CDJ TOKYOのフレーム診断サービスにアクティブ・サーモグラフィ診断が追加されたらしいので、詳しく聞いてみた!

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カーボンフレームへの損傷を的確に診断してくれるCDJ TOKYO(カーボンドライジャパン東京)。今回、従来の超音波診断項目に加え、アクティブ・サーモグラフィという新たなサービスが追加された。具体的な診断方法や内容をご紹介する。

落車後のフレーム損傷は素人に診断できない

1分1秒を競うサイクリストにとって、カーボンフレームは切っても切り離せない代物だ。軽くて硬い素材ゆえ、戦うサイクリストにとっては欠かせない素材だが、一点に集中した衝撃に弱いのも特徴だ。

仮に落車をしたとして、ホビーユーザーにとって買い換えへのハードルは高い。そしてできることなら「まだこの自転車に乗り続けたい」という情が湧くのは筆者だけではないはず。

とはいえ、乗り続けるにしても落車で負ったフレームの損傷は素人目には判断できない。いきつけのプロショップに聞いてみても“おそらく”な判断がほとんどだろう。

 そんなときに利用したいのが、カーボンドライジャパンのフレーム診断サービスだ。落車後のフレームへの不安を、的確な診断で解決してくれる。

カーボンフレームのお医者さん「カーボンドライジャパン」

カーボンドライジャパン(以下、CDJ)によるフレームの診断サービス『超音波検査機による非破壊検査』は、損傷した部分に超音波を当て、跳ね返ってくる波から損傷の度合いを診断する。

 例え損傷が激しくても、CDJにはカーボンフレーム補修サービスが用意されているため、診断後にリペアをお願いするという選択肢もある。診断から処方まで請け負ってくれるCDJは、言うならば”カーボンフレームのお医者さん”なのだ。

 今回は既存の診断サービスに加えて、赤外線カメラを使用した新たな診断方法が追加されたので、詳しく見ていこう。

愛車の損傷が一目瞭然に「アクティブ・サーモグラフィ」

 

 新たに導入された診断方法は、特殊な赤外線カメラを使った「アクティブ・サーモグラフィ」による診断だ。CDJ TOKYOの店長を務め、店舗で診断をしてくれる村田悟志さんに、アクティブ・サーモグラフィについて詳しく教えてもらった。

──どのように検査するのでしょう?

 

「まず4灯のハロゲンライトの照射によって、検査対象に光という形で熱を加えます。同時に、設定した時間の中で『熱が加えられてから、冷めていく様子』を特殊な赤外線カメラで撮影します。このシステムはその温度変化の推移を解析し、連続した温度分布データとして画像出力してくれます。そしてその画像を元に我々が損傷具合を診断するのです。」

 

──うーん、分かるような、分からないような……。

「こちらが実際に撮影された画像です。これはデモとしてわざとクラック(傷)が入ったわかりやすいフレームを用意しました。ダウンチューブに白く映っているのがクラックですね」

 

──すごい! 傷が映っている! なぜここまで鮮明に損傷がわかるのですか?

 

コロナの影響を受けて、ショッピングセンターなどで体温を検知するカメラを見かけたことがありますよね。あれは被写体自身から発せられる熱を、リアルタイムに検知するものです。被写体の厚さに関係なく、表層の温度が一緒であれば同様に表示されます。

一方アクティブ・サーモグラフィの場合は、意図的に外部から熱を加え、指定した時間内での温度変化を記録します。そこで取得したデータを解析し、被写体の熱分布図と変化の推移を画像として出力。カーボン積層の厚みや組成の違いなどが色の違いとして表示されますので、これをもとに層間の剥離や損傷を探すという仕組みです。」

───これまでの超音波検査機による診断と、アクティブ・サーモグラフィは何が違うんでしょうか?

 

超音波検査機の場合、アクティブ・サーモグラフィと比べて精密に診断することができますが、基本的にはポイントでの検査ですので、広い範囲を診断するのには時間がかかります。アクティブ・サーモグラフィによる診断は、フレーム全体など指定した範囲を一度に診断できるので、隠れた損傷を発見しやすいんです。

 ただしアクティブ・サーモグラフィは、我々がこれまで行ってきたサービスの『超音波検査機による診断』に比べて、優れている・劣っているというものではありません。超音波検査機の方が診断に適するときもありますし、ケースごと判断します

 

───そもそも、なぜアクティブ・サーモグラフィを導入したのですか?

 

「超音波検査機での方法は波形を読み取って診断を下すので、自分たち(専門家)が理解できても、ユーザーさんには伝わりづらいものでした。アクティブ・サーモグラフィであれば『こことここにクラックが〜』というように画像を見ながら診断結果を説明できるので、ユーザーさんにとってはうれしいだろうなと思い、導入しました」

 

──確かに、目の前で診断結果の画像が見られると、とても安心できますね。

 

専門家による診断で、安心と共に乗り続けよう

——アクティブ・サーモグラフィで診断結果が出るまでの所要時間はどのくらいでしょうか?

 

「撮影自体の所要時間は10分ほどですが、検査対象の固定やシステムセッティングなどの事前準備、そして撮影後のデータチェック、そのデータを元にした診断などのお時間をいただきます。混雑状況や検査するフレームにもよりますが、最短で1時間ほどで診断結果をお伝えできると思います。お急ぎの場合は事前にご相談ください。」 

 

——落車による診断以外では、どんな利用方法があるのでしょうか?

 

「例えば、中古のフレームを購入したときに役に立つと思います。アクティブ・サーモグラフィは一度にフレーム全体を検査できるため、隠れた傷などを即座に発見できます。問題がなければ、安心して乗り続けられるので中古フレームを購入した際は、とりあえず検査してみるのもありかもしれません」

 

——フレーム以外のカーボン製品は検査可能なんでしょうか?

 

「ホイールの診断もできます。もっともカーボン製品であれば基本的にはなんでも検査自体はできますが、診断できるかはモノによりますので、現状はフレーム、フォーク、ホイールがメインになります。」

 

——検査にはどのくらいの費用がかかりますか?

 

「基本的に1カット1万6,500円になります。ただしホイールの場合はシンプルな側面90度からの検査に限り2カットで1万6,500円になります。」

 

 いくら買い換えするのが嫌だからとはいえ「傷が入っているかもしれない、いつ壊れるか分からない」という不安を抱えたまま乗り続けるのはリスクが高い。なによりライドを楽しめないし、頭の片隅に不安があるだけでパフォーマンスも低下する。

 「フレームの損傷」と聞いて少しでも心当たりがあるのならば、一度CDJ TOKYOに相談してみてはいかがだろう。