シマノのグラベルコンポーネント「GRX 1×12Di2」がワイヤレスとなり新登場!

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シマノのMTBコンポーネントに合わせて発表されたのは、グラベルコンポーネントであるGRXの、フロントシングルDi2モデル! 待望のプロダクトを、プロメカニックのコメントと共に本誌エリグチがレビューする。

GRX827

 

ドロップハンドル対応のフルワイヤレス変速

2019年の登場以来、シマノのグラベル専用コンポーネント「GRX」は、フロントシングル╱ダブル、10〜12速、機械式╱Di2と、多様化するグラベルシーンのニーズに応えて進化を続けてきた。

そのGRXに、ついに電動フロントシングル仕様の新モデル「RX827」が登場。シマノのロード系コンポに先駆けて、ドロップハンドル対応でフルワイヤレス変速を実現した注目のモデルだ。RX827は、2×12速Di2ロード╱グラベル用コンポに採用されてきたセミワイヤレス構成、すなわちレバーと変速機は無線で、前後ディレーラーとバッテリー間が有線接続という仕組みをベースに、XTRで初導入された完全ワイヤレスのリヤディレーラー技術を融合。その結果、MTB譲りのパワフルかつ俊敏な変速性能に加え、シマノならではの高い信頼性と耐久性を兼ね備えた新世代の電動コンポが誕生した。

レースにもアドベンチャーにも自在に展開するグラベルにおいて、変速系の自由度は走りに直結する。ワイヤレス化によってドライブトレインの構築がさらに自在になったことは、今後のグラベル遊びに可能性をもたらすはずだ。

ここでは、GRX Di2(11速)を5年以上使ってきた本誌・エリグチが、その進化と注目ポイントを詳しく紹介していく。

 

Topic_1 グラベル使用にぴったり ハンドルまわりはよりシンプルに

ST-RX825-R

ST-RX825-R
価格/4万6737円
BL-RX825-L
価格/2万8216円

STIレバーはGRX 2×12速Di2と共通となり、フロントシングル化に合わせて新たにブレーキ機能のみの左レバーが追加。右レバーはフード部分を含めた3つのDi2ボタンが搭載されており、変速操作以外にもリモート調整機能や対応するライトやサイクルコンピュータの制御など、様々な機能をアプリから割り当てることが可能だ。ブラケット先端にコイン電池2枚(CR1632)を内蔵。小ぶりでありつつ角張ったシェイプが、握った際の安心感を与えてくれる。

 

ブラケットフード

ブラケットには凹凸3つのパターンのリブ加工が施される。フラット部からヘッド部へ実測105°の角度が付いたブラケットフードと共に、オフロード操作時に確実なホールドを実現。この形状とレバーは、一度グラベルで使うともう手放せなくなるほど秀逸

BL-RX825L

ボタンを廃した左ブレーキレバーは今回初登場。もちろんST-RX825の左レバーでも1×12速を運用でき、その場合は両手それぞれにシフトアップ・シフトダウン機能を与える、といった自分ならではのカスタム設定も可能だ。レバーには滑り止めコーティングが施される

 

Topic_2 タフなライドに向けてデザインされた完全ワイヤレスのリヤディレーラー

RD-RX827

RD-RX827
価格/7万602円
重量/449g

1×12速のワイヤレスのための「RD-RX827」。先の「ST-RX825」レバーと、40Tまたは42Tの歯数の「FCRX820」クランクセット、そしてDEORE XTグレードのカセットスプロケット(10-51T)に対応している。新XTRやXTと同様の「シマノ・シャドーES」を採用し、ロープロファイルで岩や倒木にヒットしにくいコンパクトな形状や、オートマチックで外部の衝撃から復旧する機能を備える。小型のデュアルスプリングデザインはチェーンテンションを高め、チェーン保持力も向上した。

 

バッテリー

RDボディの下側にマウントされ、カバーで密閉される充電式バッテリー(単体価格7115円)は、スライド式のロック機構を採用しており取り外しも容易だ。航続距離は700km~1000km。外部充電器は小型かつUSB-Cタイプに対応しており、持ち運んでモバイルバッテリーから充電するという手も

カセットとリヤディレーラー

RX827はマイクロスプラインの12速カセットスプロケットの10~ 51Tのみ対応。ケージタイプはロングの1タイプ。アルミプレートケージかつ13Tと大きめのプーリーは頑丈さを誇り、よりRD本体を堅牢に。エンドタイプは変更なく直付け式。細かい変速調整はアプリだけでなくシフトレバーからも行うことが可能だ

 

店長’s Eye〜ワイヤレス化によってより自由な組み替えに

野中秀樹店長

ワイヤレス化により配線作業が不要となり、組み付けが大幅に簡略化しました。ペアリングや変速調整もアプリ「E-TUBEプロジェクト」から対応できます。交換のハードルが下がり、このRD一つをグラベル、ロードなど手持ちのバイク間で共有し無線化するという手も。最新世代のアルテグラやデュラエースのレバーとの互換性もあるため、ロードを「フロントシングル化したい」、「もっとワイド化に」など幅広い要望に沿った組み替えを行うことができます。

野中秀樹店長

フィールドサイクル
野中秀樹

東京都練馬区に本年6月にオープンした「フィールドサイクル」店長。オフロード方面に明るく、自身もレーサーとして活躍。「全日本シクロクロス最速店長」の称号も持つ。

 

First Impression〜よりシンプルに、よりワクワクを

過酷なグラベル環境こそ、電動変速の真価が発揮される。GRX Di2を使い込んできた経験から、そう断言できる。舗装路を高速で走り抜ける場面もあれば、ぬかるんだ急坂をじっくり上ることもあるグラベルライドでは、幅広い状況に対応できるギヤ比は不可欠。トップ10Tを採用した12速構成はギヤ比の密度を高め、「フロントシングルではギヤが足りないかも」という懸念をぬぐい去ってくれる。そしてチェーンがバタつきにくく全体の剛性も増したリヤディレーラーは、荒れた路面での変速ショックを最小限に抑え、シンプルな操作も相まってパシパシッと変速していくのはまさに快感。ワイヤレス化によりバッテリー残量の頻繁なチェックは必要となるが、アプリから簡単に確認可能だ。小型軽量なバッテリーだからこそ、長距離旅ではスペアをツールバッグに忍ばせておくと安心だろう。この「タフなギア」という雰囲気に、新たな冒険ライドへ誘われる。

江里口副編集長

サイクルスポーツ編集部
江里口恭平

グラベル遊びに首ったけの本誌副編集長。この新型GRXの登場を機に、新しいグラベルフレームを注文した。