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落車とパンクが続発した石畳区間のツール・ド・フランス第9ステージはデゲンコルプが優勝

レース
ツールで区間初優勝したデゲンコルプ (©Bettiniphoto)
ツールで区間初優勝したデゲンコルプ (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月15日にアラス・シタデルからルーベまでの156.5kmで第9ステージを競い、ドイツのジョン・デゲンコルプ(トレック・セガフレード)が、マイヨ・ジョーヌを着たグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)とベルギーチャンピオンのイヴ・ランパールト(クイックステップフロアーズ)をゴール勝負で下し、区間初優勝を果たした。

この日はスタートしてたった7kmの、まだ石畳セクションが始まる前に落車があり、オーストラリアのリッチー・ポート(BMCレーシングチーム)が負傷してレースをリタイアした。



ツール公式サイト


 
昨年に続いて今年も落車リタイアで終わったポート (©Bettiniphoto)
昨年に続いて今年も落車リタイアで終わったポート (©Bettiniphoto)

石畳セクションで落車とパンクが頻発!

MAP : ASO
MAP : ASO
第9ステージは169選手がスタート。ドイツのトニー・マルティン(チームカチューシャ・アルペシン)が出走しなかった。マルティンは第8ステージの落車で頚椎を骨折していたことが、ゴール後の検査で発覚していた。気温は28度Cで快晴だった。

オフィシャルスタート後、ダミアン・ゴダンとジェローム・クザン(ディレクトエネルジー)、アントワン・トルーク(チームロットNL・ユンボ)、オマール・フライレ(アスタナプロチーム)、トマス・デヘント(ロット・スーダル)の5人が逃げ出し、この日最初の逃げになった。

この逃げをチャド・ハガ(チームサンウェブ)、レイナールト・イャンスセファンレンスブルフ(チームディメンションデータ)、ニコラ・エデ(コフィディス)、オリヴィエ・ルガック(グルパマ・FDJ)、リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー)の5人が追走。20km地点で追いついて先頭は10人になった。

集団では7km地点で落車が発生し、優勝候補の1人だったポートや、ホセホアキン・ロハス(モビスターチーム)、アンドレ・グライペルとイェンス・クークレール(ロット・スーダル)が巻き込まれてしまった。右肩を強打したポートはそのままレースを棄権。検査の結果、彼は右鎖骨を骨折していたことがわかった。この落車事故では、ロハスもレースをリタイアした。

この日は47.5km地点から石畳セクションがスタート。石畳セクションは全部で15カ所、カウントダウン方式でナンバー15から始まった。石畳の道の総距離は21.7kmで、1983年に28.4kmだった時の次に長い距離だった。

最初の石畳セクションに入り、先頭グループではトルークがパンクして遅れてしまった。メイン集団ではロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)がパンクしたが、チームメートのアレクシー・ヴュイエルモーズが車輪を貸し、チームメートたちが引いて集団に復帰させた。

最初の1時間の平均時速は47.750km/hだった。ゴールまで残り100kmで、先頭の9人とメイン集団のタイム差は3分40秒だった。59km地点の中間スプリント地点はドヘントが先頭で通過した。

石畳セクションでは落車事故が多発。前日に区間優勝したディラン・フルーネウェーヘン(チームロットNL・ユンボ)や、ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム)、ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグローエ)などが落車したが、大事には至らなかった。

マイヨ・ジョーヌがいるメイン集団は石畳セクションで次第に選別され、25人ほどになっていた。ゴールまで残り65kmでトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)やリゴベルト・ウラン(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)が遅れたが、集団に戻ることができた。

ゴールまで残り50km地点で、先頭の8人とチームスカイが引くメイン集団のタイム差は1分40秒だった。メイン集団ではティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシングチーム)とソンニ・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)が落車して遅れた。

この日7つ目の石畳セクションで、メイン集団ではマイヨ・ジョーヌを着たヴァンアーヴェルマートが加速した。ここでバルデが2度目のパンクに見舞われ、再び遅れてしまった。ゴールまで残り45kmでは、クリストファー・フルーム(チームスカイ)が落車したが、3km先で集団に戻ることができた。

ゴールまで残り40kmで、8人の先頭グループとメイン集団は55秒差、バルデはメイン集団から30秒遅れていた。先頭では残り37kmでゴダンとイャンスセファンレンスブルフがアタックして先行した。残り32kmの舗装路ではミケル・ランダ(モビスターチーム)が落車し、その直後にウランも落車してしまった。その間に、バルデはメイン集団に戻ることができた。

石畳セクションが残り4カ所になった残り28km地点で、先頭の2人とメイン集団は40秒差だった。メイン集団は25人程度だったが、その後後続グループが追いついて再び大きくなった。落車で遅れたランダとウランは必死で集団を追走していた。

ここで集団からヤスペル・ストゥイヴェン(トレック・セガフレート)が飛び出し、残り20kmで先頭の2人に追いついたが、メイン集団はすぐ後方に迫っていた。残り19kmで逃げは吸収されたが、ランダとウランは1分ほど遅れていた。残り17.8km地点に設定されていたボーナス地点はマイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートが先頭で通過し、3秒のボーナスタイムを獲得した。
 
 
石畳セクションを疾走するマイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマート (©Bettiniphoto)
石畳セクションを疾走するマイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマート (©Bettiniphoto)

べルギーチャンピオンとマイヨ・ジョーヌがアタック!

レースが動いたのは、最後から2つ目の石畳セクションに突入した残り16.5kmだった。ここでメイン集団からベルギーチャンピオンのランパールトとマイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートがアタックし、デゲンコルプが付いていった。

ゴールまで残り8kmで、最後の石畳セクションがスタートした時、先頭の3人は後続集団に45秒差を付けていた。残り6kmでバルデが3度目のパンクに見舞われたが、すでにチームメートは付き添っていなかった。彼は車輪を交換した後、ランダのグループを待った。

残り2kmで、先行する3人と後続グループのタイム差は1分にまで開いた。フラム・ルージュ通過後はデゲンコルプが先頭を走り、ベルギー勢がスプリントを開始するタイミングを伺った。そして残り200メートルで最後のスプリントが始まると、デゲンコルプは他の2人に先頭を譲ることはなかった。

デゲンコルプは2015年にクラシックの女王と言われるパリ〜ルーベで優勝したことはあったが、ツールで区間優勝したのは6回目の参加でこれが初めてだった。

ツールの石畳区間でパリ~ルーベ勝者が優勝したのも、史上初めてのことだった。ロジェ・ドブラマンク(ベルギー)とベルナール・イノー(フランス)が勝ったのは、パリ~ルーベで優勝する前だった。

総合争いの選手たちは27秒遅れでゴール。ランダとバルデは34秒遅れでゴールし、遅れを最小限に止めることができたが、ウランは1分55秒遅れてしまった。

ポートがリタイアしたことで、前日まで総合3位に付けていたヴァンガーデレンがBMCレーシングチームの総合リーダーとして期待されたが、彼は落車の影響でこの日6分近く遅れてしまった。

今年のツールは、第3ステージのチームタイムトライアルで総合首位に立ったBMCレーシングチームのヴァンアーヴェルマートが、マイヨ・ジョーヌを守って1週目を終えた。7月16日は移動日を兼ねた最初の休養日となり、2週目はいよいよアルプス山岳ステージが始まる。


■ツール区間初優勝を果たしたデゲンコルプのコメント
「勝ってどう感じるかを表現する言葉が見つけられない。この勝利をとても長い間待っていた。多くの人々がもうボクのことを信じてなくて、もはや同じレベルに戻らないだろうと思っていた。

数カ月前、ボクはパリ〜ルーベの落車でまた低迷した。ヒザを負傷したんだ。ほぼ4週間、トレーニングを止めなければならなかった。ボクは自分自身を信じられなかったが、妻と家族の助けで、今日のステージを勝つという目標に向かって努力する力を見つけられた。

ボクは自分が彼らのような選手たち(ヴァンアーヴェルマートとランパールト)に対抗してスプリントできるとわかっていた。逃げは3年前のパリ〜ルーベのデジャヴのようだった。それがスプリントでの自信を高めてくれたのさ」


■石畳区間で勝てなかったヴァンアーヴェルマートのコメント
「かなりひどい始まり方の一日だった。ポートが落車し、ボクたちは戦略を再考しなければならなくなった。レースは続き、ボクたちはできる限り早く新しい目標を定める必要があった。ボクは自分のスプリントを信じていたし、かなり速い。おそらくスプリントをスタートするのが遅すぎたんだ。大きな失望だ。

マイヨ・ジョーヌを着てルーベで勝つのは大きな目標だった。それは素晴らしい写真になっただろう。新しい状況になり、ボクはより自由を得た。だから火曜日にマイヨ・ジョーヌを着て逃げにトライすることもできるかもしれない。ツールが終わるまでに、また区間優勝したい」
 
 
 
■第9ステージ結果[7月15日/アラス・シタデル~ルーベ/156.5km]

1. JOHN DEGENKOLB (TREK - SEGAFREDO / GER) 3H 24' 26''
2. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL)
3. YVES LAMPAERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL)
4. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) +19''
5. PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK) +19''
6. JASPER STUYVEN (TREK - SEGAFREDO / BEL) +19''
7. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +19''
8. ANDRÉ GREIPEL (LOTTO SOUDAL / GER) +27''
9. EDVALD BOASSON HAGEN (TEAM DIMENSION DATA / NOR) +27''
10. TIMOTHY DUPONT (WANTY - GROUPE GOBERT / BEL) +27''

16. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +27''
18. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +27''
19. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +27'' 
22. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +27'' 
23. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +27''
24. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +27'' 
27. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS)     +27''
29. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +27''
30. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE /POL) +27'' 
31. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +27'' 
32. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +27'' 
35. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +34’’
36. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +34’’
59. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +01' 55’’
85. TEJAY VAN GARDEREN (BMC RACING TEAM / USA) +05’ 47’’

■第9ステージまでの総合成績
1. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) 36H 07’ 17’’
2. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +43’’
3. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) +44’’
4. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +50’’
5. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +01' 31’’
6. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +01' 32’’
7. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +01' 33’’
8. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +01' 42’’
9. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS) +01' 42’’ 
10. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +01' 42’’

11. SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) +01' 43’’
15. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +02’ 03’’
17. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +02’ 32’’
19. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +02’ 42’’
21. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +02’ 50’’
22. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +02’ 53’’
24. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +3’ 22’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):TOMS SKUJINS (TREK - SEGAFREDO / LAT)
■新人賞(マイヨ・ブラン):SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) 
■チーム成績:QUICK - STEP FLOORS 
■敢闘賞:DAMIEN GAUDIN (DIRECT ENERGIE / FRA)


ツール公式サイト
 
 

第9ステージのハイライト映像