ニュース

どうやってチームに? 大宅陽子が聞く、みんなで走るストーリー 第1回 『BSN Reina&Raven』編

その他

サイクルスポーツ本誌はもちろん、NHK BS1の番組「チャリダー★」にも「坂バカ女子部」として登場した、大宅陽子さんが、サイクルスポーツの連載記事をスタート。仲間と走る楽しさを伝えるべく、各地のチームライドにおじゃま。チームの活動内容や、チーム結成のいきさつ、メンバーの素顔にせまる。

記事の最後には、チームへの連絡方法も乗っているので、「1人で走っていて仲間がほしいな」という人は近くのチームに連絡してみて!
1人で走るのも楽しいサイクリングだけれど、仲間がいれば人数分だけ魅力は倍増する。その門戸は開かれているのだ!


 

『BSN Reina&Raven』のチームライドにジョイン!

朝の集合風景 Photo:Yoko Oya
朝の集合風景 Photo:Yoko Oya
記念すべき第1回は、群馬県前橋市を拠点とする『BSN Reina&Raven』のチームライドに参加させていただいた。

朝8時半。前橋合同庁舎近くの駐車場にメンバーが集まった。Ravenリーダーの島田さんから「これ、食べて」と早く来たメンバーにドーナツが配られる。待っている間にウェアやパーツについてわいわいと話が弾む。なんとも穏やかな雰囲気だ。

Reinaリーダーの福田さんからコースやグループ分けについて説明があり、ライドスタート。走り出してすぐ、赤城山ヒルクライムのコースを走る。軽く息の上がるペースで上り始めるが、10分も走ると中島店長が早々に遅れをとり始め、全体もスローペースに。信号待ちをするメンバーから「ナカジ、がんばー」といった声があがる。

ヒルクライムのコースから外れた後もアップダウンのある道が続く。遅れがちなメンバーのさらに後ろには楽しそうに談笑するメンバー達がいた。休憩地点で集合する時も、ビギナーメンバーが最後に到着することはなかった。
 
スタート前の集合写真 Photo:Tomoyoshi Tada
スタート前の集合写真 Photo:Tomoyoshi Tada
店長がビギナーメンバーのポジション調整をする場面も Photo:Yoko Oya
店長がビギナーメンバーのポジション調整をする場面も Photo:Yoko Oya
地球屋のテラスを貸し切ってランチタイム Photo:Yoko Oya
地球屋のテラスを貸し切ってランチタイム Photo:Yoko Oya
「つけパンセット」はパン食べ放題 Photo:Yoko Oya
「つけパンセット」はパン食べ放題 Photo:Yoko Oya

ライド中もビギナーメンバーに「サドル低いんじゃない?」「もっと肩の力抜いて」などアドバイスをするメンバーがいたり、メカトラがあると、中島店長や先輩ライダーがすっと手を貸したり、ビギナーも安心のサポートだ。

コンビニで休憩をしてから、本日2回目の上り区間スタート。上毛三山パノラマ街道を上る。距離は約6㎞、5%以上の勾配が延々と続く。メンバーはそれぞれのペースで色づき始めた紅葉を仰ぎながら上っていく。

上り切った後は榛東村の『地球屋パン工房』へ。農業高校に通うRavenメンバーの渡辺君がここに自作の野菜を卸しているということで、おすすめのつけパンセットをチョイス。満腹になったところで下山し、一路前橋へ戻った。

チーム結成のきっかけは、自転車乗りの島田さんが仕事で知り合った福田さんにロードバイクを勧めたこと。すっかり自転車にハマった福田さんは女子チーム“Reina”を立ち上げることにした。発足時は3人の小さなチームだったが、現在は15人以上のメンバーが所属している。

男子チーム“Raven”はチームがバイクショップナカジマに合流したタイミングで名付けられた。現在のメンバーは約30人。しかし、ジャージを持っていない人、他のチームの人も事前に連絡を取ればライドに参加することができる。

BSNはバイクショップナカジマの略で、Reinaはスペイン語で「女王」、男子チームのRavenは「ワタリガラス」を意味するという。そして「男子チームは女子メンバーをサポートする」という鉄則があるのだとか。

 

メンバーはこんな人たち!

Ravenリーダーの島田さん(左)とReinaリーダーの福田さん(右)Photo:Yoko Oya
Ravenリーダーの島田さん(左)とReinaリーダーの福田さん(右)Photo:Yoko Oya
不敵な笑みを浮かべながら先頭を引く福田さん
不敵な笑みを浮かべながら先頭を引く福田さん
島田さんは最後尾でメンバーを見守っていた。みんなを笑わせて和ませ、常に誰かと関わっていた。「マナーさえ守ってくれればどんな人でもウェルカム。みんなで美味しいものを食べて楽しめればOK」と大らかな姿はまさにチームのお父さん的存在。

今回、チームライドの先頭をぐいぐい牽いてくれたのは福田さん。上りが好きで、峠道で前を行くライダーを見つけると、口元に笑みを浮かべ下ハンドルを握るという根っからのクライマーだ。彼女は2014年の榛名山ヒルクライム年代別2位、2017年の東京エンデューロではチームで優勝したという実力者。「楽しく走っていたら勝てちゃった。チームライドで新しい子をサポートしているうちに速くなった」「でも、やっぱりチームライドは美味しいものを食べに行くのが楽しい」と笑顔で語った。
 
最年長メンバーの石田さん Photo:Yoko Oya
最年長メンバーの石田さん Photo:Yoko Oya
石田さんは御年81歳。今年の赤城山ヒルクライムの最年長参加者だ。2017年に赤城山を35回も上っている。「75歳の時に自転車に乗ったら膝と腰の調子がよくなり、自転車を始めた」という。仲間と一緒に写真を撮ったり、話をしたりしながら楽しそうに走ったりする姿が印象的だった。

 
矢野さん(左)と小野澤さん(右)Photo:Yoko Oya
矢野さん(左)と小野澤さん(右)Photo:Yoko Oya
小野澤さんは今年5月に群馬県渋川市に引っ越してきた。通勤時に見かけていたバイクショップナカジマに以前から使っていたロードバイクのメンテナンスを頼んだ際、「女子チームのライドがあるから参加してみたら」と誘われた。

「初回はみんなチームジャージを着ているし緊張したけれど、一緒に走ってみたら楽しかった。また来たいなと思い、参加しています」「群馬の人って世話好きで優しい人が多い。チームメイトは気持ちのよい人たちばかり。チームライド以外でも赤城を走れば石田さんがいるし、一人で走った話をするとおすすめのルートやお店を教えてもらえる。」

矢野さんはStravaで福田さんと繋がり、チームライドに参加するようになった。「みんな明るくて参加しやすいし、楽しい」と語った。また、チームライドで小野澤さんと出会い、お互い弱ペダファンだということが判明し話が弾んだそう。
 
この日のライドに参加した女性みんなで集合写真。女性の比率高めかも Photo:Kaduki Watanabe
この日のライドに参加した女性みんなで集合写真。女性の比率高めかも Photo:Kaduki Watanabe

メンバーはショップでバイクを購入した人が半数程度。残りの半数は知人やSNS繋がりでチームに加入している。中にはイベントでリーダー2人に誘われ加入したメンバーもいるのだとか。

ライドは月に1~2回程度。その他、榛名山ヒルクライムや赤城山ヒルクライム、望郷センチュリーライドにはメンバーの多くが参加している。ヒルクライムレースが近づくと、走力に合わせてグループ分けをして走ることもある。ただし基本的にチームライドは楽しむことを主旨としているので、しっかり練習をしたいメンバーはチームライドの前後に練習をしてきているそう。



ライドの案内はバイクショップナカジマのfacebookページに掲載している。また、入部はTeam Reinaのfacebookページから連絡をとることが可能。


 
中島店長は「いい人たちが集まっているし、面白い繋がりのあるチーム。ショップのお客さんにとっても楽しめるチームだと感じている。自分自身は縁の下の力持ちタイプなので、今後もチームのバックアップをしていけたら」と語った。


【走行距離】49㎞ 獲得標高952m

【立ち寄りどころ】『地球屋パン工房』

【ペース】ゆったりペース。上りはややペースアップ?!

【フレンドリー度】わいわい賑やか!





優しく紳士的な走りをするRevenメンバーに、にこにこ笑顔が素敵なReina

メンバー。それぞれ気さくにコミュニケーションを取りながら楽しく平和なライドを楽しんでいました。また、「チームライドは緩く走る」という信条があるため、ビギナーメンバーも安心して楽しく走っている様子が印象的でした。

 

ライドコースはこちら!



 

大宅陽子(おおやようこ)

この連載のレポーター。ヒルクライムをこよなく愛するサイクリスト。各地のヒルクライム大会で入賞、ジャパンカップオープン女子完走の経歴をもつ。また、ヨガインストラクターとして自転車競技の特性に合わせた「サイクリストヨガ」のレッスンを各地で開催中。