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最新&人気ホイール一気乗り

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2ウェイフィットのエントリーモデルがチューブレスタイヤをより身近な存在にする
プロユースのハイパフォーマンス カンパニョーロとフルクラムの上位機種
軽量なハイブリッドリムでチューブレスの魅力が増すチューブレス対応ホイールに 待望の新ブランドが加わる

最新&人気ホイール一気乗り アルミ系クリンチャー/チューブレス17本
WHEEL ホイール Tubeless/Tubed Tire Fit Model&Tubed Tire Fit Model
 
Test Condition今回の試乗は、静岡県伊豆市の日本CSC周辺の一般公道を舞台に行なった。コースには時速60㎞ほどに達する下りがあり、タイトなコーナーも含まれる。上りは4~10%に加え、14%程度の急勾配もある。路面状況は良好な舗装路から荒れた箇所まで、乗り心地を確かめるには十分だった。

Character Judgement今回はテストホイールの使用用途を判断するためのグラフを掲載した。持ち点は10点で、平地、上り、ロングライドの3つの用途に対して配点した。たとえば平地性能に長けたホイールの場合、その性能が8で、他2つの要素が1点になる場合もある。インプレッションと合わせて参照していただきたい。

評価項目 ヒルクライム/平地/ロングライド=
 

フレームと並んでロードバイクの性能を大きく左右するホイール。フレームのカーボン化に伴い、ホイールでもこの素材の需要が高まっている。とくにプロレースでは速度域が高く、エアロダイナミクスがより求められ、それを追求しつつ軽量化できるのでカーボン化が進んでいる。

とはいえ、価格は20万円以上が相場で、一般ユーザーが簡単に手にできるものではない。購入してもレースやイベント用の決戦ホイールとしてしか使用する機会がないユーザーも多いだろう。カーボンリムの場合はタイヤもチューブラーが主流で、メンテナンス性や耐久性など総合的に見るとアルミリムに分がある。ホビーユーザーに身近な存在、それがアルミリム採用のモデルだ。

タイプを見るとオールラウンドに使用できる製品が多いとうのも、アルミモデルの大きな特徴だ。価格の幅も入門用の3万円台からプロ選手が使う20万円まで広く、軽量モデルや最先端の繊維スポークもあり、多様なラインナップから選べる。

そして、現在アルミモデルで見逃せないのがチューブレスタイヤに対応した製品だ。シマノがいち早く発売したが、カンパニョーロは昨年からチューブレス&チューブドタイヤで使える「2ウェイフィット」シリーズを上位機種に投入。今年はそれをミッドレンジにまで拡充してきた。先駆者のシマノも最安モデルのアルテグラを発売し、DTも参入するなど、チューブレスホイールの選択肢は、さらに魅力的になった感がある。というように、アルミリムモデルはじつに活況を呈している。
今回のテストではこうしたチューブレスタイヤ対応モデル(カーボンハイブリッドも含む)と、チューブドタイヤ用の人気&注目モデル17本を集めた。

組み合わせるタイヤによりホイール性能は大きく影響されるので、チューブレスはIRC・フォーミュラプロRBCC、チューブドはブリヂストン・エクステンザRR1に使用タイヤを統一。テストライダーは、ブリヂストン・アンカーの飯島誠選手を迎え、サブとして本誌の試乗記事などを担当する吉本司が行なった。 はたして注目の17本、そのライディングフィールはいかに?

 
ImpressionRiders 飯島 誠 飯島 誠(いいじま まこと)71年2月12日生まれの38歳。身長169㎝。体重59㎏。チームブリヂストン・アンカー所属。今年で競技生活19年を迎えるベテラン選手。スピードマンタイプのオールラウンダーで、トラック競技における実績もありシドニーから3大会連続で五輪ポイントレース種目に 出場している。愛車はアンカー・RHM 9。レースではマヴィック・コスミックアルティメット、キシリウムSLを中心に使用する。 吉本 司 吉本 司(よしもと つかさ)71年1月8日生まれの39歳。身長187㎝。体重70㎏。サイクルスポーツ編集部員を経て、フリーランスの自転車ライターとして活動。おもにロードバイクのハードウエア関連の記事を執筆する。今回はホビーユーザーを代表する立場としてサブテスターを担当。愛車はキャニオン・アルティメットCF。ホイールはカンパニョーロ・ユーラス、シマノ・WH-7850-SLなどを普段使いしている。
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WHEEL 2大コンポメーカーを軸にチューブレス対応モデルが拡大 Tubeless Tire/Tubed Tire Fit Model 2ウェイフィットのエントリーモデルがチューブレスタイヤをより身近な存在にする
チューブレス対応で完成の領域に達したミッドレンジ FULCRUM RACING3 2WAY FIT 上位機種のエッセンスを受け継いだバリューフルなモデル CAMPAGNOLO ZONDA 2WAY FIT
フルクラム・レーシング32ウェイフィット カンパニョーロ・ゾンダ2ウェイフィット
IIJIMA IMPRESSION1600g近い重量なのに、それを感じない軽い走りが魅力的。剛性感は上位機種を受け継いで高いレベルにある。レーシングゼロのほうが軽量なので初速ではパリッとした加速を体感できるが、車輪がある程度回り出してからの速度の持続性は引けをとらない。さすがに時速20㎞以下になる上りではホイールの重さを感じるが、基本となるヒルクライム性能は、ホビーユースであれば十二分に満足できる。群馬CSCや鈴鹿サーキットのように速度域の高いレースなら、トップ選手が使っても不足はない。とにかく死角が見当たらず、チューブレスタイヤ対応なので、レースからロングライドまで何でもできる。重量のセーフティマージンも大きくレースから練習まで使える。費用対効果で考えるとレーシングゼロよりも優れている。
評価 加速、巡航性に優れる性能は上りや平地のスピードレースに向いている。
巡航性がいいのでロングライドでも
まったく問題はない。
IIJIMA IMPRESSION軽快な乗り味で、出足も軽く、1500g中盤の重量を感じさせない。直進安定性が際だっており、下りでもしっかりペダルを踏んでいける。重量は上手に慣性の大きさにつなげられ、巡航性は高いレベルだ。シュルシュルと車輪が回ってくれる感覚があり、ソロライドでもムダな力を使わず延々と走れる。同じ3Gスポークパターンを採用しているが、ユーラスと比べると加速時にやや遅れる感がある。スポークがステンレス製になったためスポークが集中していない部分で、微妙なねじれが出ているのかもしれない。上りはダンシングで加速を繰り返すよりも、一定ペースで踏んでいくほうがいいだろう。上位機種と比べてしまうと不足に思える部分もあるが、基本性能は高いレベルが実現されている。
評価 高い巡航性は平坦基調のコースに向いている。
転がりのよさはロングライドでもムダな力を
使わず効率的な走りができるだろう。
YOSHIMOTO IMPRESSIONステンレススポークを採用しているとは思えないほどシャッキリとした乗り味が魅力的。クセがなくバランスのいいホイール。剛性も十分なのでペダルをしっかり踏むことができ、平地から上りまでスムーズに加速できる。勾配のきつい長い上りを除けば不満はまったくなし。兄弟ともいえるカンパニョーロ・ゾンダと比べるとシャッキリ感ではこちらのほうが上。そしてヘビーウエイト(75㎏以上)でパワーのあるライダーならレーシング3のほうがいいだろう。乗り心地ではゾンダのほうに軍配が上がる。とはいえチューブレスタイヤにしてしまえば、そんなこともあまり関係なくなってしまう。自分の場合、ロードレースをるならレーシング3、ロングライドやロードレースでも公道の長距離ならゾンダという選択をするだろう。
評価 剛性が高く上りのダンシングでもよく進むので、上り性能は加点したいぐらい。
10%未満のアップダウンを繰り返すコースでも有効。
YOSHIMOTO IMPRESSION自分は普段ユーラスを使うが、それと比べると加速時のシャープさは劣るものの、基本性能は非常に高い。平地から上りまでこなせるマルチホイールだが、重量が1500g中盤であることと、3Gスポーキングはステンレススポークになると若干瞬発力が落ちるので、上りを繰り返すコースよりも平坦基調のコースのほうがよりいいだろう。とくに一度ホイールが回り出すと回り続ける感覚に優れている。中速域からの加速でも、自分のようなホビーライダーだとホイールの剛性と脚力のバランスに優れるためか、踏み負けることなくしっかりとトルクを伝えられる感覚があって乗りやすい。振動吸収性も優れているので、チューブレスタイヤと組み合わせれば、巡航性の高さと相まってロングライドは絶好だ。もちろんロードレースも十二分。
評価 上りの配点が低いが、あくまでもロングと平地性能に優れるからで、決して低いレベルではない。
価格を考えればあり余る性能だ。
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プロユースのハイパフォーマンス カンパニョーロとフルクラムの上位機種 外周部を軽量化した2ウェイフィットのスタンダード CAMPAGNOLO EURUS カンパニョーロ・ユーラス2ウェイフィット
IIJIMA IMPRESSION  
シャマルウルトラに比べると重く、ベアリングも一般的だが、そうしたハンディは今回のテストで感じることはなかった。違いが生じるのは10分(3㎞)以上の上り、ホイールの転がり抵抗の軽さに起因する巡航性能だろう。基本性能は高剛性でバランスに優れ、トルクをしっかり伝えてくれる。3Gスポークは加速後半の速度がよく伸びる印象だ。ロードレースからロングライドまで、あらゆるシチュエーションで使えるが、平坦や緩やかなアップダウンがあるコースが向いている。多くのライダーがユーラスの性能で満足できるだろう。 評価バランスのよさが際だち、
どんなシチュエーションでも気持ちよく走れる。
ホイールの転がり感が強いので平地の配点を大きくした。
YOSHIMOTO IMPRESSION  
シャマルウルトラに比べると重く、ベアリングも一般的だが、そうしたハンディは今回のテストで感じることはなかった。違いが生じるのは10分(3㎞)以上の上り、ホイールの転がり抵抗の軽さに起因する巡航性能だろう。基本性能は高剛性でバランスに優れ、トルクをしっかり伝えてくれる。3Gスポークは加速後半の速度がよく伸びる印象だ。ロードレースからロングライドまで、あらゆるシチュエーションで使えるが、平坦や緩やかなアップダウンがあるコースが向いている。多くのライダーがユーラスの性能で満足できるだろう。 評価正直なところ配点表がムダにも思えるオーラウンドモデル。
チューブレスタイヤを装備すればロングライド性能はさらに上がる。
CAMPAGNOLO EURUS
RACING ZERO & SHAMAL ULTRA DETAIL
回転抵抗をさらに減らし究極の走行性能を追求した FULCRUM RACING ZERO 2WAY FIT 考えられる高性能をすべて搭載したアルミモデルの頂点 CAMPAGNOLO SHAMAL ULTRA
RACING ZERO & SHAMAL ULTRA DETAIL
IIJIMA IMPRESSION  
乗った瞬間に感じる高剛性。実重量以上の軽い走り。ホイールが縦や横にぶれる感覚がなく、キレイな円を描いて真っすぐ回るので一体感がある。したがって踏んだ分だけリニアに進む。しかも高出力、高回転どちらの走りでもスムーズに加速できる。下りから上りの踏み返しではスピードの落ちが少ないので、細かなアップダウンがあるコースは得意だ。リムハイトは高くないが平坦も踏めるし、軽快なペダリングは重量を感じさせず、ヒルクライム性能も高い。走行感覚が気持ちいいのでロングライドも楽しめる。これさえあれば高次元でどんな走りもできる。シャマルと比べるとレーシングゼロのほうが初期加速はいい。両者で性能に絶対差はなく好みの問題だが、走らせて気持ちがいいと感じたのはレーシングゼロだ。 評価乗り味にクセがなく、どんなシチュエーションでも使える。ホイールを1本しか持てないのなら、レーシングゼロを選ぶだろう。
IIJIMA IMPRESSION  
シャマルウルトラ、レーシングゼロともに互角の高性能。シャマルの3Gスポークはバトンホイールのような感覚があり、踏んだときのタッチが若干穏やかで、なおかつ空力のよさがある。なのでスピードの持続性に優れ、1人で淡々と逃げる場合やロングライドにおいては、シャマルのほうが少ない力で走れる。加速における到達速度は最終的に両者同じだが、シャマルのほうが後半に速度が伸びる感覚がある。初期加速がいいレーシングゼロは小刻みな起伏の多いコース、シャマルウルトラは北海道のように緩やかなアンジュレーションがあるコースが向いている。また、カンパニョーロとフルクラムのホイールすべてに言えるが、ブレーキの効きがよくスピードコントロールを行ないやすいこと。これは他社を圧倒するアドバンテージだ。 評価転がり感が非常に優れており平地は有利なので、配点を大きくした。ロングは1だが問題となる点はなく高いレベルにある。
   
YOSHIMOTO IMPRESSION  
スカッと加速する踏み出しの軽さが際立ち、低速から高速までペダルを踏んだ分だけ速度が上がってゆく。思わず脚をムダに使ってしまうほど。加速感のわかりやすさはシャマルよりも上手だ。ホイールが不要なたわみを出さないのでレーンチェンジがスパッと決まり、高速コーナーでも踏ん張りがきく。間違いなくフレームの運動性能を高めてくれる。剛性が高いので、常にしっかりとペダルを縦に踏み下ろすペダリングスキルを意識して走るとバイクがよく進むが、脚力が落ちると、とくにダンシングではパタパタした走りになってしまうので、シャマルよりも上級者もしくはレーサー向きのホイールだろう。乗り心地は少し硬めだが、それはチューブレスタイヤで補完される。チューブレスで乗ってこそ性能のバランスがよくなる。 評価スカッとした加速感はスプリントや上りでの加速に絶対的なアドバンテージがあるので、ロングライドよりも断然レースで使いたい。
YOSHIMOTO IMPRESSION  
カッチリ感があり、乗った瞬間から重量を忘れるほどの軽さを体感できる。でありながら、上りや加速の後半で脚が上がりそうになり、ペダリングが荒れてきたときでもトルクを掛けやすい感があるのがいい。これは快適性と剛性のバランスに優れる3Gの特徴だろう。前輪の剛性感はダンシングやスプリントで前荷重になってもスパッとハンドリングが決まるので運動性能も高い。セラミックベアリングの有効性は長時間のライドで見えてくるものだが、性能向上に対してゼイを尽くすのは、さすがカンパニョーロだ。これ以上の性能は期待できないともいえるほど死角はない。ユーラスでも十分な性能だが、性能を突き詰めステイタスを求めるのならシャマルだ。また、スーパーレコードのコンポと組み合わせるにも相応だ。 評価ユーラス同様に性能バランスに優れ、なんでもできる。重量の軽さとセラミックベアリングを考えるとユーラスよりも上り向きか?
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軽量なハイブリッドリムでチューブレスの魅力が増す SHIMANO WH-7850-C24-TL シマノ・WH-7850-C24-TL
IIJIMA IMPRESSION    
軽量なハイブリッドリムならではの踏み出しの軽さを体感できる。しなやかな乗り味なので、大きなギヤでトルクをかけるような走りでは踏み出しのシャープさが損なわれる。なので平地でレース的な加速を繰り返す走りをするよりも、体重の軽いライダーがヒルクライムなどでケイデンスを重視しながら走らせると、ホイールの性能を引き出すことができるだろう。ハンドリングなどにもクセがなく、乗り心地にも優れているので扱いやすい。チューブレスタイヤの組み合わせはとくに振動吸収性に優れるので、ロングライドやエンデューロといった使い方にも有効だ。また、軽量なので非力な女性にも適しているだろう。価格を考えると仕方がないが、デュラエースの名を冠するのは、ホイールのキャラクターには見合ってないのでは?   評価上りやロングライドなど用途を限定したほうがホイールの性能を発揮できる。初心者や女性などはオールラウンドに使えるだろう。
     
YOSHIMOTO IMPRESSION    
外周部の軽さからくる初速の踏み出しの軽さが印象的。ホイール剛性がそれほど高くないためか、大きなギヤで加速をしたときのシャープさは希薄だ。全体的にもう少しシャッキリ感があるほうが、加速での勝負を強いられるレース的な走りには適しているだろう。乗り心地に優れていて、チューブレスタイヤと組み合わせればその性能はより高まるので、淡々とペダルを踏み続けるロングライドなどには絶好のモデルだ。外周部の重量も軽いので、ヒルクライムもマイペースで走って自己タイムを更新したいライダーにも向いている。WH-7850-SLがシャープなライディングフィールを持つので、シマノのラインナップとしては柔と剛でバランスがとれている。   評価乗り心地のよさが際だっているのでロングの得点が高い。平地のライディングにおいても巡航するようなシーンでは不満は感じない。
     
●チタン製のフリーボディ。その内部はラチェット数を増やした仕様となり、パワートランスファーの向上がねらわれている / ●アルミ×カーボン製のリムは、大きな力が掛かるニップル収納部の断面積を増して高いスポークテンションに耐えられる仕様
Tubeless Tire/Tubed Tire Fit Model チューブレス/チューブドタイヤ対応モデル チューブレス対応ホイールの先駆的存在 シマノも選択肢を広げる
最も手軽な価格でチューブレスタイヤが体験できる SHIMANO WH-6700 シマノ・WH-6700 チューブレスタイヤ対応ホイールのスタンダード SHIMANO WH-7850-SL シマノ・WH-7850-SL
IIJIMA IMPRESSION    
上位機種のよさを確実に継承している。重量が重いので低速でのキレはないものの、スピードに乗ってからの加速は優れている。下りでギヤをかけて加速しても、ホイール剛性が十分なのでよく進む。速度が乗ってからの走りは7850-SLと遜色ないほどだ。剛性バランスがいいので、重量面のハンディも平地では慣性として発揮され、巡航性にも優れる。上りは4~7%程度の緩斜面で速度を上げ下げすると、転がり感が強くてよく進む。さすがに時速20㎞を下回ったり、距離が長くなったりすると重量がハンディとなる。またリムは頑丈そうなので、初中級者でも安心して使えるはず。チューブレス対応でこの価格、そしてこの性能は、よくぞやったという感じ。このCPの高さは、自分で買うのなら絶対に選ぶだろう。   評価流れるように進む巡航性のよさから平地性能に5点を配点。上りは距離の長い上りでなければ回転のよさを生かして問題なくこなせる。
IIJIMA IMPRESSION    
C24とはハブ、スポークとも同じだが、リムが硬いため加速をスポイルするねじれを出さず、走りのシャープさは雲泥の差がある。重量はそこそこの軽さだが、それを上回る軽い走りだ。 長い上りでもペダルを回しやすくムダな力を使わないので、ヒルクライム性能も高い。十分な剛性感は、ガツンとペダルを踏んだときの反応性にも優れ、スピード変化にもしっかり対応可能だ。そして、巡航走行でもホイールが回転する感覚が強いので流れるように走れる。しかも乗り心地もいい。シーンを選ばない使い勝手に優れるモデルだ。シマノのホイールに共通する利点だが、クセがないのでコントロールにストレスがない。ただし、制動力はカンパのホイールを履いたあとだと、もう少しパッドがリムを捉える感覚が強いほうが安心できる。   評価評価は2だが乗り心地が悪いというわけではなく、ロングライドで使っても性能のアドバンテージは十二分に体験できる。
   
YOSHIMOTO IMPRESSION    
今回集めたホイールのなかで価格が安いほうなので、正直、性能はあまり期待していなかった。しかし、乗ってみると驚かされた。1700g近い重量だが、基本構造が上位機種と同じだけに剛性感があり、走りがシャッキリとしている。さすがに速度の落ちる急勾配では重量のハンディは少々あるが、平地や緩斜面では重さを感じさせない。回転の持続性にも非常に優れており踏み続けて速度を上げていくようなシーンでは、価格を忘れてしまうほど推進力が強い。距離の長い上り以外は死角を感じない、今回のテストにおいて最もCPの高い製品だ。入門者が購入する最初の1本としてはもちろんだが、上級者の普段履きや練習レースに使用するのにも最適。   評価平坦基調のロードレース、ロングライドでは上位機種に迫るパフォーマンスを発揮する。上りでも速度域が高ければ不足がない。
YOSHIMOTO IMPRESSION    
ステンレススポークとローハイトのリムを採用した製品としては最高レベルのシャッキリ感がある。ハブフランジを広く設計したことが功を奏してか、ホイールのムダなねじれを感じることなく低速からトルクをかけたときまで、シャープな走りでライディングに集中できる。それでいて乗り心地はレース用ホイールとして十分なレベルなので、チューブレスタイヤとの組み合わせを考えると、ヒルクライム、平地、ロングライドまでオールラウンドにこなせる。こういうクセのないホイールは1本持っていると何かと便利で、トレーニングからレースまで出番が多くなる。デュラエースのホイールが、10万円以下の値付けでこの高性能があれば安い買い物だ。   評価どの性能も4をあげたいぐらいバランスのとれたホイール。軽快感の高い乗り味は、上りのダンシングで気持ちよく走れる。
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チューブレス対応ホイールに待望の新ブランドが加わる 独創的な設計で軽量化されたDTのニューフェイス DT RR1450 TRICON HR /VR
IIJIMA IMPRESSION    
見た目は細身で柔らかそうな感じを受けるが、リムが非常にし っかりしているせいか、シャッキリ感もあり初速の踏み出しは軽い。重量が軽く、そしてリムの硬さが影響して上りのダンシングはかなり軽快。とくに体重が軽いライダーがケイデンス重視で走ると気持ちよくヒルクライムができる。中間加速から高速にかけては若干ホイールにねじれ感があり速度が頭打ちになるので、スプリント向きではない。高い速度域で加速を繰り返すようなシーンよりも、40㎞アベレージで走るシチュエーションでは軽く走れるので、エンデューロやおきなわのような公道レースでの使用も効果的。リムは硬いので、チューブレスタイヤと組み合わせて使うのがオススメ。乗り心地もいいのでロングライドにもかなり向いている。   評価流れるように進む巡航性のよさから平地性能に5点を配点。上りは距離の長い上りでなければ回転のよさを生かして問題なくこなせる。
YOSHIMOTO IMPRESSION    
重量の軽さを味わえるホイールで、シャープというよりはスル スルと少ない力で走れる感覚がある。重いギヤを一気に踏んでの加速は軽さゆえ、ホイールのねじれを若干感じた。なので一気に重いギヤで踏むのではなく、速度の上昇に応じて細かくギヤを変えながら対応して走ると、加速の中後半で速度が伸びてゆく。速度に乗ってからの巡航性も十分なレベルだ。重量が軽いので上りも軽く走れるが、ケイデンスを重視してシッティングでペダルを回すことを意識したほうが気持ちよく上れる。短いアップダウンを繰り返すよりも、距離の長い上りや平坦路を一定ペースで走ると気持ちいい。DTらしいマニアックな構造と白を基調にしたオシャレな外観は、バイクのルックスを高める。   評価オールマイティに使えるが、加速の鋭さがもう少し高いと上りと平地の配点が伸びる。 ロングライドや長距離レースにはいいかも。
圧倒的な性能アドバンテージ チューブレスタイヤの魅力
飯島誠が初体験Tubeless Tire
井上ゴムのスタッフの説明を聞き、チューブレスタイヤの理解を深める飯島選手。今回のテストには同社で製品開発を担当する山田浩志さん(写真中央)、営業の豊口泰弘さん(写真右)にも参加していただきタイヤの装着、セッティングを行なっていただいた

吉本 チューブレスタイヤに乗るのは初めてということですが、事前のイメージなどは持っていましたか?

飯島 パンクをしたらどうなるのかなという不安はありました。性能面では、チューブドタイヤとあまり変わらないのではと考えていました。

吉本 で、実際に走った印象は?

飯島 乗り心地がいいのはもちろんですが、下りの性能に驚きました。

吉本 具体的にどんな部分ですか?

飯島 路面とのギャップを埋めてくれるような、接地感が常にあるので安心感が高い。路面からのロードインフォメーションが非常に得やすいですね。いいタイヤの条件とはそこにあります。滑りそうとか、食いついてとか、感覚がリニアじゃないとコーナーで攻められない。それを常に感じられるので、結果としてタイヤ性能の限界も引き出せる。 今回は雨中もテストしましたが、下りでも「雨降っていた?」と感じるほどグリップ感は高かったですね。タイヤのなかにはトレッドゴムだけでグリップしているような製品もあるのですが、チューブレスタイヤは路面の変化にタイヤ全体で変形してグリップするような感覚があります。かといって実際によれている感覚はないので怖さはありませんし、必要以上に変形していたら逆にコーナリングが安定しませんから。下りやコーナリング性能は、チューブラー、クリンチャーと比べても上回っていると思います。

吉本 加速方向の性能はどうすか?

飯島 トラクションが逃げないので、タイヤが跳ねないですね。荒れた路面で一気に加速するような場面だと、 性能のよさが顕著に現われ、粘りがあるので駆動をしっかりと伝えてくれ、かかりもいいですね

「優れたグリップ感は下りで絶対のアドバンテージになる」(飯島)
優れたグリップ感は下りで絶対のアドバンテージになる

吉本 今回はフォーミュラプロRBCCを7barで乗ってもらいましたが、それを同グレードのレース用チューブドタイヤにすると、何気圧で走る感覚ですか。

飯島 転がり抵抗は8barに近いい軽さがありますね。グリップ感は6・5barぐらいの安心感があります。そして、低圧にしてもチューブタイヤのように転がり抵抗が重くならないのもチューブレスのメリットですね。走行感が軽くて、下りのグリップ感も優れる。乗り心地もいこれだけ性能に優れているとレースで使ってみたくなりますね。

吉本 自分も最近ようやくデイリーユースで使うようになりましたが、一度使うと、走行性能面では手放したくないほどいいですね。とくにホビーレベルのユーザーのほうがメリットは大きいですね。乗り心地のよさと走行抵抗の少なさは体力の消耗を抑えることができますし、ダウンヒルのコーナリングにしてもプロ選手に比べて一般的にスキルが低いわけですから安全性も増します。

飯島 レースシーンではシェアが伸びる可能性がある製品だと思いますが、ホビーレベルだとパンク時などのメンテナンスが懸念されますね。

吉本 確かにそれはあると思います。一般的な認識としては、タイヤをはめにくいとか、出先でパンクした場合、携帯ポンプでビードをリムラインに上げるのが大変という意見も聞かれます。 とはいえ、メーカーによるといずれもコツをつかめばクリアできるようです。それは次のページでIRC タイヤの山田さんが説明してくれるので見てみましょう。いずれにしても、登場してあまり時間が経過していない製品なので、まだ上級者向けの部分はありますね

TEST TIREフォーミュラシリーズきっての優等生フォーミュラプロRBCC》を装着した。この製品は、米ヌカからできる硬質多孔性炭素素材「RBセラミック粒子」をトレッドのショルダー部に配合。「マイクロパス効果」によりトレッド表面でスパイク効果を発揮し、高いグリップ性能を発揮する。また、多孔体ゆえ吸水効果にも優れ、ウエット路面でのグリップ低下も防ぐ。トレッド中央部には走行抵抗を軽減するハードコンパウンドを配置する。フォーミュラシリーズで最もオールラウンドに使えるモデル。
サイズ/ 700×23C 重量/ 290g
価格/ 9975円(1本) 
問井上ゴム工業 フリーダイヤル0120-041718
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