神奈川の林道のゲートの先で、グラベル&MTBライド!「丹沢アウトドアオープンゲート」のこれまでとこれから
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神奈川県秦野市で開催された「丹沢アウトドアオープンゲート」は、“もっと自由に、アウトドア!”をコンセプトに、普段は立ち入りが禁止されている丹沢の林道を開放してロゲイニングやサイクリング、トレイルランニングが一挙に体験・体感できるイベントだ。
『丹沢GRAVEL ESCAPE』で丹沢のクローズドな林業作業道に潜入!
丹沢でのアウトドア体験をより気楽に・身近に感じてもらうことを目的に開催されている本イベントは、2024年6月に開催された「丹沢グラベルオープンゲート」をルーツとしており、2025年2月に開催された第二回からは「丹沢アウトドアオープンゲート」とタイトルを改称し、今回が第三回の開催となる。
そのルーツに近いともいえるグラベルライドは今回、普段立ち入りが制限されている三ノ塔エリアの林道を開放しての「丹沢GRAVEL ESCAPE」、そして四十八瀬川沿いのグラベルを走る「初心者グラベルツアー」の2本立てで開催された。今回のエリアの林道はグラベルとトレイル両方のエッセンスを含んでいるという事前情報をキャッチした我々サイスポ取材班は、取材バイクにMTBをチョイスし意気揚々と潜入した。
今回の特筆すべき点は、林道の入り口までトランポ(自動車でバイクと人を輸送すること)されることである。指定される林道コースは、第一回でも開放されたルートではあるものの、急勾配の舗装路が長く続くためアプローチには相応の体力や時間が求められる。今回、アプローチがトランポになったことで、参加者は体力の心配なくライドに集中できるというわけだ。
サイクルスタンドが増設された特別仕様のトラックの荷台には、グラベルバイクやMTBなどのオフロードバイクがスタッフの手によって隙間なく積み込まれ、どんどん峠の頂上へ輸送されていった。頂上までの所要時間は約10分程度と、自走で上るのとは比較にならないほど早く・ラクに頂上へアプローチすることが可能だ。途中、木立の隙間から見える見晴らしも良く、トラックに揺られながら景色を楽しんでいればあっという間に到着してしまった。
トラックの荷台からバイクを降ろし終えると、ライドを先導するスタッフからコースインストラクションをしてもらい、ライド開始だ。今回はアップダウンを含み路面が比較的ハードな「エキスパートコース」と、下り基調で路面が比較的穏やかな「ベーシックコース」の2コースが用意された。
事前にスタッフから説明を受け、MTBに乗ったライダーはエキスパートコースを、グラベルバイクに乗ったライダーはベーシックコースを選ぶ方がほとんど。我々がチョイスしたエキスパートコースは、序盤から急勾配のダブルトラックが待ち受ける。コースには大きなギャップや溝などはないものの、粒が大きめの砂利の路面はテクニックが求められる場面もあり、荷重コントロールにも注意が必要。途中、大きく崩落している箇所をコーステープに従って降車する以外は、フローなグラベル区間が続く。まさにエキスパートが気持ち良く楽しめるコース設定だ。
いくつか上り返し区間を含むことから、機材のチョイスとしては50mm以上のタイヤとサスペンションを備えたグラベルバイク、もしくは2インチ程度のタイヤを履かせたダウンカントリー系のMTBが最も楽しめるかもしれない。スキルに自信のあるライダーは、少し細めのタイヤや短めのサスペンションなどの機材を安全マージンの許す範囲でチョイスすることで、よりエキサイティングな楽しみ方ができるだろう。
今回開放された三ノ塔エリアの林道は、普段の立ち入りが禁止されているとはいえ、イベントに向けて適切に整備されているため走りやすい。普段は走れない場所を自由に走れ、そしてメイン会場でのお祭り感も満喫できる、特別な一日となったのだった。

メインのイベント会場である秦野戸川公園では、第一会場には横浜のアウトドアショップ「グッドオープンエアズ マイクス」をはじめ、バイクメーカーやアパレルブランドなどのブースが多く立ち並んだほか、バラエティ豊富なキッチンカーも登場し、ショッピングや食事を楽しむ参加者も多く見られた。公園内の第二会場には広大なダートの上にラジコンの特設コースが設けられ、大きなにぎわいを見せていた
「第3回 丹沢アウトドアオープンゲート」
開催日╱2025年11月29日(土)〜30日(日)
開催地╱神奈川県秦野市の秦野戸川公園
主催╱丹沢アウトドアオープンゲート実行委員会
Interview 「オープンゲート」の背後にあるもの
丹沢の林道のコース整備やイベント運営の主体となる団体「鶴嘴 -Tsuruhashi-」の代表に、本イベントの背景と展望を聞く。
──まず、廣西さんと丹沢のつながりについて教えてください。
廣西 鶴嘴 -Tsuruhashi-の母体であるNPO法人の「丹沢を愛する会」の代表である山本哲史さんが経営している「YAMA CAFE」に立ち寄ったことをきっかけに、山本さんが丹沢でのアウトドア文化を広めたいという思いから活動していることに感銘を受け、自転車部門として2023年頃から活動し始めました。
──かつてのMTBブームの際に自転車が締め出された丹沢エリアで、「丹沢アウトドアオープンゲート」が開催されるに至った経緯を教えてください。
廣西 丹沢エリアの森林を管理する秦野市森林組合とは、以前から山本さんが信頼関係を築いていました。鶴嘴としても、林道を使った自転車アクティビティを盛り上げたいという思いを共有し、イベントを開催するに至りました。森林組合としても丹沢エリアの活用方法を模索した際に、林道の使い方のマナーやルールを把握しているという点で、信用できる事業者として認識していただけたのかなと思います。
──丹沢エリアの森林における、本イベントの意義について教えてください。
廣西 鶴嘴の活動としてイベントに向けてトレイルを整備することや、イベントを通して多くのライダーが走ったりすることによって、獣害やヒルの減少につながったり、森林の環境が整うことにつながります。アクティビティが盛り上がることを通して、森林を管理する秦野市森林組合にも貢献できる結果になればと思っています。
──丹沢エリアの今後のビジョンを教えてください。
廣西 本イベントは、丹沢が幅広くアクティビティを楽しめるエリアであることから、今までアウトドアに触れてこなかった人が初めてのタッチポイントとなるイベントを目指しています。そしてイベントの時だけ人が集まるのではなく、年間を通して様々なアクティビティが楽しめるエリアにしていきたいですね。晴れの日はサイクリングや登山を、雨の日は屋根付きのクライミングウォールを登ったりタープを張って焚き火をしたりといった、多彩なアウトドアを楽しむ文化が根付くよう、活動を続けてまいります。

















