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【2017全日本MTB選手権】ダウンヒルDHI、井本はじめが初勝利を飾る

レース
話題性には事欠かなかったものの、未冠だった井本はじめが、ついに全日本のタイトルを獲得 (Photo: 滝沢佳奈子)
話題性には事欠かなかったものの、未冠だった井本はじめが、ついに全日本のタイトルを獲得 (Photo: 滝沢佳奈子)
2017年7月22日、第30回全日本マウンテンバイク選手権が長野県の富士見パノラマリゾート特設コースで開催された。DHIエリート男子は井本はじめ(Sram/SantaCruz)が、エリート女子は吉川千佳子(DKMC)が、男女ともに初めて、全日本チャンピオンのタイトルを獲得した。
 

 
text: Koichiro Nakamura  / photo: Satoshi Oda

ついにビッグタイトルを手中に収めた

海外でのスピード感を大切にした2017年、「レースがまた楽しくなってきた」と井本
海外でのスピード感を大切にした2017年、「レースがまた楽しくなってきた」と井本

現在の日本ダウンヒルレースシーンは多様化を続けている。日本のトップレースシリーズでの、現在ならクップ・ドゥ・ジャポンというとなるが、この優勝を狙うというのがこれまでの日本MTBレースの定石だったが、国内での成績を残すよりも海外レースでの成績を目指す選手もいる。全日本選手権は、そういった主な活躍の場の異なる選手たちが一同に介し、その実力を競う。
 
ただ、その会場となる長野県・富士見パノラマスキー場のコースは、20年に渡り日本を代表するMTBダウンヒルコースとしてほど愛され、すべてのレベルのライダーが楽しめるコース設定。世界シーンを走る選手たちには「簡単すぎてタイム差がつかない」とも言われる。ライダーそれぞれの技術の差が明確なタイム差として現れるのは、現在の世界コースの主流とも言える難易度の高いものだからだ。
 
「去年も2位、今年も2位。さっきの決勝でもっといいラインを見つけたんで、来年勝ちます(笑)」(2位:清水一輝)
「去年も2位、今年も2位。さっきの決勝でもっといいラインを見つけたんで、来年勝ちます(笑)」(2位:清水一輝)
 
富士見パノラマも新設のセクションなどで難易度を上げてはいるが、それでもトップはコンマ数秒の差を争う。そのコンマ数秒というのは、2分14秒台の優勝タイムの中では、走りごとに変化する路面状況のようなもの、あるいは時の運のようなものだ。この運に見込まれたものが勝利する、それが現在のMTBダウンヒル全日本選手権の置かれた状況である。この意味合いは、受け取るものそれぞれの価値により組み上がる。
 
優勝を決めるのは決勝ラン一本のタイムだが、それまでの予選でも選手たちの調子が垣間見える。予選タイムでトップ2をとったのは、若手ライダーのトップを走る2人、加藤将来(AKI FACTORY)と泉野龍雅(AKI FACTORY/自転車道)。ただこの2人は残念ながら決勝では、加藤は「攻めすぎて」転倒、泉野がコース中盤でパンク(それでもトップと2秒差で結果5位は残念)と、共に勝利を手にするまでの運の強さはなかったようだ。
 
予選から7秒ほど縮めてトップ3に入った井岡祐介
予選から7秒ほど縮めてトップ3に入った井岡祐介
去年の優勝者、九島勇気はその実力を証明しきれず
去年の優勝者、九島勇気はその実力を証明しきれず
 
昨年の優勝者であり、今年は世界レースをメインに走っていた九島勇気(玄武/Mondraker)は、予選よりも3秒近くも縮めた2分15秒台だが、それでも4位だ。「ミスもあったとは思いましたが、自分の勝機に乗せきれませんでした。うまく行かなかったです」と語る。
 
4位の九島の上で走った3人は、今日明らかに『乗れていた』選手たちだが、なかでも全日本選手権を初優勝となった井本はむしろ「このレースはゆるく行こうと思っていた」そうだ。
 
「これまで、予選まで調子よく行っても、力みすぎて結果を出せなかったことが多かったと思う。今日は楽しんで乗れればいいかなと思って、それはそれで攻めまくってみた結果、限界まで乗れたってことですね」と井本は語る。
 
井本の「はじめチャンぷついにおめでとう」の1シーン
井本の「はじめチャンぷついにおめでとう」の1シーン

2010年にジュニアクラスでのチャンピオンとなり、その後は表彰台やメディア露出など話題には上がるものの、きちんとした結果を残せていなかった井本。2017年シーズンは、シーズン当初からオーストラリアで走り込んだり、前半シーズンをヨーロッパでのW杯でスピード感を磨くなど、レースに対し積極的な姿勢で挑んできた。その結果が初のタイトル奪取に繋がった。
 
「これまで僕だけタイトルがなかったから、(タイトルを持つ仲間のライダーたちと)とりあえず肩を並べられる所まで来ましたね(笑)」(井本)
 
左から2位の清水、優勝の井本、3位の井岡
左から2位の清水、優勝の井本、3位の井岡

女王交代

エリート女子に復帰して3年目となる吉川千佳子、初の勝利が全日本チャンプに
エリート女子に復帰して3年目となる吉川千佳子、初の勝利が全日本チャンプに
2位の中川弘佳、3位の富田敬子という表彰台の常連から4秒以上速いタイム
2位の中川弘佳、3位の富田敬子という表彰台の常連から4秒以上速いタイム
DHI女子エリート、これまで末政実緒選手が連続して獲り続けてきたこのタイトルを、十数年ぶりに獲ったの吉川。この優勝が彼女自身の初めての優勝ともなった。「言葉にならないです。今年しかない、と思って、2ヶ月前からこの全日本を狙ってきました」(吉川)

 

DHIリザルト

【DHI男子エリート】
1 井本はじめ(Sram/SantaCruz)2:14.578
2 清水一輝(Patrol moutain downhill)+0.416
3 井岡祐介(重力技研/GLcomponents)+1.071
 
【DHI女子エリート】
1 吉川千佳子(DKMC)2:50.980
2 中川弘佳(Lovespo.com)+4.060
3 富田敬子(Acciarpone bikes)+9.143
 
【DHI男子ユース】
1 秋元拓海(PAXCYCLE)2:23.600
2 山田淳一(重力技研/GLcomponents)+8.471
3 石井日高(TEAM MARSH)+8.808
 
【DHI女子ユース】
1 小林あか里(MTBクラブ安曇野)3:09.365

 
 
全リザルトはこちら http://wakitasoft.com/Timing/Results/2017/20160723/