ニュース

ツール・ド・フランス第8ステージはフランスのカルメジャーヌが逃げ切って区間初優勝

レース
photo : TDW/BettiniPhoto©2017
photo : TDW/BettiniPhoto©2017
 
第104回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月8日にドルからスタシオン・デ・ルスまでの187.5kmで第8ステージを競い、フランスのリリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー)が逃げ切って区間初優勝した。彼は山岳賞でも総合首位になり、マイヨ・アポワを獲得した。

マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、下りのカーブでコースアウトするアクシデントに見舞われたが、落車は逃れた。この日は終盤にカテゴリー1の峠を上るコースだったが、総合上位に変動はなく、フルームが総合首位の座を守った。
 
 
 
MAP : ASO
MAP : ASO
第8ステージは193選手が出走。スタートからアタックと吸収が繰り返され、最初の1時間の平均時速は46.8km/hになった。2010年にスタシオン・デ・ルスがゴールの区間で優勝していたフランスのシルバン・シャバネル(ディレクトエネルジー)は特に積極的にアタックを試みていたが、成功しなかった。

ハイスピードの展開と、カテゴリーのない丘越えで集団からはスプリンターや不調の選手が脱落。その中にはフランスチャンピオンのアルノー・デマール(エフデジ)も含まれていた。45.5km地点の中間スプリント地点はアンドレ・グライペル(ロット・スーダル)が先頭で通過した。

75km地点で集団から50人ほどの選手が先行するのに成功した後、そこからカルメジャーヌを含めた13人がアタックして先頭に出た。そこに3人が合流し、ゴールまで残り98kmで先頭は16人になった。その時点でチームスカイがコントロールする集団は3分40秒後方だった。

カテゴリー3のコル・ド・ラ・ジュー峠の登坂で逃げ集団からフランスのワレン・バルギル(チームサンウェブ)とベルギーのセルジュ・パウエルス(チームディレクトエネルジー)がアタックし、先頭で山頂を通過した。

下りで2人に6人が合流し、残り70kmで先頭は8人になった。集団とのタイム差はまだ2分40秒あった。つづくカテゴリー2のコート・ド・ビリ峠の登坂でカルメジャーヌは先頭グループに合流した。山頂はバルギルが先頭で通過した。

コート・ド・ビリ峠の下り坂で、集団では先頭のチームスカイ列車からマイヨ・ジョーヌのフルームとゲラント・トーマスが脱線し、コースを外れるアクシデントがあったが、落車は免れた。このアクシデントで集団はスピードを緩めたため、逃げとのタイム差は一時3分になったが、残り28kmで1分半に縮まっていた。

ゴールまで残り23.5kmで、この日最後の峠だったカテゴリー1のコート・ド・ラ・コンブ・レジア・レ・モルヌの登坂が始まると、先頭グループは次第に小さくなった。そこから残り17kmでカルメジャーヌがアタックして独走を開始した。

カルメジャーヌはカテゴリー1の山頂をトップで通過し、10ポイントを獲得。彼はすでに第3ステージの山岳ポイントで1ポイント稼いでいたため、ファビオ・アルー(アスタナプロチーム)に1ポイント差で山岳賞総合首位になった。

最後の峠を越えたあと、ゴールまではなだらかな道のりがまだ12kmあり、オランダのロベルト・ヘーシンク(チームロットNL・ユンボ)が30秒前後のタイム差で先頭のカルメジャーヌを追いかける展開になった。

ゴールまで残り5kmで、カルメジャーヌは脚が攣るトラブルに見舞われ、自転車にはボトルも付いていなかった。しかし、追走のヘーシンクにも、もう追いつく力は残っていなかった。カルメジャーヌは苦しみながらも逃げ切り、24歳で初出場したツールで初区間優勝を勝ち取って開催国フランスに区間2勝目をもたらした。


カルメジャーヌは昨年ネオプロで初出場したブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)でも、中級山岳区間の第4ステージで逃げ切って区間優勝しており、これがUCIワールドツアーで2度目の区間優勝だった。

メイン集団は50秒遅れでゴールし、トップ10までにタイム差の変動はなかった。フランスチャンピオンのデマールは、チームメートのミカエル・ドラージュとイグナタス・コノバロバスのアシストのお陰で制限時間内にゴールすることができた。

 

■24歳でツール初区間優勝を果たしたカルメジャーヌのコメント
「みんながショーを楽しんでくれていたらいいなと思う。チームとして僕たちは攻撃を続けることを決め、それが報われたんだ。最後はヘーシンクがそんなに離れていないことを知っていた。でも僕はあきらめなかった。

残り6kmから4kmの間に、脚が攣ってしまったけど、去年のツール・ド・ランで同じ経験をしていた。だから自分が何をすべきかわかっていた。フィニッシュラインを通過した時、どれだけホッとしたことか。素晴らしいよ。これは僕が好きなレースの仕方なんだ。ボクはワールドツアーのポイントや総合の順位を追いかけるのは好きじゃないのさ」

 
 
photo : Luca Bettini/BettiniPhoto©2017
photo : Luca Bettini/BettiniPhoto©2017
 
 
■第8ステージ結果[7月8日/ドル〜スタシオン・デ・ルス/187.5km]

1 リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー/フランス)4時間30分29秒
2 ロベルト・ヘーシンク(チームロットNL・ユンボ/オランダ)+37秒
3 ギヨーム・マルタン(ワンティ・グループゴベール/フランス)+50秒
4 ニコラ・ロッシュ(BMCレーシングチーム/アイルランド)+50秒
5 ロマン・クロイツィゲル(オリカ・スコット/チェコ)+50秒
6 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+50秒
7 ミケル・ヴァルグレン(アスタナプロチーム/デンマーク)+50秒
8 ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)+50秒
9 ネイサン・ブラウン(キャノンデール・ドラパック/米国)+50秒
10 ロマン・アルディ(チームフォルテュネオ・オスカロ/フランス)+50秒
143 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+31分34秒
■第8ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)33時間19分10秒
2 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+12秒
3 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+14秒
4 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+25秒
5 リッチー・ポート(BMCレーシングチーム/オーストラリア)+39秒
6 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+43秒
7 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+47秒
8 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+52秒 
9 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+54秒
10 ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)+1分01秒
135 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+45分40秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マルセル・キッテル(クイックステップフロアーズ/ドイツ)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー/フランス)
(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)
 
 
 

日曜日はいよいよ本格的な山岳ステージ

MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : ASO
MAP : ASO
 
 
7月9日の日曜日には、いよいよ今年最初の本格的な山岳区間が行われる。ナンチュアをスタートし、シャンベリーにゴールする181.5kmの第9ステージは、カテゴリーの付いた峠を7カ所越えなければならず、そのうち3カ所はカテゴリー超級だ。

しかも、スタートしてすぐにカテゴリー2の登坂が始まるため、スプリンターには試練の1日になるだろう。特に、スタートからアタックが続いてハイペースになった第8ステージの後では、厳しいステージになりそうだ。

マイヨ・ジョーヌのフルームは「今日はいくつかのチームがマイヨ・ジョーヌを望んでいた。ピエール・ラトゥールやマティアス・フランクがそうだったんじゃないかな。だから彼らを行かせるわけにはいかなかった。僕たちは彼らの後方でとても速いテンポで走らなければならなかった。こんなハードなステージの後だから、明日はとても決定的に日になるはずだ」と、語っている。
 
 

第8ステージのハイライト映像


Summary - Stage 8 - Tour de France 2017 投稿者 tourdefrance_en