おすすめグラベルロードインプレシリーズ② “ブリーザー・レーダーエックス”編

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スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、ブリーザーの「レーダーエックス」の実走インプレをお届けする。

レーダーX

BREEZER RADAR X
ブリーザー・レーダーエックス

スラム・エイペックス完成車価格/23万1000円
問・アキボウ

圧倒的な走破性と高い拡張性を備えたアドベンチャーバイク

MTBのパイオニアとして歴史に名を残すジョー・ブリーズ。1977年に自らの名を冠したブランドを立ち上げ、その長いキャリアを注ぎ込んだグラベル・アドベンチャーロードが「レーダー」と「インバージョン」だ。

ここで紹介するレーダーXは、屈強なクロモリフレーム&フォークに多数の荷物積載ポイントを設定したアドベンチャー志向が強いモデルだ。最大の特徴は、このカテゴリーのモデルではもっとも太い29×2.25インチというタイヤを標準装備すること。MTBでは標準的なブースト規格(ハブの幅が広い)の採用と相まって、悪路の走破性や荷物を積んだシーンでの安定感は抜群だ。他の多くのグラベルバイクはロードバイクの影響を多分に受けているが、レーダーは完全にMTB寄りで非日常的な楽しみを提案してくれるモデルだ(姉妹モデルのインバージョンはややロード寄り)。フレームの各部には7か所のボトルケージ台座を設けており、バイクパッキングはもちろん、前後キャリアとフェンダーを装備した重装備まで可能であり、乗り手が望むカスタマイズも思うがままに実現できる。もちろん、ふだん使いの足としても使い勝手がいいだろう。

レーダーには4つのグレードが設定されており、Xはメインコンポーネントにスラム・エイペックスを採用したモデル。太いタイヤを駆動させるにふさわしいワイドなギヤレシオと直感的な操作性を、高いプライスパフォーマンスとともに実感させてくれる。

シートチューブ

十分なタイヤクリアランスを確保するために、シートチューブはわずかに湾曲している。うねったチェーンステーは往年のMTBそのものだ。

フォーク

ワイドタイヤに対応したユニクラウンのクロモリ製フォーク。太めのストレート形状と110×15mmスルーアクスルがタフな走りを支える。カーゴケージにも対応する

ヘッドチューブ

応力が集中するヘッドチューブとトップチューブの接合部は、ガセットで入念に補強されている。本モデルのタフさを象徴するデザイン的なアイコンにもなっている

シートステー

右側のシートステーにもフォークと同じような3対のアイレットが設けられている。大型のカーゴケージを活用した「見せる」荷物積載が似合うだろう

SPEC

フレーム:クロモリ
フレームサイズ:45、48、51cm
フォーク:クロモリ
カラー:マットナツメグ、マットブラック
メインコンポーネント:スラム・エイペックス
クランクセット:FSA・コメットモジュラー 38T
カセット:スラム・PG-1130 11-42T(11スピード)
ブレーキ:TRP・メカニカル油圧ハイブリッド
ホイール:WTB・ST i25 TCSディスク
タイヤ:WTB・ナインラインTCS29×2.25インチ
ハンドル:ブリーザー・ビッグバー46-50cm
ステム:ブリーザー・ビーロード
サドル:セラサンマルコ・モンツァフルスタートアップ
シートポスト:ブリーザー・セットバックφ30.9mm
試乗車実測重量:14.1kg(ペダルなし)

IMPRESSION

レーダーXに乗る田村さん

90年代のMTB黄金時代に自転車趣味を始めたので、「ブリーザー」という響きには憧れがあります。このレーダーは、どこでも行ける気にさせてくれたMTBの原体験を甦らせてくれるモデル。バイクパッキングの装いをさせてみたいですし、大型のポーターラックなども似合いそう。自分好みにカスタマイズしたくなります(田村)。

レーダーXに乗る江里口

一台持っていれば、何年でも遊び続けられます。これだけタイヤが太いとMTBしか入れなかったトレイルにも進めますし、荷物をたくさん積んで旅に出るのも似合いそう。車重があるので上りはどうしても苦労しますが、軽いギヤをクルクル回して走りたい。ここまでわくわくさせてくれるグラベルバイクは少ないですね(江里口)。

「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩

「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。

サイクルスポーツ編集部 江里口恭平

温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。

 

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グラベルバイクを遊びつくす!