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【TOJ第7ステージ速報】ボレが2勝目、鈴木譲が山岳ジャージを確定させる

レース

総合争い終盤、キナンサイクリングチームが完全支配

修善寺駅前でスタートを待つ選手たち
修善寺駅前でスタートを待つ選手たち
ボレや鈴木譲を含む6人の逃げが形成された
ボレや鈴木譲を含む6人の逃げが形成された
両方の山岳ポイントを1位通過した鈴木譲
両方の山岳ポイントを1位通過した鈴木譲
総合争いの最後の戦いとなる伊豆ステージは、距離120.8kmで獲得標高3828mと、全ステージの中で最も厳しいコースといわれている。昨年とはスタート地点が変更された。修善寺駅をパレードランでスタートし、日本サイクルスポーツセンターに入ってから、12.2kmの周回コースを9周する。

修善寺駅から1km先でリアルスタートが切られると、多くの選手が逃げに乗ろうと試みるが、なかなか決まらない。一時、10人程度の逃げグループが形成されたが、総合上位勢を含んだことで集団から容認されず。一旦吸収されてから、新たに5人がアタック。集団から抜け出した。後ろから1人追いつき、6人となった逃げグループの中には、山岳賞争いで4位につける鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)やポイント賞トップのグレガ・ボレ(バーレーン・メリダ)などが入った。

一方、メイン集団では、前日の富士山ステージの結果を受けて、総合首位に立つマルコス・ガルシア・フェルナンデスが所属するキナンサイクリングチームがコントロールに入った。

今日のステージでは、2級山岳ポイントが3周目(37.7km地点)、6周目(74.3km)に設定された。今回のTOJで山岳ポイントを獲得できる最後の機会となる。山岳ポイントを獲得するために逃げグループに入った鈴木が両ポイントとも取りに行き、実質のレッドジャージ獲得を決定づけた。東京ステージを走り切れば、昨年に続いて2年連続の日本人山岳賞受賞となる。

スプリントポイントは、4周目終了時と7周目終了時に設定。ブルージャージを持つボレが両ポイントともしっかり獲得し、2位のマルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)との差を広げた。

残り3周で、逃げ集団から鈴木らがドロップし、残ったのはボレ、昨日の富士ステージでも積極的な動きを見せていたクリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)、コロンビア人のフェリックス・アレハンドロ・バロン・カスティージョ(チーム・イルミネート)の3人だった。

タイムギャップは2分前後をキープ。集団が動き出したのは、ラスト2周目。総合勢が攻撃を仕掛けるが、全てキナンサイクリングチームのアシストたちに抑えられた。しかし、逃げの3人は最後のペースアップにより、メイン集団とのタイムギャップは1分半から動かず。逃げ切りを許す形となった。

3人のうちで明らかに抜き出たスプリント力を持つボレが第3ステージ以来のステージ2勝目をあげた。スプリントポイントを重ねたボレがブルージャージをキープした。カノラとのポイント差は36ポイント。ブルージャージは明日の東京ステージで決まる。

総合のグリーンジャージも2位とのタイム差を保ったままガルシアが守った。
集団はキナンサイクリングチームの完全コントロール下に
集団はキナンサイクリングチームの完全コントロール下に
勝ちを確信したボレが両手をあげる
勝ちを確信したボレが両手をあげる
会場にいた新城幸也と抱き合うボレ
会場にいた新城幸也と抱き合うボレ

2度目の勝利をあげたグレガ・ボレのコメント

何度も拳を突き上げたボレ
何度も拳を突き上げたボレ
会見で今日のレースについて語る
会見で今日のレースについて語る
今日のステージについて、
「非常にハードなステージでした。3年前にここで総合のグリーンジャージを手放してしまったことを思い出します。

ただこのコースはよく知っているコースだったので、日本に来る前からこの伊豆ステージで勝利を収めたいと思っていて、ステージ勝利を手にすることができました」と語る。

逃げに入ったのはポイント賞を狙ってなのか、逃げ切りを目論んでのことだったのか。

「ポイント賞のことはあまり考えていませんでした。ただこのコースはコントロールするのが本当に難しいので、逃げ切った方がいいと考えて、自分としてリスクを冒しました。アップダウンも多いコースですが、そんなに長い上りではないので、これならば自分は耐えられると判断して、逃げに出ました。逃げたとしても、集団にいたとしてもきついコースなので、逃げに入ることを選びました。

バーレーン・メリダが5人になってしまっているので、5人でレースをコントロールするのは難しいと思って、フィニッシュまで全力を尽くして僕が逃げ切るという形になりました。」

ヘルマン・ペルシュタイナーの総合順位について考慮するところはあったのだろうか。

「ペルシュタイナーのことは少しは考えましたが、そんなに意識はしていませんでした。グリーンジャージは、チーム全体の力があり、トップ10に選手が多く入っているチームがジャージを手にすると考えています。

ペルシュタイナーは、もっと長い上りがあればわからないですが、今回のようなコースはあまり得意ではなく、そこでアタックしていくタイプではないので、総合トップを狙うのは難しいかなと思いました。僕が逃げに入ることで、少しでもトップのチームにプレッシャーを与えられればと思い、そういう計画になりました。彼にとっては昨日のステージがチャンスで、優勝できれば良かったんですが、マルコス・ガルシアの方が力があったという結果でした。」

総合リーダージャージを守ったマルコス・ガルシアのコメント

今日のレースを振り返ったガルシア
今日のレースを振り返ったガルシア
強力なチームメイト、サルバドール・グアルディオラ(左)とトマ・ルバ(中央)と話をするガルシア(右)
強力なチームメイト、サルバドール・グアルディオラ(左)とトマ・ルバ(中央)と話をするガルシア(右)
今日のステージについて、「最初のスピードがクレイジーな感じで行ったんですが、その後リズムをとりなおして、先頭との差を3分で保つことができました。逃げ切られてはしまいましたが、自分たちのプラン通りに行ったんじゃないかと思います。

去年ここで優勝しましたが、去年とは伊豆ステージに入るまでのシチュエーションがだいぶ違いました。去年は富士山で優勝できなかったので、伊豆に賭けていました。今回はグリーンジャージを持って、この伊豆ステージに臨んだので、逃げに入ってリスクを冒すということはせず、チームとして一丸となって戦ったステージでした」と話した。

山岳賞を確定させた鈴木譲のコメント

山岳賞ジャージを獲得した鈴木譲がレースを振り返る
山岳賞ジャージを獲得した鈴木譲がレースを振り返る
山岳ポイントを獲り、集団に戻る鈴木譲
山岳ポイントを獲り、集団に戻る鈴木譲
今日のステージについてこう振り返った。

「今日のレースは区間優勝と山岳賞を同じくらいの比重で狙うというチームオーダーがあって、自分一人だと難しいので、チームメイトを使って逃げに潜り込もうっていう話でした。序盤から厳しかったので、総合争いとステージ争いの間をぬって、利害が一致した選手と抜け出してポイントを取れた形です。」

逃げが決まるのにかなり時間を要したがどのような展開だったのだろうか。

「激しかったですね。小石(祐馬)選手(チーム右京)のマークがきつくて、決まっては吸収を繰り返していたんですけど、自分が行ったときの逃げのメンツが良かったですね。みんな強くて、しかも違う目的があったので。全員違う目的で利害が一致して、高速で逃げ決まりました。

かなり脚で決まったので、この中で区間優勝出るかもなと思ったんですけど、(山岳賞と区間優勝)どっちに絞るかってなったときに脚的にも山岳賞取ろうとなって、山岳賞までは積極的に引くという形をとりました。」

7周目に逃げからドロップしたのは、踏みやめたということだったのか聞くと、「オールアウトまで行ってしまうと止まってしまう可能性もあるかなと思って、補給をとりながら少し脚を緩めました。まあもったいなかったかなっていうのはあるんですが、行ってもちょっと厳しかったかなと思います。割り切って休んだって感じですね」と答えた。

逃げ集団でのペースについて、「もうボレ選手が強すぎましたね。引くスピードが全然違うんで、他の選手もついていくのがいっぱいいっぱいでした。区間優勝に値する引きでしたね」と語った。

岡篤志や小野寺玲といったスプリントができるメンバーを欠いてしまった宇都宮ブリッツェンだが、明日はどう戦うのか。

「例年結構逃げ決まっているコースで、逃げられる選手は揃っているので、そこで積極的に走って、集団スプリントになった場合はもう鈴木龍しかいないです。そこでうまく切り替えてやっていこうかなって感じですね。」
ステージ2勝目をあげたボレが表彰台に上がる
ステージ2勝目をあげたボレが表彰台に上がる
総合優勝をほぼほぼ手中に収めたガルシア
総合優勝をほぼほぼ手中に収めたガルシア
日本人が総合優勝するためには「富士山(の距離)を半分にしないと」と笑って答えた鈴木譲。山岳賞を確定させた
日本人が総合優勝するためには「富士山(の距離)を半分にしないと」と笑って答えた鈴木譲。山岳賞を確定させた


第7ステージ順位

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 3時間29分53秒
2位 クリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム) +0秒
3位 フェリックス・アレハンドロ・バロン・カスティージョ(チーム・イルミネート) +0秒


個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム) 17時間34分13秒
2位 ヘルマン・ベルシュタイナー(バーレーン・メリダ) +35秒
3位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) +53秒


個人総合ポイント賞(ブルージャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 107pt
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 71pt
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)  50pt


個人総合山岳賞(レッドジャージ)

1位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24pt
2位 小石祐馬(チーム右京) 16pt
3位 フェリックス・アレハンドロ・バロン・カスティージョ(チーム・イルミネート) 16pt


個人総合新人賞(ホワイトジャージ)

1位 クリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
2位 サム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
3位 ホセ・マヌエル・ディアス・ガジェゴ(イスラエル・サイクリング・アカデミー)


チーム総合

1位 キナンサイクリングチーム