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台湾KOMチャレンジ2017が開催。優勝はバーレーンメリダのニバリ

レース
2017年10月20日(金)に台湾の太魯閣渓谷を舞台に開催された「台湾KOMチャレンジ2017」。標高差0mから3275mまでを一気に駆け上がるヒルクライムレースだ。世界中からトッププロレーサーが集った超過酷なヒルクライムレースに、編集部員が挑戦してきた!
 

バーレーン・メリダの二バリが独走優勝!

台風の接近にともない強風が吹き荒れる、早朝の七星潭海岸をスタート
台風の接近にともない強風が吹き荒れる、早朝の七星潭海岸をスタート
タロコ渓谷上り口までの20kmはニュートラルとなり、選手達は集団で花蓮の街中を駆け抜けた
タロコ渓谷上り口までの20kmはニュートラルとなり、選手達は集団で花蓮の街中を駆け抜けた
レース当日は台風の接近に伴い、スタート地点の景勝地・七星譚は強風が吹き荒れる。しかしながら予報で回復が見込まれていたため、序盤の平地区間約20kmをニュートラルとし、予定通りにスタートした。

この太魯閣渓谷を舞台としたイベントは台湾の自転車文化を盛り上げる「自行車」として一年を通して様々なイベントが開催されている。その中で今年の6月にも同コースを使い「台湾ヒルクライムチャレンジ」が開催される予定であった。しかしながらその大会前日に、参加予定だった日本人サイクリストが同コースの試走中に落石により亡くなるという痛ましい事故がおき、中止となっていた。
前夜祭の際に主催者側に、今回の開催に際して話を聞くと「私たちは今回の開催に向け、より安全面に配慮しています。コース上に多くの人員やサポート体制など安全管理を徹底し、日本のサイクリストの皆さんが無事にこのレースを楽しんでもらいたいです」と話す。
前日メディア向けにコースのチェックが行われたが、いくつかの個所では荒れた路面や斜面に追加の工事が施されており、本大会に向け急ピッチで作業が進められたことがうかがえた。
 
タロコ渓谷の岩肌を間近に感じながら集団が走る
タロコ渓谷の岩肌を間近に感じながら集団が走る
ブリヂストンアンカーのダミエン・モニエ選手のすぐ後ろにつけるのは、総合7に入った森本誠選手
ブリヂストンアンカーのダミエン・モニエ選手のすぐ後ろにつけるのは、総合7に入った森本誠選手
2位に入ったのはチーム右京のオスカル・プジョル選手
2位に入ったのはチーム右京のオスカル・プジョル選手
本コースは海岸線沿いで海抜0mの七星をスタート序盤20kmが平坦路ながら、そこから先は平均勾配が6~7%の坂が続く。タロコ渓谷の先に待つ標高3275mの武領までを上る。終盤には勾配27%を超える激坂区間が300mにわたって続くなど、レーサーたちを苦しめる。

先述の通りニュートラルでスタートした集団の中には、チームで参加したバーレーン・メリダ、BMCレーシングチームなどでかつて活躍し現役引退したカデル・エヴァンス、チーム右京のオスカル・プジョル、そして日本人選手として2017年乗鞍覇者の森本誠選手やJプロのエリートライダーなど数々の選手の姿が見える。
ニュートラルが解除された区間からはアタックが頻発。約60km地点からは集団のペースが一気に上がり、そこからは実力者たちの本格的なレースが展開された。

結果として3時間19分54秒というトップタイムを叩き出したのは、バーレーン・メリダのエース、ヴィンセンツォ・二バリ選手!2位のオスカル・プジョル選手に約1分半の差を付けて独走優勝を果たした。
 

編集部・エリグチも実走取材!

終盤になるにつれて勾配がどんどんキツくなっていく。少しでも楽をしようと蛇行して進んだり、周囲の選手と励まし合いつつ上る
終盤になるにつれて勾配がどんどんキツくなっていく。少しでも楽をしようと蛇行して進んだり、周囲の選手と励まし合いつつ上る
やったぜ完走!一緒に走る選手がいなければ諦めていたかもしれない。ゴールタイムは5時間2秒
やったぜ完走!一緒に走る選手がいなければ諦めていたかもしれない。ゴールタイムは5時間2秒
森林限界を超えた山頂はまさに絶景。少なくとも最後まで足は着かなかった
森林限界を超えた山頂はまさに絶景。少なくとも最後まで足は着かなかった
そんなレースに筆者も参加。台風が近づき強風が吹き荒れるなかスタート。約20km地点でニュートラルが解除されたとたんに、集団が加速しアタック合戦が始まる。少しでも集団内で楽をしようと付いていくが、それも50km を残して終了。あと半分も上りっぱなしだなんて! 

標高が上がって行くに従って勾配は上がっていき、何より空気が薄くなって呼吸が思うようにできなくなっていく。これが本当につらい。もう脚をついてあきらめようかと考えがよぎったが、たまたま側で走っていた日本人選手たちと励まし合っているうちに、なんとか最もきつい激坂地点もクリアできた。

森林限界を迎えた山頂の中にぽつりと、そしてひときわにぎやかなゴール地点を捉えて、こんなに青空に近づいたのは生まれて初めてだななんて思いながらあと少しだけ踏み込んだ。

(text:Kyohei Eriguchi photo:taiwankomchallenge2017/Kyohei Eriguchi)

 

リザルト

1位 ヴィンセント・ニバリ(バーレーン・メリダ) 3時間19分54秒04
2位 オスカル・プジョル(チーム右京)3時間21分25秒27
3位 ジョン・エヴセン 3時間24分21秒96
4位 キャメロン・ピッパー 3時間24分44秒85
5位 エドモンド・ジェームス 3時間24分55秒02
6位 フィリップ・シュワン 3時間28分58秒54
7位 ジョー・スティーヴンス 3時間30分35秒73
8位 森本誠 3時間30分54秒87
9位 才田直人 3時間33分49秒60
10位 カデル・エヴァンス 3時間34分25秒83

問・台湾KOMチャレンジ2017



 
優勝者には賞金50万元(170万円相当)が与えられた
優勝者には賞金50万元(170万円相当)が与えられた