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伊豆大島の復興を記念し「三原山ヒルクライム」が開催!イベントの模様をお届けします

イベント
9月26日(日)、東京都伊豆大島にて、「三原山ヒルクライム」が開催された。このイベントを含む2日間の伊豆大島ツアーに招待されたのは、抽選で選ばれた81人と島民11人、メディアを含めて100人弱の参加者。3年前の土砂災害で大規模な被害から復旧した「御神火(ごじんか)スカイライン」を舞台とした「三原山ヒルクライム」の模様を中心として編集部員によるレポートをお届けする。
 
text●江里口恭平、photo●山口顕太

海と山の大パノラマにに感動!

当日は海岸線の向こうに伊豆半島や、富士山が時折見えるほどの晴天に恵まれた。前日まで島の天気は雨続きだったようだが、絶好の自転車日和となった。
今回のイベントは御神火スカイライン開通記念のモニターツアーとして、公募で選ばれた一般参加者81人、大島在住サイクリスト11人が無料で招待された。初日のヒルクライムと二日目のサイクリングツアーをあわせた2日間の日程で、大島の魅力をより多くの人に知ってもらい、それぞれの周囲のサイクリストにも広げてもらおうというのが主な目的となる。
 
「三原山ヒルクライム」のコースは、平均勾配8.7%、最大勾配14%、距離5.9kmに獲得標高519mと、短いながらも坂好きには楽しみがいのあるコースだ。また、今回はタイムを計測するレース方式ではなく純粋なサイクリングとしてのヒルクライムイベント形式となる。
 
このイベントが開催される契機となったのは、3年前の平成25年10月16日に大型台風26号によって伊豆大島が大規模な土砂災害を被ったことによる。ヒルクライムが開催される「御神火スカイライン」はこの災害により崩落。付近の市街地や住民にも被害が広がった。
また、もともとこの「御神火スカイライン」自体も、1986年に発生した三原山大噴火からの復興事業として整備されたという経緯を持つ。

そしてこの9月、東京都の復興事業により再建された御神火スカイライン。土砂崩れにより削り取られた山肌は生々しく残るが、それによってスカイラインの視界は大きく開け、上る道中からも海原を視界に収めることができることとなった。
今回の災害における復興のシンボルとしてのこの御神火スカイライン。これを利用したイベントを開催することで、伊豆大島の今を伝えるだけでなく、新たにサイクリストに対してもその魅力をアピールしたいというのが目的だ。
 
大会前日の夜に竹芝桟橋を出港するフェリーで伊豆大島へ。夜の船旅が旅情をそそる
大会前日の夜に竹芝桟橋を出港するフェリーで伊豆大島へ。夜の船旅が旅情をそそる
今イベントの案内役には、ラファアンバサダーの石井美穂さん、同じくアンバサダーかつ東京サイクルデザイン専門学校在学中の赤松綾さん、そして大島名物サイクリストの寺本雄一郎さんが務めた
今イベントの案内役には、ラファアンバサダーの石井美穂さん、同じくアンバサダーかつ東京サイクルデザイン専門学校在学中の赤松綾さん、そして大島名物サイクリストの寺本雄一郎さんが務めた
エイドステーションでは大島名産の海塩を使用したドリンクなどが提供された。気温が上がる中のヒルクライムにはありがたい
エイドステーションでは大島名産の海塩を使用したドリンクなどが提供された。気温が上がる中のヒルクライムにはありがたい
上る途中には度々景色が開け、町や海を見下ろすことができる。遠くには伊豆半島や富士山も!
上る途中には度々景色が開け、町や海を見下ろすことができる。遠くには伊豆半島や富士山も!
一般の参加者は、前日の夜に東京・竹芝桟橋より輪行しフェリーで出発。早朝の大島に上陸するスケジュールだ。
ヒルクライムは朝一番にスタート。序盤から始まる勾配のきつい坂を楽しみながらも、途中のエイドステーションで補給をしつつ、小一時間ほどで頂上まで駆け上がった。途上ではまだ建設資材が積まれている工事中の箇所などもあったが、路面はきちんと整備されておりロードバイクでも非常に快適だった。
上り切った後にはまさに絶景!前は海、振り返ると緑に包まれた三原山火山が目に入ってくる。これが東京都だなんて、大阪人の筆者には想像もできなかった。海に向かって開けた景色を味わいながら、きつい坂を楽しむことができるなんて、自転車乗りにとってはご褒美の連続のようなコースだった。
かつて8年前に自転車でこのコースを体験したことがあるという参加者は、「再びこの素晴らしい景色や大島の町並みを楽しむことができ、本当にうれしいです」と上り切った後に笑顔で話してくれた。

大島観光協会会長の白井岩仁氏は「御神火スカイラインが、こうして伊豆大島復興の象徴となる道となったことを非常に喜ばしく思います。今後もぜひサイクリストの皆さんに足を運んでもらい、この島の魅力を味わって頂ければと思います。
伊豆大島は東京、竹芝桟橋からジェット船を使うと1時間45分で訪れることができます。大島を含む伊豆諸島は、島同士が船で行き来する必要があるものの、それを含めて非常に魅力を持つ場所。目指すは『橋のない、しまなみ海道です』」と語った。
今回の「三原山ヒルクライム」はあくまでモニターツアーの一環のため、今後レースなどに発展するかはまだ調整中とのこと。しかしながら来年度に向けよりサイクリストや観光への整備を進め、継続してイベントを開催できるように前向きに検討中とのことだ。


 
土砂災害により削り取られた山肌は今も残る。しかしその分木々が開けるので、空が広く見えてくる
土砂災害により削り取られた山肌は今も残る。しかしその分木々が開けるので、空が広く見えてくる
復興されたばかりということもあり、路面の舗装は非常に整っている。伊豆大島自体が都道として管理されている道が多く、ロードバイクで快適なライドを楽しめる
復興されたばかりということもあり、路面の舗装は非常に整っている。伊豆大島自体が都道として管理されている道が多く、ロードバイクで快適なライドを楽しめる
大島の伝統衣装に身を包んだサポートの人々から補給をゲット
大島の伝統衣装に身を包んだサポートの人々から補給をゲット
終了後は完走証ももらえる。1日目のイベント解散後はみなさん温泉、グルメ、自転車と大島をそれぞれ自由に楽しんでいた
終了後は完走証ももらえる。1日目のイベント解散後はみなさん温泉、グルメ、自転車と大島をそれぞれ自由に楽しんでいた

参加者のみなさん

サイクリストにはみどころたくさん!伊豆大島一周を楽しもう

東部には大島名物の椿が多く生息しており、このポイントでは椿のトンネルを抜けることができる
東部には大島名物の椿が多く生息しており、このポイントでは椿のトンネルを抜けることができる
西側には巨大なバームクーヘンのような断層が。ジオパークとして認定を受けている故に、他では見られない景色が島には多々見られる
西側には巨大なバームクーヘンのような断層が。ジオパークとして認定を受けている故に、他では見られない景色が島には多々見られる
2日目には「伊豆大島一周ライド」と「グルメライド」の二班に分かれて島を満喫。自転車でゆっくりと走ると島の様々な表情を見ることができる。
より詳細なレポートは、10月20日発売のサイクルスポーツ12月号をチェック!編集部・江里口は伊豆大島初上陸。ヒルクライム、一周ライドを合わせて島を走りこんできました!