「八重洲出版 趣味人大放出感謝祭 2025」アフターレポート
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“趣味にマジメなヤエス人”と読者が集った、濃密な1日
2025年12月21日(日)、東京・八丁堀にある八重洲出版エイトビルにて、一般読者向けフリーマーケットイベント「八重洲出版 趣味人大放出感謝祭」が開催された。
本イベントは、「サイクルスポーツ」「モーターサイクリスト」「オールドタイマー」など、数々の趣味誌を手がけてきた八重洲出版が、長年支えてくれた読者へ感謝を伝えるべく企画したものだ。編集部員やライター、関係スタッフが“1人=1畳”のスペースに立ち、自らの私物や愛用品を持ち寄る——言葉にするとシンプルだが、その中身は想像以上に濃い。会場には、誌面づくりの延長線上にある「本気の趣味」が、これでもかと並んだのである。


八重洲出版 本社ビル(エイトビル)
「八重洲出版らしさとは?」企画は“雑談”から始まった
そもそもこのイベントの発案は、サイスポが所属する部署が行った「キャンプ会議」のなかでの雑談がきっかけであった。「ライター、スタッフ、編集者……それぞれが強烈な趣味とバックボーンを持ち、個性的な人物がそろう八重洲出版ならではのイベントをやりたいよね」という一言から、その“人物”をどう活かすかという話になり、「趣味のモノをひけからすことで、読者と交流できるのでは?いっそのこと売り買いできればいいのでは?」と行き着いた答えが「フリーマーケット」だったのである。
準備期間は約1カ月。まったくをもって余裕があったとは言えないが、「名古屋サイクルスポーツデイズ」「痛車天国」「レトロカー万博」など、数々の大型イベントを手がけてきた社内の精鋭たちとともに一気に段取りを組み上げ、企画は現実のものとなった。そのスピード感もまた、八重洲出版らしさのひとつなのだろう。

キャンプ会議の様子

八重洲出版 趣味人大放出感謝祭 2025 当日の受付の様子
編集部員・人気ライターの“私物放出”フリマ、全15ブースが集結
今回の感謝祭には、古い車を扱う「オールドタイマー」、二輪の「モーターサイクリスト」、自転車の「サイクルスポーツ」にキャンピングカーの「オートキャンパー」といった各編集部を中心に、人気ライターや各誌編集部、事業部スタッフまで含めた全15ブースが出店した。会場はエントランスから1F・3F・4Fにまたがり、ビル全体が一日限定の“趣味の文化祭”と化した。
並んだのは、バックナンバーや書籍といった定番アイテムだけではない。自転車やバイクのパーツ、旅や撮影で使い込まれたギア、キャンプ用品、アパレル、雑貨、模型……中には「これは本当に売ってしまっていいの?」と聞きたくなるようなアイテムも混じる。開始直後から各フロアは賑わい、ブースごとに自然と会話の輪が生まれていたのが印象的であった。
サイクルスポーツでは20年近くにわたり連載を続ける旅行作家・石田ゆうすけ氏のブースには、“旅人の読者”が自然と集まり、気がつけば濃密な旅の話が始まっていた。著書をきっかけに話が広がり、「あの旅はどうだったのか」「次はどこへ行こう?」と、フリーマーケットの一角が小さなトークイベントのようになる場面も見られた。

サイクルスポーツ ライター・大屋雄一
撮影や試用のために購入したワークマン旧製品やキャンプ用品を中心に展開。目玉はテント。売り上げは寄付に回されるという、姿勢まで含めて“らしい”出店である。

サイクルスポーツ ライター・中谷亮太
サイクルジャージや各種パーツ、カメラ機材など、旅と取材の現場感あふれるラインナップ。グラベル情報を直接聞くことのできるチャンスに

サイクルスポーツ ライター・石田ゆうすけ
著書(新品)を携えて参加。希望者にはその場でサイン対応という嬉しいおまけ付き。近著『世界の果てまで行って喰う』を手に、本人と旅の話ができる贅沢な時間である。

サイクルスポーツ編集部・エリグチ
自転車パーツやウェア、古本に加え、なぜかプラモデルも並ぶカオスなブース。ガンプラは子どもたちにも大人気! 足を止める来場者が後を絶たなかった。

サイクルスポーツ編集部・鈴木ジュンキ
自転車、フレーム、ウェア類を大放出。新品ウェアは特に大好評

サイクルスポーツ編集部・山口ケンタ
本人曰く“ガラクタ”中心の出品だが、そこにSTRIDA(折り畳み小径車)は即売、最も売上があったというウワサ

モーターサイクリスト編集部・ぴの子
ステッカーやTシャツなど、編集部発のオリジナルグッズを展開。男所帯のフロアに彩りを添えていた。

モーターサイクリスト編集長・太田力也
キャンプツーリング用ギアや整備工具、雑誌などを特価で放出。テントを前に、ツーリング談義に花が咲く場面も。

オートキャンパー編集長・品田
愛車のキャラバン・キャンピングカーとともに、雑貨や衣類やアウトドア用品など、肩の力が抜けたセレクトが心地よいブースに。

事業開発部・日暮大輔
20〜30年前のクルマ・バイクのカタログを中心に出品。紙もの好きにはたまらない空間で、まとめ買いする来場者も多かった。

オールドタイマー編集長・甲賀精英樹
古本や雑多なアイテムに加え、1973年式シトロエンDS23(書類付きレストアベース車)のパネル展示が話題をさらった。(売約しました)

フリマを超えた“ファンミーティング”的体験
加えて、多くの来場者が驚いていたのが、編集部の中を実際に見ることができた点である。普段は誌面でしか想像できない制作現場を前に、「本当にインプレッション記事を作るために、サイズごとの試乗車をこんなに集めているんですね!」と感心する声も聞かれた。誌面の裏側を知り、そこで働く人と話し、その人が使ってきたモノに触れる——こうした体験が重なったことで、本イベントは単なるフリマを超えた“ファンミーティング”的な空間になっていたのである。
本イベントの核は、安く買えることでも、珍しいものが並ぶことでもない。「編集部と読者が直接顔を合わせ、言葉を交わせること」にある。普段は立ち入ることのできない編集部フロアを会場として開放し、誌面づくりの裏側を感じながら編集者やライター本人と話す。その距離の近さに、「思っていたよりずっと話せた」「中の人の温度感が伝わった」という声が多く聞かれた。
実際、来場者アンケートでは満足度平均4.2点(5点満点)と非常に高い評価を獲得している。「掘り出し物を買えた」以上に、「人と話せたことが一番の収穫だった」というコメントが目立ったのが印象的である。
初回ながら来場者に大満足いただき、無事成功となった本イベント。次回はどのような進化を遂げようか。スタッフの間からはすでに「来年はもっとグレードアップして街も巻き込みたい!」という声も上がっており、この感謝祭は一度きりで終わるものではなさそうだ。
イベント概要
イベント名:八重洲出版 趣味人大放出感謝祭
日時:2025年12月21日(日)10:30〜15:00
会場:八重洲出版エイトビル(1F・3F・4F)
入場方法:ワンマガジン制(雑誌1冊購入、または購入証明を1F受付にて提示)












