日本のベアリングメーカー「ジェイテクト」が、自転車用に展開するセラミックベアリング「ONI BEARING（鬼ベアリング）」が、ワールドチームの「ヴィスマ・リースアバイク」に採用された。セラミックベアリングを世界で初めて実用化した同社の、自転車用ベアリングがトップチームと共にロードレースの世界で戦うことがサイクルモード東京で発表された。

2022年にハブ用のセラミックベアリングを発表した同社。ヴィスマ・リースアバイクが使用するリザーブのホイールに組み込める、高性能なセラミックベアリングをチームが探していたところ、鬼ベアリングにたどり着いた。ジェイテクトはチームの本拠地と同じオランダに事務所を構えており、チームから問い合わせがあったという。チームがテストして、ワット数の削減が確認できたためサポートの依頼が来たとのこと。

100セットを納品予定で、タイムトライアルで使用するホイールと、エース級選手がロードレースで使用するホイールに組み込まれる予定だという。すでに組付け方法などのレクチャーをチームに対して完了しており、早ければジロ・デ・イタリアに鬼ベアリングが搭載されたホイールを実戦投入する。

サイクルモード東京の会場では、ヴィスマ・リースアバイクが使用するハブ用のベアリングのほか、発表されたばかりのBB用鬼ベアリングも展示されていた。その回転の軽さをユーザーが体験していた

JTEKTの鬼ベアリングが発表したBB用のセラミックベアリング。その回転性能はいかに？ pic.twitter.com/GWRIXtTjTa

— サイクルスポーツ【公式】 (@cyspo) April 7, 2024

国内チームのマトリックス・パワータグの選手が、このBBを使って3.8km、平均斜度7.7%の上りを平均290wで走ったところ、非鬼ベアリングBBの場合と比較して平均で13秒、1.8%タイムの向上が見られた。

使用されるセラミック球は、焼き入れ加工を経て、1週間以上研磨を行って真球度を高めていく（通常の鋼球は数時間）。シールド内は、潤滑剤で満たされているというよりは、必要な量の潤滑剤がベアリングに被さるような構造になっており、ベアリング自体の抵抗と潤滑剤による抵抗の両方を低減している。

BBの価格は組付け工賃込で、7万5000円～8万円になる予定。

ボトムブラケット用 ONI BEARING
販売：公式サイトの「取扱いショップ」を参照
価格：各ショップに問い合わせ