スペシャライズドの新MTBヘルメット「タクティック」を使ってみた

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2021年10月に発表されたばかりのスペシャライズド新作となるMTBトレイルライド向けヘルメット「TACTIC(タクティック)」。編集部員が実際に使ってみたレビューをお届けしよう。

スペシャライズド・タクティック

スペシャライズド・タクティック

スペシャライズド・タクティックの特長

スペシャライズドのMTBトレイル系ヘルメットシリーズがタクティックだ。本作はこれで4世代目となり、完全なリニューアルを遂げた。さまざまな新機能を搭載しつつも、従来のモデルから価格はほぼ据え置きともなっており、高いコストパフォーマンスを誇る。

TACTIC(タクティック)
●価格:1万4300円
●サイズ:ラウンドS(51〜56cm)、ラウンドM(55〜59cm)、ラウンドL(58〜62cm)
●カラー:ホワイト、ブラック、ドッピオ、オークグリーン
●平均重量:380g(Mサイズ)

タクティック正面

通気性が大きく確保され、ヘルメット内部は快適に保たれる。また、アイウェアを外してヘルメットに収納しやすいよう設計された穴も設けられている

タクティックのバイザー

バイザーはヘルメット本体からシームレスに流れるようなデザインをしている。転倒したときなどに折れてしまわないよう、衝撃を受けると自然に外れる

タクティックの後部

ヘルメット後部は後頭部を大きく覆うように設計されており、転倒した際に頭を広範囲で守ってくれる

タクティックの内部

転倒したときに頭部に加わる衝撃を緩和してくれるMIPS(ミップス)システムを搭載する。また、内部形状は横幅が広めで後頭部が浅めのアジアンフィットとなっている

タクティックの調整ダイヤル

フィット感の調整は後頭部のダイヤル部分で行える。すっきりとヘルメット内部に格納されたような設計だ

タクティック インプレッション〜“日本人頭”へのフィット感抜群 ゴーグルとの相性も良し

タクティックをインプレッション

インプレッションライダー/サイクルスポーツ編集部・大宅。もともとはロードバイクオンリーだったが、ここ数年でMTBトレイルライドを始めてドハマリ中。MTB連載企画も担当

かぶってみてまず感じるのは、フィット感の良さ。筆者は横幅広め&後頭部絶壁型のいわゆる“日本人頭”だが、そんな自分でもすっぽりとかぶれてすばらしいフィット感だった。

フィット感を調整するダイヤルも小さな力でカチカチと回せて操作しやすく、細かなフィット感調整も簡単だ。その点もグッド。

日本国内で流通しているMTBトレイル系ヘルメットはただでさえ数が少なく、しかもアジアンフィットになっているものも少ないので、このヘルメットは日本人へのフィット感という観点では非常に価値があると言える。

次に良いと感じたのは、MTB用ゴーグルとの合わせやすさだ。ゴーグルのバンドがヘルメット後部にフィットしやすく、ゴーグル本体もヘルメット下部に干渉しにくい。近年のエンデューロレースやリフト等でのピックアップ形式で楽しむ下り系トレイルライド人気の高まりから、こうしたハーフヘルメット+ゴーグルの組み合わせをする人は多いが、その際にもかなり重宝するだろう。

快適性も高いと感じた。まず通気性はコンセプトどおり良い。ヘルメット内部に空気が取り込まれているのがはっきりと感じられ、真冬に試してみたのだが、頭がキンキンに冷えてしまうほどだ。また、トレイル系ヘルメットとしては軽量に仕上がっているので、頭に重さを感じにくい点も快適性に貢献している。

直接性能とは関係ないが、デザインの良さも特筆すべきだろう。MTBトレイル系ヘルメットにありがちなもっさり感が一切なく、非常にスタイリッシュにまとまった形をしていると思わせるのは、さすがスペシャライズドだ。

一つ気になったのは、やや“アジアンフィットすぎる”こと。筆者は日本人的頭ではあるが、タクティックは横幅がかなり広めに設計されているためか、調整ダイヤルをかなり絞らないと横幅にやや余裕があるくらいだ(ヘルメットのサイズはしっかりと合っていて、サイズ間違いということではない)。日本人的頭であっても“重度ではない”人の場合は、フィット感は良いがちょっとゆったり目だな、と感じられるかもしれない。

価格もこなれており、現状で手に入るベストバイなMTBトレイル系ヘルメットと言って過言ではないだろう。近年あらゆるスポーツバイクと関連用品の品薄状態が続いているが、MTB用ヘルメットも同様だ。気になる人は早めに注文しておいた方がいいだろう。