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ツール・ド・とちぎ初日の個人TTはオーストラリアの20歳がジャージ総取り

レース
3月23日(金)、栃木県栃木市の渡良瀬遊水地にて第2回となるツール・ド・とちぎの闘いの火蓋が切って落とされた。初日の約7.2kmの個人タイムトライアルで一人だけ8分台のタイムを叩き出したオーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コーストのマイケル・ポッターが優勝。20歳のポッターは、今回設定された山岳賞以外の全てのジャージを手にした。日本人選手最高順位は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)だった。

text&photo:滝沢佳奈子


 

第2回ツール・ド・とちぎがいよいよスタート!

宇都宮ブリッツェンの岡篤志がトップタイムをマークし、基準タイムになる
宇都宮ブリッツェンの岡篤志がトップタイムをマークし、基準タイムになる
増田成幸が岡の記録を上回り、優勝への期待が高まった
増田成幸が岡の記録を上回り、優勝への期待が高まった
出走者の中で唯一9分を切り、圧倒的な速さを見せたマイケル・ポッターはまだ20歳だ
出走者の中で唯一9分を切り、圧倒的な速さを見せたマイケル・ポッターはまだ20歳だ
3月23日(金)、たった2日前に雪が降ったとはとても思えない暖かい気候となった栃木県栃木市の渡良瀬遊水地。上着はまったく必要なく、春よりもすでに夏の日差しに近いようであった。ここ渡良瀬遊水地谷中湖のまわりを1周する約7.2kmの個人タイムトライアルから第2回ツール・ド・とちぎの幕が上がった。

昨年の第1回ツール・ド・とちぎは、3ステージとも全てロードレースであり、初日の逃げグループが逃げ切ったことにより、ひっくり返すことが難しいタイム差となり、初日の逃げメンバーの中での総合争いが繰り広げられた。今回は個人タイムトライアルスタートということで、また違った新たな展開が期待される。

89人の選手たちが30秒間隔でスタートを切っていった。序盤は地元、宇都宮ブリッツェンの鈴木龍がトップタイム、続いて24番出走の岡篤志が9分7秒という好タイムを叩き出し、トップタイムを塗り替え。しばらくの間、岡がその座を譲ることはなかった。その後、一番時計を刻んだのはまたしても宇都宮ブリッツェン。69番目に出走した、増田成幸だ。岡より2秒速い9分5秒というタイムでフィニッシュを迎える。最終出走者である前年度総合優勝のベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム)がスタートしていき、未だ増田は暫定1位。増田の優勝に向けて駆け付けた地元ファンの期待が高まる。

しかし、ツール・ド・とちぎはUCIレース。そう簡単に思い描く通りにはいかなかった。ラストから4人目のフォン・カーホー(HKSIプロ・サイクリング・チーム)がフィニッシュラインに到着するや否やフィニッシュラインに飛び込んできたラストから3人目に出走したマイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト)があっさりと9分台の壁を壊した。8分55秒と、増田の記録をおよそ10秒も上回った。

 
力強い走りで韓国のパク・サンフンが3位に入る
力強い走りで韓国のパク・サンフンが3位に入る
しっかりと上位でゴールする前年度優勝者のベンジャミン・ヒル
しっかりと上位でゴールする前年度優勝者のベンジャミン・ヒル

今日の感触、そして明日以降の展開について

初日のトップ3の表彰式
初日のトップ3の表彰式
悔しがりながらも集まったファンに笑顔を向ける増田。2日目は繰り下げでブルージャージを着る
悔しがりながらも集まったファンに笑顔を向ける増田。2日目は繰り下げでブルージャージを着る
グリーンジャージとブルージャージ、ホワイトジャージまで獲得したポッター
グリーンジャージとブルージャージ、ホワイトジャージまで獲得したポッター
ポッターはこの結果について、「今日のレースはとてもタフだったと思います。9分ほどのコースでしたが、タイムトライアルというレースはいつもハードなものだと感じています。実は自分が思っていたよりよっぽど良い結果でした」と話した。

もともとポッターはチームのエースとして参戦したわけではないという。「今日は僕が一番いい成績でフィニッシュできたというだけです。2番目の選手たちも力がある選手たちです。それぞれのスペシャリティを持っているので、もしこのグリーンジャージを渡すとしたら、自分のチームメイトであれば、まぁいいかなと思っています。チームも僕のことをとても信頼してくれているので、できれば最後までこのジャージをキープしたいなと思っています。」

栃木県の期待を背負った増田は、「今日のベストは出せたかなと思うんですけど、やっぱり1位だった選手は強かったですね。簡単には勝たせてくれないです。この結果で満足ではないです。やっぱり勝たないとダメなんで」と悔しさに顔を歪ませる。

現在の体調については、「(先週末に行われたJプロツアー)修善寺(ロードレース)ではあまり調子が良くなかったですけど、その後に病院に行ったり、薬の量が変わったりとかして、体の調子は今そんなに悪くはないのかなと思いましたね。今日は全部出し切りました。力は余してないです」と話した。

宇都宮ブリッツェンはトップから約30秒以内に全メンバーを収めた。明日からのロードレースでどうタイム差を詰めていくのだろうか。「今年のツール・ド・とちぎは、イージーなコース設定なので、展開でうまく攻撃を仕掛けていかないと、秒差が取り返せないですね。チームで攻撃していくしかないとは思うんですけど。今日の結果を踏まえて、リザルト見て、誰がどの辺にいるかっていうのを考えながら明日は走りたいと思います」と増田は語った。

また、途中までホットシートを温めていた岡もトップからの秒差は約13秒だ。「結構長い時間トップを維持できていたので、もしかしたら(優勝も)あるかなと思ってたんですけど、最後、別格のタイムを出されてしまったので、ちょっと悔しいですね」と岡は話した。

明日以降の展開についてはこう語った。「オーストラリアン・サイクリングが一番チーム力があるのかなと思います。このタイム出せるっていうことはスプリント力もそれなりにあるでしょうし、集団をきちんとコントロールできるチームなんだろうなっていうのはあります。もしかしたらこの先のステージでまとめられちゃうかもしれないですね……。ただ、上位陣にうちのチームも何人か入れてますし、スプリンターもいるので、この先攻撃は仕掛けやすいとは思います。」


最後に出走したヒルもしっかり5位に入り、もちろん総合争いに加わってくるはずだ。果たしてこのままタイムトライアルの結果を引きずり、ボーナスタイム争いになるのか、はたまた明日からのロードレースで結果がシャッフルされるような攻撃が仕掛けられるのか。

ツール・ド・とちぎ第2ステージは、明日24日(土)小山市・小山思いの森を10時にスタートし、日光市・日光だいや川公園にフィニッシュする約105kmのロードレースだ。予定フィニッシュ時刻は12時20分頃だ。初日と同じくFRESH!での生中継も予定されている。


●第1ステージ リザルト

1位 マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) 8分55秒74
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +9秒45
3位 パク・サンフン(LXサイクリング・チーム) +11秒40
4位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +12秒24
5位 ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム) +13秒99
6位 トビー・オーチャード(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) +14秒01
7位 レイモンド・クレダー(チーム右京) +17秒93
8位 ロビー・ハッカー(チーム右京) +19秒80
9位 渡邊翔太郎(愛三工業レーシング) +21秒23
10位 パク・コンウ(LXサイクリング・チーム) +22秒69



●個人総合成績(グリーンジャージ)

1位 マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) 8分55秒74
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +10秒
3位 パク・サンフン(LXサイクリング・チーム) +12秒



●ポイント賞(ブルージャージ)

マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) 10pt




●U23総合成績(ホワイトジャージ)

マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト)


●チーム総合

オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト



http://www.tourdetochigi.com/