オルベアからブランド初のダウンヒルバイク「ラヨーン」登場

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オルベアから、ブランド初のダウンヒル(DH)バイク「RALLON(ラヨーン)」が登場した。2022年以降、オルベアはDH競技に参戦しており、マーティン・メースが特別仕様のダブルクラウンラヨーンでレースに出場。最近ではモーターなしの「ワイルド」での参戦も行っている。ラヨーンは、DHワールドカップでの開発を経た「ラヨーンDH」、上りもこなせるエンデューロ仕様の「ラヨーン」に分かれ、全8モデルを展開する。

なお、このラヨーンDHで、2025年5月18日に行われたUCIDHワールドカップの開幕戦に、オルベア/FMDレーシングのターニー・シーグレイブが勝利している。

 

ラヨーンDH

ラヨーンDH

 

下り特化のスピード

優れたサスペンション性能

ラヨーンDHは、ワールドカップ級の最も急峻で過酷なDHコースにも対応できるように設計されており、前後に200mmのサスペンションを備えている。大きなドロップや高速走行が求められるトップレベルのレースにおいて、その真価を発揮する。

ラヨーンは、DHにおけるサスペンション性能を最優先しており、激しいコースでも高いトラクションと安定感を提供。ペダルのキックバックを抑えるようにキネマティクスが調整されており、チェーンテンションがサスペンションに与える影響を最小限にしている。また、リヤピボットの位置を工夫することで、スイングアームへのブレーキ力の影響を切り離し、ブレーキング時のフィードバックを軽減している。

漸進的かつ直線的なレバレッジカーブにより、小さな衝撃には高い感度で、中間域ではしっかりとサポートを提供、大きな着地に対しても底付きしにくい構造となっている。ライダーは、走行するトラックに応じて、25%または30%のプログレッシビティ(サスペンションの漸進度)を選択して調整することができる。

サスペンションのグラフ

 

低重心設計

DHバイクには、急勾配で荒れた地形において最大限の信頼感をライダーに与える「抜群の安定性」が求められる。そのために最も重要となるのが重心を下げることだ。ラヨーンのグラビティリンク・サスペンションシステムは、まさにこの目的を実現している。

ショックユニットをフレーム内でできるだけ低い位置に配置することにより、より地に足のついた、安定した走行を可能にする。ショックの位置を下げたことで、トップチューブもより低く設計でき、低いBBとの組み合わせにより、重心を限界まで下げることができた。これにより、コーナリング時やジャンプの際の操作性が向上し、安定性がさらに高まる。さらに、BB部分にウェイトを追加できる機能がある。これは多くのワールドカップメカニックたちが舞台裏で活用している裏技であり、395g、95g、93gの3種類のウェイトを1つずつ、または組み合わせて装着することで、より安定感のある地を這うような走行感覚を得ることができる。逆に、加速性やすばやい反応が求められるコースでは、これらのウェイトを簡単に取り外すことも可能だ。

ウェイト

 

DHジオメトリ

ラヨーンのジオメトリはDHトラックでの開発とテストを重ねてきたものだ。これまで以上に細かな調整が可能となっており、ライダーは自分の走行するコースに合わせて最適なセッティングを施すことができる。

ラヨーンDHは、特別なグラビティリンクを用いたマレット仕様(前輪29インチ、後輪27.5インチ)のみで提供される。

ラヨーンDHのジオメトリ

 

素材の正確な配置

カーボンの織り方を巧みにコントロールすることで、剛性を損なうことなく柔軟性を調整できるようになった。これにより、フロントとリヤのトライアングルが理想的なバランスで剛性を保つことができる。

このように多くの技術、シミュレーション、テストを経た結果、荒れたオフキャンバー(斜面状)地形においても優れたグリップ力と自信を持って走行することができ、レースタイムを削るうえで貴重な一瞬を生み出す力となっている。

 

ラヨーンDH

 

幅の広い調整機能

アティテュード・アジャスト機能

DHレース、バイクパークでのラップ、ゆったりとしたライドでは、それぞれ必要とされるバイクのセッティングが異なる。ラヨーンはその優れた調整機能により、どのようなシーンでも理想のセッティングを実現できる。

 

トレイル上でのクイック調整

  • ショックのプログレッシビティ:グラビティリンクシステム内のフリップチップを使って、約5%の調整(およそ25%から30%)が可能。
  • ヘッドアングルの調整:オフセットヘッドセットカップを用いて、ヘッド角を±0.75度変更することができる。
  • BBウェイト(ボトムブラケットのおもり):安定性を高めるためにBBにウェイトを追加できる。グラビティリンクのネジ穴に、付属の93g、95g、395gのいずれか、またはすべてのウェイトを取り付ける。

ラヨーンDH

 

トレイル外でのセッティング:スタイルに合わせて

自分のライディングスタイルを一番分かっているのは自分自身。そこで、ラヨーンは購入時にさまざまな設定オプションを提供している。

まず、オルベアは2つのチェーンステー長を用意している。442mmはより遊び心のある操作性を求める人向け、450mmは高速走行時の安定性を求める人向けだ。オルベアのテストでは、ライダーが好むチェーンステーの長さはフレームサイズではなくライディングスタイルによって異なることが分かっている。そのため、サイズによってチェーンステー長を固定するのではなく、ライダー自身に選択の自由を与える方式を採用した。

ラヨーンDHのチェーンステー

 

頑丈な設計

静音性に優れたフレーム設計

ケーブルはすべてフレーム内部にガイドされている。これにより、走行中のカタカタ音を排除し、メンテナンス時のケーブル交換も簡単になる。

チェーンステーには、改良されたソフトラバー製プロテクターが装着されている。中空になっていることでチェーンの衝撃を効果的に吸収し、ノイズをさらに抑える設計だ。

 

グラビティ標準コンポーネント

ラヨーンに使用されている各コンポーネントは、DHバイクの過酷な使用条件にも耐えられるよう選定されている。どんなチャレンジにも自信を持って立ち向かえる信頼性を提供する。

 

オルベア独自の装備

ORBEAの多くのMTBと同様に、ラヨーンにも以下の便利な装備が標準で搭載されている。

  • FLPマルチツール:いつでも携帯できる、フレーム内に格納可能な携帯工具。
  •  広々としたLOCKR(ロッカー)収納:フレーム内に設けられた便利なストレージスペースで、ツールや補給食などをスマートに収納できる。
  • シールドベアリング:耐久性が高く、メンテナンスの頻度を減らしてくれる。
  • Second Skin(セカンドスキン)ビニール保護フィルム:フレームの表面を傷や飛び石などから保護する専用カバー。

 

パーソナライゼーション

多くのチームが市販されていない特別なバイクでレースに出場している中で、オルベアでは、オルベア/FMDレーシングが使用しているのと全く同じラヨーンを、一般のライダーも手に入れることができる。

さらにオルベアは、「MyO(マイオー)」プログラムを提供しており、ライダーは自分のニーズに合わせてラヨーンの構成をカスタマイズできるだけでなく、カラーリングのデザインも自由に選ぶことができる。

カラーバリエーションは、以下の3種類から選べる。

  • アロハグリーン × ファンタジーパープル(カーボンビューフィニッシュ/グロス仕上げ)
  • ホワイトシック × ダイヤモンドブラック(グロス仕上げ)
  • ニッケル(マット仕上げ)× ニッケルクローム(グロス仕上げ)

 

エンデューロバージョン

ラヨーンにはエンデューロバージョンもある。このモデルは、DHモデルと同じフレームを使用しながらも、アクティブでしなやかなサスペンションと低重心設計を生かすことで、レーススピードにおける安定性、精密な操作性、そして高いコントロール性能を提供する。

また、すべてのトラックやライダーが同じではないことを踏まえ、ラヨーンは多くの調整機能を備えており、ライダーは走行条件に応じてパフォーマンスを自在に微調整できる。

ラヨーン

 

180mmフォーク+170mmリヤトラベル

バイクパークでの大きなジャンプや、最も過激なトレイルでのパーティーラップにも対応できる、十分なストローク量を確保している。それでいて、ラヨーンの軽快なハンドリング性能を損なうことはない。

 

しなやかでアクティブなサスペンション

ラヨーンは下りに特化して設計されている。サスペンションのキネマティクス(作動設計)は、できる限りアクティブに動作するよう調整されており、わずかな凹凸にもスムーズに反応する。これにより、高速域での荒れた路面でも最大限のグリップ、制御性、吸収性を実現する。

 

電子ショック最適化

さらにサスペンション設計は、最新の電子制御ショック(電子サスペンション)を最大限に活用できるよう開発されている。従来は、下り性能を高めると登坂性能が犠牲になるというトレードオフがあったが、電子ショックの導入によりそれを排除できる。必要に応じてショックが自動で硬くなり、効率性が向上するからだ。

 

ステープン・ディープ(Steep ‘n’ Deep)設計

さらに深いドロッパーポストの挿入長と低いスタンドオーバーハイトを実現。これにより、体の可動域が広がり、操作性とスピードが向上する。フレームサイズに関係なく、ほとんどすべてのライダーが240mmドロッパーポストを装着可能だ。

 

アティテュード・アジャスト機能

トレイルごとに最適な走行感を得るための調整機構を多数搭載している。

  • ショックのプログレッシビティ:およそ22.5%から27.5%の間で、進行率を約5%調整できる。
  • ハイ/ロー切り替え:グラビティリンク内のフリップチップにより、ハイとローの設定を切り替えることができる。この調整により、ヘッドアングルが0.5度変化し、BBのドロップ量も7mm変化する。
  • ヘッドアングル調整:オフセットヘッドセットカップにより、ヘッド角を±0.75度まで変更可能。
  • BBウェイト:安定性を向上させるため、BBに553gのウェイトを追加できる。

 

マレット仕様またはフル29インチ仕様が選択可能

ラヨーンは、グラビティリンクの変更だけでマレット仕様(前29インチ、後27.5インチ)またはフル29インチ仕様のいずれかを選択できる。27.5インチはより機敏な操作性を求めるライダーに、29インチは最大スピードと安定性を求めるライダーに向く。

マレット仕様にできる

 

ラインナップ

※モデル名の450はチェーンステー長。表記がない場合は442mmとなる。

RALLON DH

ラヨーンDH

RALLON D-LTD450 D-LTD
価格:126万5000円
メインコンポ:シマノ・XTR、セイント

 

RALLON

ラヨーンE10

RALLON E10450 E10
価格:85万3600円
メインコンポ:シマノ・XT、SLX

ラヨーンEチーム

RALLON E-TEAM450 E-TEAM
価格:110万6600円
メインコンポ:シマノ・XT、SLX

ラヨーンELTD

RALLON E-LTD450 E-LTD
価格:158万1800円
メインコンポ:シマノ・XTR、スラム・X0イーグルAXS

サイズ:S、M、L、XL
カラー:アロハグリーン × ファンタジーパープル(カーボンビューフィニッシュ/グロス仕上げ)、ホワイトシック × ダイヤモンドブラック(グロス仕上げ)、ニッケル(マット仕上げ)× ニッケルクローム(グロス仕上げ)、マイオー