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アルプス最終日のツール第20ステージはイサギレが逃げ切り優勝/マイヨ・ジョーヌはフルームがキープ!

レース
 
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月23日にメジェーブからモルズィヌ・アボリアズまでの146.5kmでアルプス最終区間の第20ステージを競い、スペインのヨン・イサギレ(モビスター)が逃げ切って区間初優勝した。

峠を4つ越えるアルプス最終日は雨で気温も低く、厳しいレースになったが、前日の落車で負傷したにもかかわらず英国のクリストファー・フルーム(スカイ)はメイングループでゴール。マイヨ・ジョーヌを守って明日はパリに凱旋する。

この日は今年のツールのスーパー敢闘賞が決まる日で、1票は敢闘賞のTwitterで投票が行われ、ハーリンソン・パンタノ(IAM)が選ばれた。しかし、主催者が選んだ審査員による残り5票で、世界チャンピオンのペーテル・サガン(ティンコフ)が3票を獲得。サガンが今年のスーパー敢闘賞に選ばれた。
 

冷たい雨のアルプス最終ステージ

最初のアラビス峠で先行したドヘント(Photo: YAZUKA WADA)
最初のアラビス峠で先行したドヘント(Photo: YAZUKA WADA)
集団がアラビス峠を通過した後、雨が降り出した(Photo: YAZUKA WADA)
集団がアラビス峠を通過した後、雨が降り出した(Photo: YAZUKA WADA)
アルプス最終日の第20ステージは175選手が出走。スタート前には前日にドイツのミュンヘンで起きた銃乱射事件の犠牲者を悼み、1分間の黙祷が行われた。

オフィシャルスタートの合図と同時にアタックしたのは、地元フランスのシルバン・シャバネル(ディレクトエネルジー)だった。このアタックに次々と選手が合流し、最初に通過するカテゴリー2のアラビス峠の登坂が始まる2km手前で先頭は19人になっていた。

メイン集団は分裂し、先頭グループはさらに人数が増えた。そこから単独でアタックしたのはトーマス・ドヘント(ロット・ソウダル)だった。彼はアラビス峠の山頂を、後続に30秒差を付けて通過。集団は2分以上後方だった。アラビス峠の下りは雨で、気温は15度Cと低かった。

ドヘントは後続に吸収され、33.5kmの中間スプリント地点はマイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)が先頭で通過し、ドヘント、マイヨ・ベールのペーテル・サガン(ティンコフ)が続いた。ここで集団は3分遅れていた。

カテゴリー1のコロンビエール峠の登坂が始まったとき、先頭は30人の大きな集団で、メイン集団に4分差を付けていた。そこにはビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ)、ハーリンソン・パンタノ(IAM)、イルヌール・ザカリン(カチューシャ)、ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)、ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ)、ピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック)も加わっていた。

45.5km地点のコロンビエール山頂はドヘントが先頭で通過。集団は4分40秒遅れていた。雨の下り坂を終えた時点で先頭は8人になっていた。カテゴリー1のラマズ峠が始まり、ゴールまで残り62kmでサガンが仕事を終え、先頭はニーバリ、クロイツィーゲル、ヨン・イサギレ(モビスター)、コスタ、パンタノ、アラフィリップ、アレクシス・グジャール(AG2R・ラモンディアル)の7人になった。

グジャールはパンクで一度遅れたが、すぐ先頭グループに戻り、ラマズ峠山頂まで6kmでアタックして先行した。しかし、残り3kmで後続に捕まってしまった。

山頂まで1kmでドヘントがアタックし、ゴールまで残り53kmの山頂をトップで通過した。逃げと集団とのタイム差は6分にまで広がっていた。

ラマズ峠の下りで、先頭グループからアラフィリップとパンタノがアタック。ゴールまで残り22km、10km続くカテゴリー超級のジュー・プラーヌ峠の登坂が始まった時点で、先頭の2人と追走グループのタイム差は1分半、集団とは5分だった。

メイン集団では、上りでファビオ・アルー(アスタナ)が遅れ始めていた。それを受けて、追走グループからゴールまで残り19kmでニーバリがアタック。ジュー・プラーヌ山頂まで残り3.5kmで先頭の2人に追いついた。

ゴールまで残り15kmでニーバリは単独で先頭に立ったが、頂上を通過する2km手前でイサギレとパンタノが追いつき、3人でカテゴリー超級の山頂を通過した。

ところが雨の下り坂で、2番手を走っていたパンタノがバランスを崩してコースアウトしそうになり、後方を走っていたニーバリもペースダウンした。その間に先頭のイサギレは独走を開始した。リオデジャネイロ・オリンピックの調整のためにツールを走っていたニーバリは、雨の下り坂で危険を冒しはしなかった。

メイングループでは、ジュー・プラーヌ峠でアタックしたバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が吸収された後、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)がアタック。そのまま単独でゴールを目指した。

雨の中、ゴールまで残り3kmでイサギレはニーバリに27秒差を付けて独走を続け、そのまま単独でモルズィヌ・アボリアズのゴールに飛び込み、スペインに今年のツールで初めての区間優勝をもたらした。

ロドリゲスはメイングループよりも48秒先行してゴールし、総合11位から総合7位に浮上した。一方、ジュー・プラーヌ峠で力尽きたアルーは17分38秒も遅れてゴール。総合6位から13位まで後退してしまった。
 
 
■区間初優勝したイサギレのコメント
「逃げグループにはたくさんの有力な選手がいた。だから彼らよりも前でゴールして、区間を勝ててすごくハッピーだ。下りでニーバリを打ち負かすことができたのは、自分の競技キャリアで重要なことだった。でも、パンタノも下りはとても上手かった。

僕たちは“黄色い夢”を持ってここに来たが、フルームは強すぎた。今日が終わって、僕たちが表彰台の一角を守ることができて、区間1勝し、チーム成績も取れて幸せだよ」


■3度目のツール優勝が確実となったフルームのコメント「ヒザも背中もすごく痛かった。けれど僕の脚は、昨日落車した後よりも今日の方がよかった。ケガをしいても4分の差があったので、それが息をつけるゆとりを産んだ。僕はただ、前にいればよかった。

フィニッシュラインを通過した時は、とてもホッとしたよ。この24時間はすごいカオスだったが、チームメートたちは僕がマイヨ・ジョーヌを守れるようにすごく働いてくれた。素晴らしい気分だ。最初に勝った時みたいだよ」
 

 
3週間のグラン・ブクルもいよいよ最終日。7月24日はシャンティイからパリ・シャンゼリゼまでの113kmで凱旋の第21ステージが行われる。相次ぐテロ事件を受け、シャンゼリゼ大通りのサーキットでは厳戒態勢の下、レースが行われる予定だ。
 

 
MAP : ASO
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■第20ステージ結果[7月23日/メジェーブ~モルズィヌ・アボリアズ/146.5km]

1 ヨン・イサギレ(モビスター/スペイン)4時間06分45秒
2 ハーリンソン・パンタノ(IAM/コロンビア)+19秒
3 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+42秒
4 ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ/フランス)+49秒
5 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)+1分43秒
6 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ/チェコ)+1分44秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(ロトNL・ユンボ/オランダ)+2分30秒
8 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+3分24秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+4分12秒
10 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分12秒
11 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分12秒
12 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分14秒
13 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+4分14秒
20 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)
36 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+9分49秒
56 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+17分38秒
114 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+30分08秒
■第20ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)86時間21分40秒
2 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分05秒
3 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分21秒
4 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+4分42秒
5 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+5分17秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+6分16秒
7 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+6分58秒
8 ルイ・メインティス(ランプレ・メリダ/南アフリカ)+6分58秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+7分04秒
10 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ/チェコ)+7分11秒
11 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+13分13秒
13 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+19分20秒
117 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+3時間57分06秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ハーリンソン・パンタノ(IAM/コロンビア)
(http://www.letour.fr/us/)
 








ツール第20ステージの公式ダイジェスト映像


Summary - Stage 20 (Megève / Morzine) - Tour de... 投稿者 tourdefrance_en