自転車と公共交通の連携が拓く地域の未来
2025年6月21日、鳥取市民会館にて「自転車とつながる公共交通の未来シンポジウム」が開催された。
鳥取県が進めるサイクルツーリズム振興の一環で、自転車と公共交通の連携強化をテーマに、県内はもとより県外からも多くの関係者が参加した。基調講演では東海大学の鈴木美緒准教授が登壇。鈴木准教授は20年以上、自転車と交通に関して研究をしており、講演では「自転車と公共交通が共生するまちづくり」と題し、海外の先進事例を紹介。貨客混合のサイクルトレイン最新事情を始め、高齢化社会が進む現代社会において自転車の役割、観光と自転車のあり方、そして持続可能な移動環境の必要性について語った。
続いて話題提供として元国土交通省 自転車活用推進本部の金籠氏が登壇。「自転車×公共交通」の制度や設備などの最新の情報が提供された。自身も生粋のサイクリストということもあり、様々な国内外の事例を話しながら、観光と自転車をどう繋げていくか、インバウンドとの組み合わせ、ナショナルサイクルルートの活用など、サイクリストとしても豊富な経験を元に様々な実例を発表した。会場は大いに沸き立っていた。
事例紹介では、JR東日本の常磐線サイクルトレインや近鉄の伊勢志摩サイクルトレイン、神姫バスのサイクルバス。愛知県田原市の事例、鳥取県内からは「うみなみサイクルトレイン」の先進事例が報告され、観光と日常の移動を両立させる仕組みとして会場の注目を集めていた。
パネルディスカッションも行われ、登壇者それぞれの立場から「自転車と公共交通」とのあり方が語られた。実施に当たってはさまざまな課題があり、その中でそれぞれの立場で解決に向けて動く毎日だったという。
「関係各所とのコミュニケーションの重要性」が一番大事だったと共通認識も示され、今後のさらなる促進に向けた道筋が描かれた。
翌22日には、県内3地域でエクスカーションライドも実施され、参加者は「うみなみロード」や「倉吉白壁土蔵群」「大山の自然」などをサイクリングで巡り、地域の魅力と自転車の親和性を実感していた。