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【TOJ第6ステージ速報】キナン区間2連勝、マルコス・ガルシアが総合優勝に向けて王手

レース
富士スピードウェイ前でスタートを待つ選手たち
富士スピードウェイ前でスタートを待つ選手たち
ウィリアムズとスチュワートがスタートアタック
ウィリアムズとスチュワートがスタートアタック
富士を背に集団はキナンサイクリングチームがコントロール
富士を背に集団はキナンサイクリングチームがコントロール
例年、総合優勝者を占うステージとなる富士山ステージ。今年は昨年と異なり、須走インターチェンジからのリアルスタートではなく、富士スピードウェイの外周路でリアルスタートを切る。外周路を2周回してから日本が誇る名峰富士へと向かうふじあざみラインを登り、5合目にフィニッシュする32.9kmで争われた。獲得標高は1760mだ。

ふじあざみラインは、全長11.4km、平均勾配10.5%、最大勾配22%と、先日のジロ・デ・イタリア第15ステージでも走られたモンテ・ゾンコランとコースプロフィールが似ているとされている。クルマで上るのも大変なほどの急勾配でおなじみだ。選手たちはこの激坂区間を一発勝負で駆け上がる。

5月25日(金)、スタート地点の富士スピードウェイでは、富士山が見え隠れする曇り空が広がっていたが、フィニッシュ地点は富士山の輪郭がはっきりと見える晴天。

2020年、東京オリンピックのゴール地点とされている富士スピードウェイをスタートすると、タイラー・ウィリアムズ(イスラエルサイクリングチーム)とトーマス・スチュワート(JLTコンドール)が逃げグループを形成。さらにシモン・ペロー(チーム・イルミネート)がその2人に追いついた。

メイン集団では、グリーンジャージを持つトマ・ルバ擁するキナンサイクリングチームが主導権を握った。集団は、あざみラインに入るところで逃げグループ3人を吸収。ふりだしに戻り、去年までのコース設定と同様、ふじあざみラインでの勝負となった。

ふじあざみラインに入るとキナンサイクリングチームに代わり、ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チームやマトリックスパワータグが集団先頭に立つ。このTOJに向けて調子を上げてきたホセ・ヴィセンテ・アルコレア(マトリックスパワータグ)ら攻撃を開始する。隙を見て、集団からクリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)が抜け出した。

残り8km付近でマルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム)が満を持してアタックを仕掛けると、誰も背中に付けず、独走を許す形となった。ガルシアは、すぐに先頭のハーパーをパスすると、ペースを刻んで後続とのタイム差を稼いだ。

残り4km付近でヘルマン・ベルシュタイナー(バーレーン・メリダ)が集団から飛び出す。ガルシアとのタイム差はおよそ1分ほど。ハーパーを抜いたペルシュタイナーはガルシアとの距離を縮めるが、淡々と登り続けるガルシアは後ろを気にすることはなかった。ガルシアが単独先頭でフィニッシュラインを切り、バイクを高々と掲げた。追走のぺルシュタイナーは28秒差でゴールした。

富士山ステージの結果を受けて、総合順位はシャッフルされた。前日まで首位につけていたトマ・ルバのタイム差は覆り、チームメイトのガルシアにグリーンジャージを明け渡すこととなった。

スプリント賞、山岳賞の順位は変わらず。それぞれのジャージ争いは僅差で2位以降が迫る。全ての戦いはラスト2ステージに託された。


text:滝沢 佳奈子
photo:2018TOJ/滝沢 佳奈子
独走でタイム差を稼ぐガルシア
独走でタイム差を稼ぐガルシア
ペルシュタイナーがガルシアの後を追う
ペルシュタイナーがガルシアの後を追う
最初に飛び出したハーパーが3位の位置で上る
最初に飛び出したハーパーが3位の位置で上る
ガルシアが一番最初にフィニッシュ地点に飛び込んだ
ガルシアが一番最初にフィニッシュ地点に飛び込んだ
日本人最高位は中根の12位だった
日本人最高位は中根の12位だった

優勝したマルコス・ガルシアのコメント

会見でレースを振り返るガルシア
会見でレースを振り返るガルシア
ラスト300m、力強く前に進むガルシア
ラスト300m、力強く前に進むガルシア
急勾配の上りが続くふじあざみラインで力を見せたマルコス・ガルシア。レースをこう振り返った。

「今日はチーム全体としてレースをコントロールできたと思います。最初の2周はチームメイトと一緒にコントロールしました。あとはそれぞれの力で富士山に上っていこうという作戦で、僕が優勝することができました。」

レース展開について、「チームメイトが周回コースでいいスピードでリズムを作ってくれました。そのリズムを作った中で上りに入りました。ホセ・ヴィセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が出て、その後自分も脚を使って上っていきました。

一人になってからは、後続のスピードを考えるよりも自分のリズムで上がっていこうと思いました。自分のリズムを保ちながら、ゴールまで上がっていくことができました。」

総合では2位に39秒差でペルシュタイナーが迫る。明日のレースについては、「2位とのタイム差が僅差で、伊豆ステージはハードなことはわかっています。ただ、僕はチームメイトを信じているので、ジャージを守れると思っています。」と力強く話した。

山岳賞ジャージをキープした小石祐馬のコメント

ゴールに向かうレッドジャージを着る小石
ゴールに向かうレッドジャージを着る小石
山岳賞ジャージの行方は明日の伊豆ステージで決まるだろう
山岳賞ジャージの行方は明日の伊豆ステージで決まるだろう
今日のレースを終えて、「チームとしてはベンジャミ・プラデス・レヴェルデル選手が5位、総合も5位につけているので、それが一つと、僕個人も現時点で山岳賞リーダーです。最後の山岳ポイントがあるのが明日のステージなんですが、(山岳賞争いが)結構僅差なので、明日が大事になってきますね」と話す。

プラデスの総合順位と小石の山岳賞を守りながら明日以降どう戦っていくのだろうか。

「レースは何が起こるかわからないので、タイム差を逆転するのはもちろん難しいですけど、監督の指示待ちなところが大きいですね。

もちろん山岳賞は狙いたいですが、特に伊豆ステージでは先頭に入って、逃げに入れば意味のあるコースなので、そういう意味では僕自身の山岳賞もチャンスあると思うし、それがプラデス選手の総合に影響しないように、上手に噛み合っていく動きもできるかと思います」
チーム内でグリーンジャージが移動。総合でキナンサイクリングチームのメンバーは1位、3位、6位につける盤石ぶり
チーム内でグリーンジャージが移動。総合でキナンサイクリングチームのメンバーは1位、3位、6位につける盤石ぶり
スプリント賞は変わらずグレガ・ボレ
スプリント賞は変わらずグレガ・ボレ
新人賞は前日に引き続いて、サム・クロームが着用
新人賞は前日に引き続いて、サム・クロームが着用

第6ステージ順位

1位 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム) 1時間19分19秒
2位 ヘルマン・ぺルシュタイナー(バーレーン・メリダ) +28秒
3位 クリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム) +1分48秒


個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム) 14時間2分52秒
2位 ヘルマン・ベルシュタイナー(バーレーン・メリダ) +39秒
3位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) +56秒


個人総合ポイント賞(ブルージャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 72pt
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 70pt
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)  50pt


個人総合山岳賞(レッドジャージ)

1位 小石祐馬(チーム右京) 16pt
2位 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム) 15pt
3位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15pt


個人総合新人賞(ホワイトジャージ)

1位 サム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
2位 クリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
3位 ホセ・マヌエル・ディアス・ガジェゴ(イスラエル・サイクリング・アカデミー)


チーム総合

1位 キナンサイクリングチーム