグリーンにきらめいている。もしも自転車なしで大型バスに乗ってここに来たならば、この透き通った凪(なぎ)の湖面ももっと違って見えたのだろう。湖北端の「日月潭大淶閣」に投宿。さあ今宵の晩餐(さん)は、ジビエ満載の原住民料理。濃い味の肉料理にはすっきりとした台湾ビールで決まりだ。66km のヒルクライムライドを終えたオトコたちは、もう乾杯が待ち切れない!

 

台湾の田園風景

台湾の田園風景。路面は驚くほど滑らかで、走りやすさも抜群。田園の中を気持ち良く走っていると、「二水自転車道」に到着。ここは台湾のローカル線「集集線」と並行して走る人気のサイクリングルート。タイミングが合えば電車と並走できるのも魅力の一つ。ライドの頃には“花旗木(タイワンモクゲンジ)”が見頃を迎えていた

武昌宮

1999年の台湾中部大地震で被災した「武昌宮」。崩れたままの姿が保存されており、「集集九二一地震紀念館(旧武昌宮)」として当時の被害の大きさを今に伝えている

集集駅

集集の町の中心にあるレトロな木造駅「集集駅」に到着。日本統治時代の1930年頃に建てられた歴史ある駅で、現在も観光列車が発着する人気スポット。ライドの小休止にぴったりの場所

二水自行車道

「二水自行車道」を進み続ける

八張牛肉麺

八張牛肉麺

ランチは集集の外れにある「八張牛肉麺」へ。店内は地元のお客さんで満席。濃い色のスープに驚きつつ、優しい味わいにホッと一息。温かい牛肉麺が、ライドの疲れをそっと癒してくれる昼時の一杯だ

131号線を進む

サムさんおすすめのルート、集集と水里の間をつなぐ131号線を進む。交通量も少なく、緩やかな平坦路が続く快走区間。上りが本格化してからも、平均勾配は1〜4%だが、バイクパッキングの荷物がずっしりと効いてくる

日月潭に到着

約20kmにわたる上り坂を走破し、ついに景勝地である日月潭に到着。湖畔沿いを約2km緩やかに走り抜け、今夜の宿である水社の「Hotel Del Lago」に到着。長い一日を乗り越えた達成感に包まれながら、自然とハイタッチが生まれるこの瞬間があるから、やっぱり自転車旅はやめられない

 

TOPICS!「ツール」にフェスティバル! 様々な自転車イベントが日月潭で開催

レタップサンムーンレイク

日月潭では自転車イベントも開催! その中でも、台湾屈指のサイクリングルートである日月潭を中心としたライドイベントが「L’Étape Sun Moon Lake」。トップ選手も参加する104kmのロードレースや、16歳以上なら誰でも参加できる29kmのライドイベントも行われ、一日を通して日月潭がツールの黄色一色に染まる。開催日は2025年10月18日(土)。それだけでなく、総合野外フェス「Come! BikeDay」も開催予定。これは台湾を訪れるチャンスだ!

花火

詳細をチェックしてみよう!

 

けんたさんの旅を動画でもチェック!

今回のレポートは、ディスカバーライドとのコラボ特別企画! YouTuberけんたさんが、相棒のツッチーさんと共に自転車で国内外を走って旅することで、その魅力を改めて発見するウェブコンテンツが「ディスカバーライド」だ。今回の日月潭の旅だけでなく、2023年の台湾一周自転車旅の模様も動画で配信中。ぜひ動画でも台湾の旅を体験してみてほしい!

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