シマノから、バッテリーを搭載しない通常の自転車でもオート変速を可能にするシステム「Q’AUTO（クォート）」が登場した。自転車におけるオート変速は主にeバイクのものであったが、その固定観念を覆し、あらゆる自転車利用者にとってサイクリングをより楽しく身近にするために開発された技術だ。クォートは学習機能を持つソフトウェアを搭載。ライダーにとって適切なギヤを学習し自動で変速するので、ライダーは変速タイミングを考える必要はなく、前方に広がる景色へ意識を集中することができる。

充電いらず

クォートは、シマノ・キューズシリーズのFH-U6060に搭載される機能だ。これはオート変速専用に設計されたフリーハブで、内部に発電機（ダイナモ）を備え、ペダルを回すたびに自ら発電を行う。フリーハブ内部には速度、回転数（ケイデンス）、傾斜を計測する3つのセンサーがあり、走行状況の情報を収集しながら、変速に必要な電力を蓄える。電池切れの心配がないため、充電を待つ時間も必要なく、気軽に走り出すことができる。複雑なシステム連携はなく、品質面でも長期的な信頼性を念頭に設計。そのハードウェアとソフトウェアにより、バッテリーレスで高度なオート変速を提供する。

また、フリーハブと同時に、RD-U8050-SGS/GSリヤディレーラーおよびSWEN605-Rワイヤレスシフトスイッチが発売される。RD-U8050-SGS/GSは、シマノのワイヤレス Di2スイッチおよびシフトレバー（フラットバーもドロップバーも）と互換性があり、幅広いライダーとライディングスタイルをカバーする。

アダプティブラーニング（適応学習機能）

クォートはライダーとその走行条件との関係をモニタリングし、変速を学習することで、、自動で適切なギヤを選択する。さらにDi2シフトスイッチを使うことで、ライダーは自分の意志でも変速でき、かつクォートへ即座にフィードバックを提供する。スイッチでの変速により、システムはそのギヤを選択すると同時に、その時の走行状況（速度、ケイデンス、傾斜）を記憶する。

クォートは、あらゆるライディングスタイルや様々な路面変化に対し、650以上のアルゴリズムパターンから最適化され、時間が経つにつれ、ライダーの好みに応じた変速を行うようになる。乗れば乗るほど、ライダーと自転車との一体感が高まる。

FH-U6060（オート変速ダイナモ内蔵フリーハブ）
価格：3万9482円
・リンクグライド1×10または1×11のカセットスプロケットに対応
・1年以上電力を蓄えられるリチウムイオンキャパシタを内蔵
・142×12mm Eスルー対応
・スポーク穴：28H、32H、36H

RD-U8050-SGS/GS（リンクグライドワイヤレスDi2リヤディレーラー）
価格：3万3625円（SGS）、2万9124円（GS）
・3つのプリセットモードを切り替えるファンクションボタン
・リンクグライドカセットスプロケットに対応
【SGS】
11スピード 11-50T、11-45T
10スピード 11-48T
【GS】
10スピード 11-43T

SW-EN605-R（ワイヤレスシフトスイッチ）
価格：1万5506円
・直感的に操作できる3つのボタン
・バッテリー残量を表示するLEDインジケーター
・CR1632電池を2個使用
・Eチューブプロジェクトサイクリストアプリでカスタマイズ可能（バージョン5.2以降）
・クランプバンド径：22.2mm