フィジーク・アンタレス ヴァーサス エボ 00 アダプティブ 速攻レビュー

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3Dプリント技術を使って何か自転車パーツを作れないか? そんな意欲に溢れる製品がここ数年の新製品に散見されているが、そこにまたひとつのアイテムが登場した。2019年のユーロバイクでお披露目されたアンタレスヴァーサスエボ00アダプティブがそれ。色はいかにもプロトタイプといった雰囲気の色だったので、製品版は黒など落ち着いた色になるのかと思っていたが「そのまま製品にする」と現地で聞いた言葉の通りそのまま製品になった。

3Dプリントで作られた最先端のサドル

フィジークアンタレスヴァーサスエボアダプティブ00

この特徴的なパッドのメリットは、それぞれのエリアを最適なクッション性にすることができ、かつ各エリアのクッション性がシームレスに変わっていく点にある。これまでのサドルは、パッドに複数の素材を用い、テンションをかけるなどしてクッション性をコントロールしてきたが、それよりも隣接するエリアとのクッション性の変化を緩やかにできるのだ。

クッション性のチューニングの礎となるのは、フィジークが9年間にわたって集めてきた様々なレベルのサイクリストのプレッシャーマッピングデータ。

このパッドを製造しているのは、いま3Dプリンタの世界で大きな注目を集めているカーボン社だ。アディダスとコラボし、シューズも作っている。従来の3Dプリンタよりも高速で、かつ高い強度と継ぎ目のない造形を可能にする同社の技術がこのパッドを実現したのだ。

フィジークアンタレスヴァーサスエボアダプティブ00

ヴァーサスシリーズということで、サドルセンターには溝が設けられ、尿道周りに圧力がかからないようになっている

フィジークアンタレスヴァーサスエボアダプティブ00

レールはフルカーボン製で、左右のレールが1つの輪になっている。衝撃吸収性としなやかさを持たせるため、フィジーク独自のデザイン

フィジークアンタレスヴァーサスエボアダプティブ00

クッションは、網目状に成型された素材が何層にも重なっている。編み目を構成する1本1本が、エリアによって太さが変えられており、加圧した時の硬さがチューニングされている

 

奇抜な見た目とはうらはらに快適性の高いサドル

見た目は奇抜そのもの。だが、乗るとこれまでのサドルでは経験したことのない快適さ。普段はフィジーク・アリオネを使っており、溝ありサドルとはしばらくご無沙汰だったのだが、違和感はない。サドル面のグリップも申し分なく、雨でも滑る感じはなかった。無数の穴が開いているが、その表面は凹凸がなくとても滑らかで、パンツの生地への攻撃性もない。ただ、この色が合うバイクはなかなかないだろう。また、価格も約5万円と、サドルとしてはかなり高価。しかし、3Dプリンタで作られた素材でこの柔軟性! カタログスペックの耐久性があるなら、自転車サドル界で唯一無二、孤高の存在であることを考えれば妥当と言える。

フィジークアンタレスヴァーサスエボアダプティブ00

200kmほどテストライドしたコースのなかには、写真にあるようなグラベルロードも入れて走ってみた。ご想像通り、かなりの振動にさらされ続けるわけだが、サドル表面が適度にグリップしてくれて安定してペダリングてきたように思う。また、トライアスロンで使っているバイクにも取り付けて、前乗り状態でも使用してみたところ、サドルセンターにある溝の効果で圧迫を感じにくかったし、やはり適度なグリップで安定したペダリングができた。このサドルのメリットは軽さよりも、クッション性よりも独特のグリップ感にあるように思う。

取り付けで注意したいのはシートポストのサドルレールクランプ部分だ。レールの形状が楕円なので、対応したシートポストを使用しないと、レールが破損してしまう可能性があるので、付属の説明書に従うべし。

フィジーク・アンタレスヴァーサスエボ00アダプティブ スペック

パッド素材/紫外線硬化樹脂
ベース素材/カーボン
サドル長/274㎜
サドル幅/ レギュラー139㎜、ラージ146㎜
実測重量/158g(レギュラー)

 

革新的なサドルをいち早く体験できるテストプログラム

フィジークの国内代理店であるカワシマサイクルサプライは、アンタレスヴァーサスエボ00アダプティブを1週間体験できるテストプログラムを実施中。申し込みは以下の問い合わせ先から。

 

問い合わせ先

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https://www.riogrande.co.jp/news/node/73977