キャノンデール・トップストーンカーボン しなりを生かしたサスペンション機構が上質な走りをもたらす

目次

ウエア協力:ウエイブワン、ダイアテック

トップストーンカーボン

キャノンデール・トップストーンカーボン

これ一台であらゆる遊びが可能

あらゆる車種で時代をリードしてきたキャノンデール。グラベルバイクにおいても「スレート」という走破性の高いモデルを登場させ、このジャンルを開拓してきた。スレートは片持ちサスペンションフォーク「レフティ」を装備してキャラが立っていたが、後継の「トップストーン」は流行のエアロロード風になり、個人的には肩すかしを感じたものだ。

しかし、乗ってみると「これでいいんだ、むしろこれがいい」と素直に感じさせられる。最大の特徴は、シートチューブとシートステーの接合部に設けられた「キングピンサスペンション」だ。ぱっと見、動くとは思えない構造だが、後輪の接地感がスレート以上に良好になり、他社のいずれのグラベルバイクより格段にスムーズに悪路をクリアできる。キャノンデールが追求してきた振動吸収性が、さらなる高みに至った印象だ。

オンロードの快走性能もピカイチで、タイヤさえ交換すれば純粋なレーシングロードに遜色ないと思える。サスペンション構造が剛性感を損なうことはなく、むしろスムーズに加速できる。シナプスやキャード13といった同社のロードバイクの存在意義が薄れるのでは、と不安になる。無線のeTAP AXS仕様だとさすがに高価だが、コンポやパーツの組み合わせによりリーズナブルな価格帯のモデルがそろっているのも魅力だ。

トップストーンカーボン

せり上がったダウンチューブがヘッドチューブと融合し、MTBのようにクリアランスを確保したヘッド回り。フロントフォークは細身だが前後方向の剛性感は十分に高い

トップストーンカーボン

シートチューブとシートステーの接合部に軸を設け、リア三角とトップチューブ後方のフレックスにより最大で30mm動くキングピンサスペンション

トップストーンカーボン

振動吸収性と整流効果を狙ったSAVEシステムバー。2ピース構造で角度調整が可能。無線電動変速メカのeTapを採用しているので、ハンドル周りがすっきりしている

トップストーンカーボン

前後方向が極端に薄いシートチューブ。これを見ると、よくしなるのだろうと思える。BB周りとダウンチューブは一転してボリュームがあり、高い剛性感を発揮する

インプレッション

オフロード:乗り手にスキルを求めない確かな走破性

トップストーンカーボン

肉眼では動作がほとんど確認できないキングピンサスペンションだが、荒れたダートで後輪の確実な接地感を味わうと、確かに効いてるんだなと実感する。安心して体を預けられるシーンが増えるから、ライン取りとペダリングに集中できる。結果的にタイヤ幅をワンランク太くしたほどの走破性を実感できる。

オンロード:ロードバイクそのものの爽快な走行フィール

トップストーンカーボン

ほとんどロードバイク。コンマ1秒を競うロードレースでないかぎり、舗装路上でもグレイルに不満を感じることはないだろう。700×40Cのタイヤでもなお軽快で鋭い加速を味わうことができる。フレックスゾーンである上部ハンドルのフラット部を握ると、嘘のように路面の振動が消える。

SPEC

スラム・フォースeTap AXS完成車価格:59万5000円(税抜)
フレーム:バリスティックカーボン
フレームサイズ:XS、S、M、L
フォーク:バリスティックカーボン
カラー:アシッドレッド
メインコンポーネント:スラム・フォースeTap AXS
クランクセット:スラム・フォースeTap AXS 46/33T
カセット:スラム・XG-1270 10-33T
ブレーキ:スラム・フォースeTap AXS 160mmローター
ホイール:ホログラム・22カーボン
タイヤ:WTB・リドラーTCSライト 700×37C
ハンドル:ホログラム・SAVEカーボン
ステム:ホログラム・SAVEアルミ
サドル:ファブリック・スクープシャローレース、チタンレール
シートポスト:ホログラム・SAVEカーボン
試乗車実測重量:8.6kg(ペダルなし)