グラベルサイクリングで土地と対話する「丹波サイクルデイズ2026」レポート
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4月4日、5日、「パナレーサー丹波サイクルデイズ2026」が兵庫県丹波市で開催された。グループライド、フリーライドで2日間グラベルを走った旅系サイクリスト、神楽坂つむりさんのレポートをお届けする。(編集部)
今年も「丹波サイクルデイズ2026」にゲストライダーとして参加してきた。昨年参加をして丹波の解像度が一気に上がった私は、今年は2日間フルでその魅力を深く味わうことに。
会場は昨年と同じ、パナレーサー本社工場。もうすっかり慣れてしまったけれど、改めて思う。タイヤ製造メーカーであるパナレーサーが、自らイベントを企画・主催・運営するというのは、本当にすごい! 丹波エリア、実はアクセスが良い。大阪駅から輪行で一本で行くことができる。1時間ちょっとだ。会場に到着すると工場内とは思えないほどスムーズな導線、充実した自転車ラック、細やかな気配り。国産タイヤメーカーの底力と、丹波の地への本気度が、毎回伝わってくる。
機材はCANYON GRAIL(キャニオン・グレイル)に、パナレーサー・グラベルキング40Cの限定色を履いての参戦。
1日目:グラベル桜回廊(52.9km / 獲得標高576m)
参加者全員を小グループに分け、それぞれにサポートスタッフがつくという、驚くほど手厚い体制。ポタリングペースのガイド付きサイクリングツアー形式だ。ただ走るだけでは絶対に気づけないポイントを、スタッフさんが丁寧に解説してくれる。この日しか入ることができない古いトンネルにも案内され、薄暗い石積みのアーチをゆっくりとくぐり抜けた瞬間の、ひんやりとした空気と突然の開放感は忘れられない。出口から差し込む光が、まるで新しい世界へ誘う扉のようだった。
景色はまさに抜群! 狙ったかのように桜が満開で、グラベル区間も淡いピンクの桜並木が続き、まるで桜のトンネルをくぐるように進む。風に舞う花びらが、路面に薄いピンクの絨毯を敷き、タイヤがそれを踏みしめる感触が心地よい。序盤は薄曇りの柔らかな光が桜を照らしてくれた。終盤にかけて雨脚が強くなってきたのは少し残念だったけれど、それでも雨粒が花びらに落ちて輝く様子は、別の美しさがあった。
今回は同じくゲストライダーの自転車系ユーチューバーけんたさんや他の関係者と一棟借りの家に宿泊。食事をしながらイベントの感想や自転車の話、旅の話……。こういうイベント外の時間もとても充実していた。
2日目:グラベルロング(88.3km / 獲得標高2008m)
メインイベント。晴天。今日は走りごたえが本物だ。グラベルの質、難易度、高低差、どれも申し分なく、それなりにライダーの実力差が出るコース。だけど早朝、会場に着くと雰囲気は和やかで、グラベルイベントらしい空気感が心地よかった。上りは容赦なく脚を攻め、平坦や下りでは丹波の雄大な眺望が広がる。360度山に囲まれながらも、稜線や谷間の表情が次々と変わり、深い森の緑と遠くの山並みが織りなすコントラストに息を飲む。黒川ダム周辺では、まるでオレゴンの荒野のようなコバルトブルーの水面と土のコントラストが広がり、「アドベンチャーしてるぜ!」という高揚感が自然と湧き上がってきた。CANYON GRAILとグラベルキングの組み合わせは、こんな変化の激しい路面でも安定感抜群で、安心してペダルを回し、時には攻め込むことができた。
何より印象的だったのはグルメの豊富さ。2日間を通じて去年以上にパワーアップしていて、地元丹波の食材に徹底的にこだわっているのが伝わってきた。スパイスの効いたカレー、香ばしいグリル料理、優しい甘さの甘酒、季節の和菓子……エイドが豪華すぎて、補給食をほとんど持たずに走りきれるほど。ブラックサンダーやコーラの定番も健在で、味のバランスが絶妙。エイドに着くたび、スタッフさんの笑顔とともに温かい飲み物や新鮮な地元料理が待っているのが嬉しくて、疲れを忘れてまたペダルを踏み出したくなる。丹波の黒豆や山の幸が活かされた品々は、ただの補給ではなく「ごちそう」として心も体も満たしてくれた。
2日間を終えて改めて感じたのは、丹波のポテンシャルの高さ。山深い土地の厳しさと優しさ、季節の移ろいゆく美しさ、そして温かい人々のホスピタリティ。それらは、ただ一人で訪れたり、通り過ぎるだけでは絶対に気づけないものだ。小グループでスタッフとともに走ることで、地元の隠れたトンネルや、桜の裏側にあるストーリー、丹波ならではの食文化の深さに触れられた。
全国各地にまだまだ眠っているローカルな魅力に想いを馳せ、グラベルサイクリングがそれを発掘するのに最高に相性の良いツールだと、再確認した。イベントが、ただのレースや走行会ではなく、「土地を面で捉える」体験そのものになっていた。
パナレーサーがモデルケースを見せてくれたような、素晴らしいイベントだった。
来年も、きっとまた丹波の春を、グラベルで追いかけ、もっと深く知りに行くことになる。雨の降る中でも満開の桜が輝いていたように、どんな天候でも丹波は私たちを迎え入れてくれる。そんな確信を抱きながら、石生駅からの輪行で家路についた。































