「フレックス・エアー」 カブトの軽量サイクリングヘルメット使用レビュー

目次

Presented by OGK KABUTO

スポーツ自転車用ヘルメットでは日本国内で絶大な人気を誇るKabuto(カブト)。そのカブトから、軽量で冷却機能などによる高い快適性能を持った新型サイクリングヘルメット、「FLEX-AIR(フレックス・エアー)」が発表された。その特徴を紹介するとともに、使用レビューをお届けしよう。

カブトの軽量サイクリングヘルメット「フレックス・エアー」使用レビュー

 

カブト フレックス・エアーの特徴

カブトの「フレックス・エアー」

カブトの「フレックス・エアー」(2万9700円)。写真のカラーはマットホワイトシルバー

 

改めて、その特徴について確認しよう。

フレックス・エアーは、“軽さ”と“快適性(特に通気性能)”に重点を置いて開発されたヘルメットだ。

カブトには現行品で「イザナギ」という空冷性能に重点を置いたフラッグシップモデルがあり、そして過去には圧倒的軽さで高い支持を得ていた「フレアー」というモデルがあった。このフレックス・エアーは、イザナギの高い空冷性能とフレアーに匹敵する軽さを同時に実現し、昇華させたモデルと言える。

フレックス・エアーを横から見た様子

フレックス・エアーを横から見た様子。空気の流れに沿ったより自然なエアルート設計により空冷性能向上を実現する

フレックス・エアーを正面から見た様子

フレックス・エアーを正面から見た様子。角が取れた丸みを帯びるデザインをしている

フレックス・エアーを俯瞰して見た様子

フレックス・エアーを俯瞰して見た様子。球体に近い形状をしている

フレックス・エアー内部の様子

フレックス・エアー内部の様子。多くの日本人の頭部形状にフィットするデザインだ

軽量化のために一部省かれたシェル部分

軽量化のために一部省かれたシェル部分。内側の発泡素材が見える

 

まず、その軽さを実現するために、球体に近い形状を採用している。これによって極限まで無駄をそぎ落とした。また同時に、シェルと呼ばれる部分(ヘルメット内側の発泡素材に対して、外側の固い部分)について、安全性を確保しつつその面積を削っている。その重量はS/Mサイズで195gと、スポーツ自転車用ヘルメットでは最軽量クラスだ。

エアフローパッド

エアフローパッド

 

一方でその通気性能についてだが、今作で新機構「エアフローパッド」を搭載した。これは3点固定式のY字型のパッドで、頭部からヘルメットを少し浮かせることを可能にしており、これによって通気性を向上させている。これをフローティング構造と言う。

このフローティング構造はイザナギでも採用されているがパッドが4点固定式となっており、エアフローパッドにより3点固定式になったことで、パッド面積と固定部の大きさやパーツ点数を削減できた。また、スポンジを排除して薄くすることにより、頭部とEPS(発泡ライナー)とのエアルートを拡大。さらに、汗をためずにダイレクトに流していき、従来のスポンジで発生する内装材自体の吸汗による重量増や水分飽和による煩わしさをも軽減する。これらの要素が、軽さと通気性向上(不快感の抑制)に貢献しているのだ。

また、最先端のCFD解析により、ライディングポジションをとったときにより自然な空気の流れとなるよう通気孔が配置されている。これは「エアフローデザイン」と名付けられる。

フロントパッド

フロントパッド

 

細かな機構も見逃せない。額に当たる部分に配されるフロントパッドは、効率よく汗を額の左右に誘導する役目を果たすが、それをも上回る汗を止めるための「ウルトラスウェットパッド-04」も同梱されており、不快な目への滴りを防いでくれる。

フレックス・エアーのアジャスター

BOA®フィットシステムを使用した、細かな調整が可能なアジャスター

アジャスター位置は上下4段階で位置が調整可能

幅を2段階で調整可能なヘッドレスト

 

カブト上位モデルならではのフィッティング機構も健在だ。自分の頭にフィットするようかなり細かな調整ができる。

 

編集部によるインプレッション

ここからは、じゃあ実際使ってみてどうなんだ!? という点についてお伝えしていこう。インプレッションライダーはサイクルスポーツ編集部・江里口と、女性サイクリストとしておおやようこさんの2人だ。

これはまさにフレアーとイザナギのいいとこどり!

フレックス・エアーインプレッション

サイクルスポーツ編集部・江里口恭平。学生時代はロードレースに打ち込み、現在はグラベルライドからキャンプツーリングまでを嗜む生粋のサイクリスト。カブトはフレアーもイザナギも使用してきた

 

典型的な日本人型の頭部形状と大きな頭をしているので、ずっとカブトのヘルメットをかぶり続けてきました。その中でも一番気に入っていたのはフレアーで、その圧倒的軽さによるアドバンテージは大きいものでした。

まず、このフレックス・エアーは、そのフレアーが持っていた圧倒的軽さをそのまま引き継いでいると感じられる軽さでした。首、肩にかけての負担が少なく、長時間ライドで前傾姿勢を維持していても疲れが出にくいと感じます。

一方で通気性についてですが、イザナギをかぶったときに感じる“頭頂に風が通る心地良い感じ”が、このフレックス・エアーでもしっかりと感じられました。イザナギは東京2020五輪ロード競技に向け、日本の夏の酷暑の中でも選手が戦えるように空冷性能を確保すべく作られ、高度な構造をしていますが、それを受け継ぐ性能を新機構のパッドで実現しているのは驚きです。

そして、フィット感も非常に良いです。“これまでカブトをかぶってきた人が、全幅の信頼を置いてかぶれるフィット感”と言っていいでしょう。

性能と直接関係はないですが、攻撃的すぎない丸形のフォルムは、サイクリング時のウェアを含めた自分の全体のシルエットをすっきりと自然に見せてくれると感じられます。ちょっとゆるいサイクリングスタイルにもぴったりとマッチしてくれるでしょう。

 

おおやようこさんインプレッション

カブト フレックス・エアーをおおやようこさんがインプレッション

おおやようこさん。ヨガインストラクターであり、YouTube動画やSNSを通じてサイクリングの魅力を発信したり、各種イベントのゲストライダーなどを務める女性サイクリスト。現在はイザナギを愛用する

 

頭の上を風が全方位から通っていく

かなりの炎天下の中、上りも含むコースを走ってみてじっくり試してみましたが、第一印象は熱がこもるという感じがまったくないということです。

ヘルメットは前から風が入ってくるというのはよく聞きますが、このフレックス・エアーは横から風が吹いたときにはヘルメットの横からも頭の上を風が通っていく感じがあります。さらには斜め後ろからも感じられ、全方位からと言っても過言ではないほど、風が通っていくことを感じられます。これは驚きです。

また、ヘルメットと頭頂部が直接触れないようにする構造は、空気の流れができるだけでなく、その付近が汗で蒸れにくいという効果もあると感じられます。これと通気性が相まって、熱がこもる感じがしない印象につながっているのでしょう。

そして軽い! 私もフレアーは非常に気に入って長く愛用していました。ヒルクライムや長時間のライドで疲労が抑えられるすばらしい軽さでしたが、それが“帰ってきたな”という印象です。

さて、頭頂部がヘルメットに接触しないようになっているこの新パッドですが、かぶる前は違和感があるのかなと思っていましたが、まったくなしです。ヘルメットがブカブカと浮いてしまっているような感じはなく、特段Y字になっているところに重みが偏ってしまう感じもありませんし、圧迫感もありません。包み込まれるようなフィット感が特徴のイザナギ(現在使用中)ですが、そのイザナギよりもかぶり心地自体が向上している気がします。

細かい点では、フロントパッドがかなりいい働きをしてくれると思いました。上り坂で速度が落ち、汗が噴き出してくるような状況でも、目への汗の滴りが皆無でした。女性は顔に汗が落ちてくるのは嫌なものなので、このパッドは女性サイクリストにもいいと感じます。

こんなヘルメットを待ってました! そう言わせる一作です。

 

「フレックス・エアー」のラインナップ

カラー

カブト フレックス・エアーのカラーバリエーション

①マットホワイトシルバー
②マットブラックガンメタ
③マットバーガンディー
④マットアクア
⑤マットトランス
⑥マットゴールド

 

サイズと参考重量

XS/S(185g)
S/M(195g)
L/XL(215g)

 

Brand Info〜Kabuto(カブト)について

日本のヘルメットブランドで、モーターサイクル用ヘルメットと自転車用ヘルメットの2つを柱に展開している。自転車用ヘルメットでは、日本人の頭部形状にフィットする作りで人気が高い。スポーツ自転車用以外にもシティユースのものやキッズ向けのものなどを総合的にラインナップしており、自転車向けのアイウェアも展開している。

 

カブト公式 FLEX-AIRの動画もチェック!