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「ジャイアントストア松江」オープン記念プレスツアーで出雲大社を目指す!

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8月25日、ジャイアントストアの24店舗目となる新店舗、「ジャイアントストア松江」がオープンした。山陰エリアでは初の出店となり、当日のオープン記念式典には、溝口善兵衛・島根県知事をはじめとする県や一畑電鉄の関係者らも出席。県を挙げてサイクリング文化を盛り上げていく意気込みを見せている。

当日はオープン記念式典とともに、松江市内と出雲大社を結ぶコースでプレスツアーが開催された。サイクルスポーツでは、そのプレスツアーの模様を徹底レポート。サイクルトレインを活用した、山陰エリアならではの魅力的なコースを紹介する。


text●編集部 photo●編集部/ジャイアント

 

一畑電車直結のストア

ジャイアントストア松江(以下ストア)は一畑電車北松江線のターミナル駅、松江しんじ湖駅から徒歩1分。ストア脇には、レンタサイクル利用者向けに、駅直結の通路を設けており、駅まで直接自転車で乗り入れることも可能。まさに”駅直結”なのだ。

ストアに隣接する松江しんじ湖温泉駅は島根県松江市と広島県尾道市を結ぶ「やまなみ海道サイクリングロード」の発着点となっている。今後、島根県は周辺自治体や国交省と連携し、鳥取・島根・広島・愛媛の4県を結ぶ広域サイクリングルートの設定を目指しており、その協議を進めている最中だ。今後ストアは、やまなみ街道の拠点基地としての役割も担っていく。

溝口知事はストアのオープニングセレモニーで、「島根には豊かな自然の中に古きよき文化や歴史がたくさん残っていて、疲れた体を癒してくれる温泉や海や山の幸にも恵まれています。今後もみなさまと協力して、多くの方に島根に来ていただいて、サイクリング観光を楽しんでいただきたいと思っています。」と語るなど、今後、島根県側としても、サイクリスト受け入れ態勢を本格化させる意志が感じられた。

 
ストアは松江しんじ湖駅から徒歩1分の好立地
ストアは松江しんじ湖駅から徒歩1分の好立地
50坪の売場面積を誇るフロアには、ジャイアントやリブを始めとするアパレル用品や、約35台の完成車がラインナップされている
50坪の売場面積を誇るフロアには、ジャイアントやリブを始めとするアパレル用品や、約35台の完成車がラインナップされている
オープンを記念する式典には、多くの島根県関係者やジャイアント関係者が出席した。左から今回のライドの先導役をつとめる後藤清作氏、ジャイアント日本法人社長・中村 晃氏、島根県知事・溝口善兵衛氏、島根県商工会議所連合会 会頭・古瀬 誠氏、松江市副市長・能海広明氏、一畑電気鉄道代表取締役会長・大谷厚郎氏、同社長・今岡和志氏。
 

レール&サイクルが終日利用可能

松江~出雲を結び、出雲大社への参詣鉄道としての役割を果たしている一畑電車では、全区間で終日自転車の持ち込みが可能になる「レール&サイクル」を実施(持ち込み手数料1回310円/台 ※乗車券は別途購入)。同様の取り組みは「サイクルトレイン」とも呼ばれ、全国各地の私鉄を中心に取り組みがなされているが、終日で利用できるところは数少ない。

このレール&サイクルを利用すれば、往路は松江市を出発して、出雲大社へサイクリング。往路は最寄りの駅から一畑電車でストアのある松江市まで戻ってくるというルート設定が可能だ。これなら体力に自信のないサイクリストや初心者でも無理なくサイクリングを楽しめるだろう。

ストアでは、自転車を持っていない利用者でもレンタサイクルを借りることができる。こうした利用者に向けて、ストア発着でレール&サイクルを組み合わせたサイクリングプランを推奨しており、今後はレンタサイクル利用者限定で、一畑電車の一日乗車券もセットとなるプランも実施予定だ。

また、今回のストアのオープンを契機として、松江一畑交通では、自転車を載せることができるキャリー付きのタクシーの運行が開始された。

 
●一畑電車では終日全線で自転車がそのまま持ち込める「レール&サイクル」が利用可能。車内には固定バンドも用意されているので活用しよう。
一畑電車 松江しんじ湖温泉駅  TEL 0852・21・2429
www.ichibata.co.jp/railway/service/rail-cycle.html

●松江一畑交通では、自転車を積めるタクシー「サイクルタクシー」のサービスを開始。追加料金不要で自転車を1台運ぶことが可能。
松江一畑交通  TEL 0852・22・3681
www.ichibata.co.jp/taxi-matsue/
 

宍道湖と出雲大社を結ぶ”縁結びルート”



式典の終了後、メディア関係者を中心にストアが提案する片道約50kmのルートを試走した。コースの全体像は上記のルートラボを参照してほしい。

宍道(しんじ)湖西岸に位置するストアを出発し、宍道湖沿いに西に出雲市方面へ進む。そこから出雲路自転車道と名付けられたサイクリングロードを通り、出雲大社へと至るルートだ。帰りは、出雲大社前から一畑電鉄を利用し、松江しんじ湖駅まで輪行する。

コースは、アップダウンが非常に少ない平坦なルートで、サイクリング経験の浅い初心者でも気軽に楽しめる。万が一トラブルや大雨にあっても、途中で一畑電車にいつでも自転車をそのまま載せられるというのは心強い。

バイクは、ジャイアントの2017年モデル・コンテンド1をレンタル。このほかにもストアには、クロスバイクやロードバイクなどが常時約20台用意されている。通常ストアでレンタルすると。フラットペダルやヘルメット、ライトやベルなどの保安部品がセットで付随。ビンディングペダルを持ち込めば、ショップで取り付けてくれる。

 
松江イングリッシュガーデン駅までは、溝口知事ら島根県や一畑電車の関係者も試走。途中、一畑電鉄と並走する場面も。サイクリングロードと線路が隣接しているのも魅力のひとつ
松江イングリッシュガーデン駅までは、溝口知事ら島根県や一畑電車の関係者も試走。途中、一畑電鉄と並走する場面も。サイクリングロードと線路が隣接しているのも魅力のひとつ
松江イングリッシュガーデン前駅を過ぎると、湖面ギリギリを進む快走路が続く
松江イングリッシュガーデン前駅を過ぎると、湖面ギリギリを進む快走路が続く


西日本エリア最大級の汽水湖で知られる宍道湖では、天然のうなぎが取れることでも有名で、比較的お値打ち価格でウナギを食べられるのだ。沿道にもウナギ屋の看板が点在していた。とくれば、満場一致で昼食はウナギに決定! 天然のふっくらとしたウナギに皆大満足。

宍道湖の幸を楽しんだ後は、湖面の北岸を走る国道431号沿いを進む。昼食場所から9kmほど行くと、”出雲路自転車道入り口”という大きな看板が現れる。この道が宍道湖湖岸の鹿園寺駐輪場を起点をし、稲佐の浜を終点とする全長30.9kmの「出雲路自転車道」だ。距離表示が1kmごとに設置されており、初めて走るサイクリストにも安心。

 


今回立ち寄った「福吉」では天然うなぎを使ったうな重を注文。これで夏バテ対策もばっちり。

「福吉」
松江市秋鹿町328-7
TEL 0852・88・2028
営業時間11時~13時半、17時~21時
定休日/水曜日

 
宍道湖と日本海・稲佐の浜を結ぶ「出雲路自転車道」は全長30.9kmで風光明媚なコース設定
宍道湖と日本海・稲佐の浜を結ぶ「出雲路自転車道」は全長30.9kmで風光明媚なコース設定
サイクリングロードには自転車歩行者専用の橋も設置されており、宍道湖を一望できる
サイクリングロードには自転車歩行者専用の橋も設置されており、宍道湖を一望できる


サイクリングロードの起点から約3kmは、宍道湖沿いを走行する。宍道湖は国内7番目の面積を誇り、水鳥も多く飛来し、「ラムサール条約」にも登録されている自然豊かな湖だ。続いて、日本海に注ぐ一級河川・斐伊川(ひいかわ)の堤防沿いを12km程度進む。堤防沿いの道からは、見晴らしのいい出雲平野と出雲北部の山々が背後にそびえる雄大な景観が広がる。

堤防沿いのサイクリングロードを過ぎると、出雲市の市街地に入り、高瀬川沿いの道を進む。高瀬川は江戸時代に作られた出雲市大津町~旧大社町荒木地区に至る約12kmの農業用水路であり、市内の水運の中心として利用されてきた。柳並木が続く沿道には、創業100年を超える老舗の染物店や商家、お寺などが軒を連ね、風情ある町並みだ。

 
江戸時代に水運で栄えた出雲の市街地は、運河沿いの風情のある道だ。いまも大きな商家が残る
江戸時代に水運で栄えた出雲の市街地は、運河沿いの風情のある道だ。いまも大きな商家が残る
高瀬川沿いに位置する藍染め工場「長田染工場」では、工場内の見学や作品の購入も
高瀬川沿いに位置する藍染め工場「長田染工場」では、工場内の見学や作品の購入も


出雲の市街地を抜けて、5kmほど進むと日本海に到達する。運がよければ、日本海に沈む美しい夕日を眺めることもできる。出雲路自転車道の終点に位置する「稲佐の浜」は日本のなぎさ100選にも選ばれている景勝地で、浜の中心部は「べんてんさん」と呼ばれる島が鎮座している。全国八百万の神々をお迎えする浜としても有名。

そして、ついに今回のゴール地点、出雲大社に到着。出雲大社は縁結びの神様として知られ、「平成の大遷宮」と呼ばれる改修事業を終え、生まれ変わったばかり。

 
出雲路自転車道も終盤に差しかかり、日本海に面したルートに変わる
出雲路自転車道も終盤に差しかかり、日本海に面したルートに変わる
日本のなぎさ100選にも選ばれている「稲佐の浜」まで来ると、今回のゴールはもうすぐだ
日本のなぎさ100選にも選ばれている「稲佐の浜」まで来ると、今回のゴールはもうすぐだ
今回のツアーの目的地、出雲大社に到着。無事日没までにたどり着きました!
今回のツアーの目的地、出雲大社に到着。無事日没までにたどり着きました!

レール&サイクルでまったり帰る

出雲大社への参拝を終えるとすっかり日が暮れてしまった。今回は一畑電車の出雲大社前駅からレール&サイクルで、スタート地点に戻る。同駅の駅舎はモダンな洋風建築となっており、国の登録有形文化財に指定されている。

出雲大社前駅から松江しんじ湖温泉駅までは、約1時間の電車旅だ。一畑電車は思った以上に揺れるので、大事な自転車を転倒させないように気をつけよう。途中、川跡(かわと)駅で乗り換えて、松江しんじ湖駅に到着すると、ストアはもうすぐ。このままストアに返却するもいいが、1泊2日で借りて、宿泊施設まで持ち帰り、翌朝は松江市内を自転車で散策するのもオススメだ。近隣の「ホテル一畑」のロビーには自転車専用のラックが備えられている。

 
旅の最後は一畑電車のレール&サイクルで出雲大社前駅から松江市内に戻る。持ち込み料金は310円
旅の最後は一畑電車のレール&サイクルで出雲大社前駅から松江市内に戻る。持ち込み料金は310円
ストア近隣の「ホテル一畑」では、宿泊客向けにサイクルラックを設置。カギの貸し出しも行っている
ストア近隣の「ホテル一畑」では、宿泊客向けにサイクルラックを設置。カギの貸し出しも行っている

サイクリングのあらゆる要素が詰まったルート

やまなみ街道の起点・松江しんじ湖駅をスタートして、湖畔沿いの道、堤防沿いの道、出雲市内の風情ある道、日本海に面する海岸沿いの道を味わい、出雲大社に参拝したあとは、一畑電車に自転車を載せてスタート地点へ。

たった50kmのサイクリングコースの中に自転車のさまざまな楽しみ方が凝縮されていて、筆者自身また訪れたくなるようなスポットがたくさんあった。島根県の人々は皆温かく、地元の人との触れ合いもいい思い出となった。今後、やまなみ街道を軸としてますますサイクリスト向けの環境作りが進められる山陰エリア。一度行っておいて、損はないだろう。

 
今回のツアーに参加した地元サイクリストの東郷武臣さん(写真左)、島田恭輔さん(写真右)「走りやすくて最高のルートです。県外からきた方にも自信を持ってオススメします!」
今回のツアーに参加した地元サイクリストの東郷武臣さん(写真左)、島田恭輔さん(写真右)「走りやすくて最高のルートです。県外からきた方にも自信を持ってオススメします!」

ジャイアントストア松江店・店長に直撃インタビュー

元々、松江市内でジャイアントを取り扱っている自転車店で勤務していた店長の来海洋文(きまち・ひろふみ)さん。ストアを開こうと決心してから、わずか1年で開店にこぎつけた熱意ある人物だ。近年、サイクリストが増えつつある山陰エリアで、新店をオープンした来海店長にストアにかける想いを聞いてみた。

CS:今回のストアのコンセプトを教えてください。

来海店長:このストアのコンセプトは観光と販売店の融合なんですけれども、柱としてはレンタサイクルをやっていきたい。そこがサイクリング人口を増やすのに必要な要素ではないかと考えています。なかなかいきなり最初からロードバイクというのは敷居が高いので、今回は一番最初にクロスバイクが目に入ってくるような店内の配置にしました。


CS:店の外壁に島根県付近の地図が載っているのも特徴的ですね。

来海店長:他店でも外壁にマップが掲載されている店舗が他にもありますが、他のストアと比べて広域の地図が載せてあるんですよ。しまなみ海道のエリアまで載っています。この山陰エリアは広域連携も見ていますので、鳥取県の境港市や大山エリアなども地図に組み込んでいます。


CS:今回プレスツアーで走ったコースは他地域のサイクリストにもオススメできますか?

来海店長:初心者の人にも優しいコースだと思います。一畑電車がある関係で、途中でもリタイアしやすく、コースは全体的にフラットなので、天気がよければ遠くまで一望できる、光のあたり方によっては神々しく見えるので、ここから出雲大社にいくんだなぁという雰囲気は高まると思います。そういったロケーションを楽しんでほしいです。


CS:今後の抱負を教えてください。

来海店長:ストアを開こうと決めてから約1年。トントン拍子にコトが進んだので、まだまだスタッフがお客さんの求めるレベルに追いついていません。お客さんと一緒に成長していきたいと考えています。そのためには、サイクリングをする土壌作りが大切だと感じています。まずはこの土地を走るサイクリストがいないと、他のエリアの人は走らない。「いっぱいサイクリストがいる」というイメージがあると「走ってみようかな?」ってなると思うんです。まずは、クロスバイクのラインナップを充実させて初心者に乗ってもらいたいです。

 
店長の来海洋文さん(写真左)、オープン初日は奥様のなな恵さんも店に駆けつけた(写真右)
店長の来海洋文さん(写真左)、オープン初日は奥様のなな恵さんも店に駆けつけた(写真右)

ジャイアントストア松江 店舗情報

最後に「ジャイアントストア松江」の店舗情報を紹介する。レンタサイクルは、原則事前予約となっているので、利用の際は要注意。バイクをまだ持っていない人でも気軽に立ち寄れるので、気になった方はまずストアに行ってみよう。

ジャイアントストア松江 
〒690-0874 島根県松江市中原町31-4(一畑電車 松江しんじ湖駅)
TEL 0852・61・3196
営業時間/9時~20時
定休日/火曜日
駐車場/5台
店舗面積/49坪
http://giant-store.jp/matsue/


バイクレンタル料金
●ロードカーボンプレミアム:9000円(5時間)、1万3000円(日帰り)、2万円(1泊2日)、1万400円(追加料金/日)、3000円(超過料金/時)
●ロードカーボン:5000円(5時間)、7000円(日帰り)、1万2000円(1泊2日)、5600円(追加料金/日)、1600円(超過料金/時)
●ロードアルミ:3500円(5時間)、5000円(日帰り)、8000円(1泊2日)、4500円(追加料金/日)、1100円(超過料金/時)
●クロスバイク:3000円(5時間)、4000円(日帰り)、6500円(1泊2日)、3500円(追加料金/日)、900円(超過料金/時)
●キッズ(135cm~150cm):2000円(5時間)、3000円(日帰り)、5000円(1泊2日)、2500円(追加料金/日)、500円(超過料金/時)

※料金はすべて税抜
※保険料含む
※ヘルメット・ライトなどのアクセサリ類はバイクとセット。持ち込みも可能だが、ヘルメット無しでは貸出不可

(レンタルバイク台数)
●ロードバイク:全6台
●クロスバイク:全12台
●キッズバイク:全2台


* 今回の関連記事は9月20日発売予定のサイクルスポーツ11月号でも掲載予定!お楽しみに。

 
ストアの外壁には島根県を中心とした山陰エリアのマップが描かれている
ストアの外壁には島根県を中心とした山陰エリアのマップが描かれている