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【TOJ第3ステージ速報】新城、気迫の集団牽引によってボレがステージ1勝目

レース

チームメイトの働きに応えたボレがステージ勝利

スタート地点でジャージ着用者が並ぶ。いなべはキナンサイクリングチームのホームステージだ
スタート地点でジャージ着用者が並ぶ。いなべはキナンサイクリングチームのホームステージだ
1周目から逃げに入ったモニエと小石が通称イナベルグの急坂を上る
1周目から逃げに入ったモニエと小石が通称イナベルグの急坂を上る
先にスプリントに入ったカノラを差し切って両手を大きくあげたボレ
先にスプリントに入ったカノラを差し切って両手を大きくあげたボレ
第3ステージ、舞台は三重県最北端に位置するいなべ市だ。三岐鉄道北勢線の阿下喜(あげき)駅をパレードスタートし、1周14.8kmの周回コースに向かう。周回コースを全部で8周し、2級山岳ポイントが2周目と3周目に、スプリントポイントが3周回目終了時と6周回目終了時に設定された。

総距離は127km、獲得標高は1650mだ。朝から快晴で日差しも強い。気温の上昇が予想された。
 
リアルスタートが切られるとすぐに落車が発生。新城幸也(バーレーン・メリダ)や、前日にステージ勝利をあげた雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)らが巻き込まれてしまうが、ケガを処置しながら集団に戻った。

先頭では、何人かがアタックを打つ中で、ダミアン・モニエ(愛三工業レーシングチーム)と小石祐馬(チーム右京)の2人の逃げが決まる。

リーダージャージを持つバーレーン・メリダは終始集団をコントロールした。昨日2位で、実質、集団の頭をとったグレガ・ボレ(バーレーン・メリダ)でのステージ勝利を狙う。そこには、落車の影響で顔から血を流しながら集団を牽引する新城の姿もあった。逃げとのタイム差は最大でも1分20秒までしか広がらなかった。

中間スプリントで特に争う様子は見せず。二つの山岳ポイントは、小石が先に飛び出し、両ポイントとも1位で通過し、レッドジャージを手にした。

6周目、メイン集団ではゴールスプリントを狙うチームがメイン集団前方で位置取りを開始。この動きによって逃げの二人は吸収された。

7周目に入るとともに新城が気迫の集団牽引。集団を分断しにかかる。ラスト数百m、30人ほどの実力者のみに絞られたメイン集団で飛び出したのは、昨年のいなべステージでの勝利の焼き直しを実現しようとするマルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)。その後ろにしっかりとついたボレは、落ち着いて対処する。カノラの左側からスプリントを開始し、差し切った。両手を高く掲げ、スプリント勝負で力を見せたボレがしっかりと新城らチームの働きに応えた。

ボレは、グリーンジャージをキープし、ブルージャージも手にした。日本人最高位は、4位の窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)。山岳のレッドジャージは、逃げに入った小石祐馬(チーム右京)に移った。
山岳ポイントを2回1位通過する小石
山岳ポイントを2回1位通過する小石
落車で顔をケガし、左目がほとんど開いていない状態でも集団を牽引する新城
落車で顔をケガし、左目がほとんど開いていない状態でも集団を牽引する新城
平坦でも上りでも新城はひたすらに鬼引きする
平坦でも上りでも新城はひたすらに鬼引きする
ステージ優勝したボレはボーナスタイムで2位以下とさらに差を広げてグリーンジャージをキープ
ステージ優勝したボレはボーナスタイムで2位以下とさらに差を広げてグリーンジャージをキープ
本日のステージで逃げに乗った小石が10ポイントで山岳賞ジャージに袖を通した
本日のステージで逃げに乗った小石が10ポイントで山岳賞ジャージに袖を通した
オーストラリアのクロームにホワイトジャージを明け渡し。新人賞2位につけるのは0秒差で宇都宮ブリッツェンの岡
オーストラリアのクロームにホワイトジャージを明け渡し。新人賞2位につけるのは0秒差で宇都宮ブリッツェンの岡

ステージ優勝したグレガ・ボレ「途中で落車したユキヤには心から感謝したい」

余裕を持ってスプリントをしたボレが両手を掲げる
余裕を持ってスプリントをしたボレが両手を掲げる
山岳賞ジャージを獲得した小石(左)とボレ(右)は元チームメイト
山岳賞ジャージを獲得した小石(左)とボレ(右)は元チームメイト
今日のレースを終えてボレはこう話した。

「とてもハッピーです。今日はチームがとてもいい仕事をしてくれました。僕のステージ優勝を目指して、チーム一丸となって走りました。そんなチームメイト、特に途中で落車したユキヤには心から感謝したいです。落車しながら素晴らしいハイパフォーマンスを見せてくれました。本当に彼に対しては感謝をしてもしきれません。ユキヤは僕にとって素晴らしい友人で人柄も良く、尊敬する人の一人です。」

スプリント勝負を制し、改めて今後のライバルとなる選手について聞くと、
「強いライバルが誰なのかは言い難いです。総合優勝できる選手は今回たくさん出場していると思います。正直、知らない選手もたくさんいるので、誰というのは言いづらいところです。

例えば、オーストラリアのベネロングやイギリスのJLTコンドールなど、すばらしい選手、力のある選手を揃えてきていると思います。

個人的に言うのであれば、マルコ・カノラですね。2つのステージで僕のすぐ後ろでフィニッシュしており、強いスプリント力を持っています。タイムトライアルで勝ったビビーも強いと思います」と答えた。

逃げに入ったダミアン・モニエ「逃げを吸収するのが早すぎたったと思う」

KOMでは小石に先行を許すが、2位で通過
KOMでは小石に先行を許すが、2位で通過
バーレーン・メリダの追い上げにより、小石との逃げは早い段階で吸収された
バーレーン・メリダの追い上げにより、小石との逃げは早い段階で吸収された
最初の上りの手前で小石と逃げ始めたモニエ。逃げきるつもりったのか。
「2人で逃げるのは難しい。このコースは逃げの集団のためじゃない。毎年スプリントだから。もし逃げ集団が15人くらいだったら逃げ切れるかもしれないけど、2人は厳しい。今日はKOMのためだった。」

タイムギャップがマックスでも1分20秒ほどの差で推移していたことについて、

「少ない本当に。バーレーンは逃げを吸収するのが早すぎたと思う。二人なのに理解できない」と話した。

明日以降どう戦っていくか聞くと、

「美濃はチームの目標がスプリントだから、岡本(隼)さんと(黒枝)士揮さんのためにチームは仕事する。僕は仕事一生懸命するつもり。伊豆ステージは大好きだから、逃げてみる」と日本語でしっかり答えてくれた。

4位に入った窪木一茂、何度も繰り返す「悔しい」

KOMポイントを集団内で通過する窪木(中央)
KOMポイントを集団内で通過する窪木(中央)
先頭3人と少し間をあけて、4位でフィニッシュした窪木
先頭3人と少し間をあけて、4位でフィニッシュした窪木
最後のスプリントでの展開について、窪木はこう話した。

「ラスト500m切ってから、最後のコーナー曲がる前にマルコ・カノラがかけて、グレガ・ボレがついて、僕がグレガの後ろだったんですけど、JLT(イアン・ビビー)が上りで入ってきて、構えようとは思ってたんですけど、意外と早めにマルコが仕掛けたので、自分はギヤ重いままで。ちょっと反応が遅くなって、離れてしまって、詰められずゴールって感じでした。悔しいです。でも僕の中では手応えがありました。」

美濃ステージ、南信州ステージに向けて、今回のステージでまわりの選手の状態や傾向がつかめたのだろうか。

「僕、思うにカノラは調子良くないのかなって。なぜかっていうと、上りで踏んでなかったんですよね。普通だったら警戒して去年もだけどちゃんと前で上るんですけど、今日は上りを前で入ってから落ちてきてっていうのが結構見られたので。」

窪木とカノラが話しているシーンがあり、何を話していたのか聞くと、

「カノラが『俺の後ろにつけ』って言ってくれて。昨日もだったんですけど、そういうことを話ししてくれて。僕がしくじったことで彼に勝利を逃して欲しくないので、『お前もチャンスで俺もチャンスだから自分のために走ってくれ』って。でも最後は本当にチャンスでしたね。悔しい」と悔しさをにじませた。



第3ステージ順位

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 3時間11分57秒
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +0秒
3位 イアン・ビビー(JLTコンドール)  +0秒


個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 6時間4分24秒
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +5秒
3位 イアン・ビビー(JLTコンドール)  +9秒


個人総合ポイント賞(ブルージャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 49pt
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 45pt
3位 イアン・ビビー(JLTコンドール)  27pt


個人総合山岳賞(レッドジャージ)

1位 小石祐馬(チーム右京) 10pt
2位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 9pt
3位 木村圭佑(シマノレーシング) 9pt


個人総合新人賞(ホワイトジャージ)

1位 サム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)

チーム総合順位

1位 チーム右京