九十九里浜にてライドイベント&砂浜でのビーチクロス「Beach Life in 九十九里町2025」レポート
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2025年10月11日~12日、千葉県山武郡九十九里町にて「Beach Life in 九十九里町2025」が行われた。3年目にして新設されたBeach Flow Rideと、新たな競技ビーチクロスについて聞いた。
Beach Flow Ride

今回のイベントの運営に関わった(左から)九十九里町役場の楠元大輝さん、日本ビーチ文化振興協会の吉澤頌平さん、チャンピオンシステムジャパンの棈木亮二さん
当日はあいにくの雨となってしまったが、10月11日に行われた「Beach Flow Ride」はショートコースの40㎞とロングコースの80㎞が用意され、エイドステーションでは地域の美味しいグルメが振る舞われた。
ルートは城西国際大学の観光学部が協力し、コンセプトなどを伝えると授業の一環として、地域の魅力を多く組み込んだコースを作ってくれたそうだ。
今大会の運営を行ったチャンピオンシステムジャパンの棈木亮二さんは、「観光学部の目線でルートを作ってくれて、それが40年以上自転車に乗っている側からしてもすごく良かったんです。自転車乗りってどうしても速く、遠くに行きたいじゃないですか。でもショートカットとか全然しないんです。地域の魅力を盛り込んで、ここがいいっていうのを繋いでくれて、天気が良かったら本当にいいコースでした」と話す。


ライドの日はあいにくの雨ではあったが、多くの参加者が楽しんでいた様子だった
今大会主催の日本ビーチ文化振興協会の吉澤頌平さんは、「車だと全く気にならない道でも、自転車だからこそ寄れる畦道とか林道とか、思わず写真を撮りたくなるコースで、適度な坂もあってまさにフローライドという名前に適したコースでした。エイドステーションにも学生が行ってくれました。さらに、成田空港に関わる空の湯の社長さんはこの辺りをよく知っているので、作ったコースをさらに見直してもらって、ガイドライダーもしてもらいました。地元の人たちの協力あってのイベントでした」と語った。
スタート/フィニッシュ地点となった九十九里ふるさと自然公園の中央広場には、走り終わったライダーたちが地元のはまぐりを笑顔で頬張っていた。
Beach Cross 99

遠浅の浜辺に横に広く並んだ参加者たち
翌日の10月12日には3年目の開催で、今年からUCI公認となった「Beach Cross99」が行われた。今回はUCIレースについてはMTBのクロスカントリーの枠として行われた。
そもそもビーチクロス(ビーチレース)というのは、2000年頃からオランダやベルギーなど自転車競技が盛んなヨーロッパ北部で人気のビーチを使った自転車競技のこと。
夏には海水浴場として人気を博す九十九里町の海岸。海水浴のシーズン以外にも海辺を活用をしたいということで、九十九里町から日本ビーチ文化振興協会に相談があり、元々シクロクロスに興味があったという協会の吉澤さんが発端となってこの大会が開催された。
日本ビーチ文化振興協会は、全国の自治体と組んで海水浴シーズン以外の海辺の活用方法、例えばビーチスポーツや青少年の育成、小学校など地域の運動会、さらに環境保全活動などをそれぞれの地域に合った形で提案しているという。
「お台場海浜公園でビーチスポーツのイベントなども行っているんですけど、同じ場所で棈木さんがシクロクロス東京を開催されていて、そこに視察に行きまして、この九十九里町の浜辺でシクロクロスができませんかと相談したのが始まりです」と、吉澤さんは話す。
九十九里の砂浜の砂は、非常に細かいという性質があるそうだ。ビーチバレーやビーチサッカーなどの競技をやるには砂が細かすぎて足を取られやすくて踏ん張りが効かず、跳びにくいのだそう。一方で、自転車を走らせるには非常に適している砂質であると吉澤さんは語る。少し水を含むと締まった路面となり、かなりスピードを出せるのだという。
年間を通して風が強いということもビーチバレーなどにはあまり適さないが、「風の強さも自転車からすると、逆にその風をどううまく使うかが勝負の分かれ目になってくると思うので、そういうところでも新しいビーチスポーツとして、ビーチクロスは非常に適しています」と吉澤さん。
さらに、九十九里の浜辺は遠浅で走れる幅がかなり広いのもビーチクロスを行うにあたってのメリットだ。
初回大会は、九十九里町役場の楠元大輝さんも「ビーチで自転車? できるのか? というところからスタートするほど、インパクトもすごくて、他の自治体さんからしても、浜辺で自転車レースって?みたいな感じでした。砂の質も適していたようで、すごく衝撃でした。九十九里浜自体は、車両は基本的に侵入禁止で、この大会では特別に許可を取って走れる状態となっています」と話す。

幅が広い浜辺を走る

砂が非常に細かいのが九十九里の浜辺の特徴
初回は1周2.5㎞ほどのコースだったが、スピードが出るためにあっという間に周回をしてしまうことで、2年目からは5.5㎞のコースに延長された。波打ち際の砂浜を走るのが75%、グラベルコース20%、舗装路5%で構成されている。

今年初のUCIレースということで、初めて作成されたメダル。海をイメージして、後ろには青色のアクリルが付いており、光で透けるメダルに
UCIのカテゴリーでなければ機材は自由。シクロクロス車やMTB、グラベルバイクや小径車で走る人もいたそうだ。

パックで走行するUCIカテゴリーのレース
現時点では、ビーチレースの日本での開催はここのみ。日本での将来性について棈木さんはこう語った。
「グラベルを走らせる場所が特に本州ではなかなかないですよね。MTBもレース作る場所が少ない。このレースは囲われているし、冬のビーチは閑散期で許可が下りやすい。第三の競技として、日本にとてもマッチしているんじゃないかと思います。ロードレースをやるにはかなりお金が掛かってしまうけど、ビーチレースだとほぼロードレースと同じ規模の距離が出せるし、一気に1000人以上走っても幅が広いから収容できる。マラソン大会みたいなロードレースにできるんじゃないかという将来性があると思います。さらに、海岸を活用する団体とタッグを組むといろんなところでできるので、将来的にはシリーズ戦のようにいろんなところでできれば」

アンバサダーの片山右京さんのもとにモータースポーツファンのお父さんと娘さんが話し掛けに来ていた
ライドイベントも翌日のビーチクロスにも参加した公式アンバサダーの片山右京さんは、「ビーチクロスの方は、実は初めてでシクロクロスもやったことがなくて、借りてきたグラベルバイクで走ります。シューズも昨日買ってきてまだ履いてないです」と笑い、こう続けた。
「自転車の練習をするのに、坂道や風がないとだけど、砂浜はすごい。子供でも女性でもケガしにくいでしょう。最近アカデミーを始めたから、今度は本格的にこっちに来てトレーニングも入れようかなと思っています。これで子供たちが強くなってきたら、そのうちビーチクロスからロードレーサーが生まれるかもしれないですよね」

UCIカテゴリー男子エリートでは北林力(Massi development team)が独走勝利。2位が西山靖晃(GIANT KOIDERU)、3位が詫間啓耀(NESTO FACTORY RACING)

UCIカテゴリー女子エリートの優勝は石田唯(TRKWorks)。2位に安藤沙弥(SHIDO-WORKS)、3位にQuinones Nicole(Asia union tcs racing team)
BEACH CROSS 99 大会概要
■名称:Beach Life in 九十九里町2025 ビーチプログラム/ BEACH CROSS 99
■開催日程:2025年10月12日(日)
■開催場所:片貝中央海岸(千葉県山武郡九十九里町)
■主催:ビーチライフ in 九十九里町実行委員会
■公認:UCI(国際自転車競技連盟)、JCF(日本自転車競技連盟)
■名称:Beach Flow Ride (ビーチライフin 九十九里町2025 コラボレーションイベント)
■開催日程:2025年10月11日(土)
■開催場所:千葉県・九十九里町、山武市、芝山町
■コース:ロングコース(80km)、ショートコース(40km)
■主催:NPO 法人日本ビーチ文化振興協会
■後援:九十九里町
ビーチクロス公式ウェブサイト
https://beachcross.jp/











