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ツール第15ステージはIAMのパンタノが逃げ切って区間初優勝!

レース

第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月17日にブール・ガン・ブレスからキュロズまでの160kmで、ジュラ山脈での山岳区間となる第15ステージを競い、IAMサイクリングのハーリンソン・パンタノが逃げ切って区間初優勝し、今季で活動を終了するチームに初のツール区間優勝をもたらした。

パンタノはゴールまで残り8.5kmで先頭のラファウ・マイカ(ティンコフ)に追いつき、最後のゴール勝負を制して区間優勝した。マイカは区間優勝を逃したが、この日の逃げで山岳賞のマイヨ・アポワを取り戻している。

メイングループは3分7秒遅れでゴール。マイヨ・ジョーヌは英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が守った。総合上位では、総合6位の米国のティージェイ・バンガーデレン(BMC)が最後の峠でメイングループから遅れてしまい、総合8位に後退している。
 
 
カテゴリー超級のグラン・コロンビエール峠を上るマイヨ・ジョーヌ集団(Photo: YAZUKA WADA)
カテゴリー超級のグラン・コロンビエール峠を上るマイヨ・ジョーヌ集団(Photo: YAZUKA WADA)

マイカが2度目のマイヨ・アポワ獲得に動いた!

第15ステージは184選手が出走。ベルギーのイェンス・デブースル(ロット・ソウダル)が出走しなかった。彼は前日のステージでチームカーにボトルを取りに行った時に落車して負傷したが、そのままレースを続けて完走していた。しかし、ゴール後の検査で鎖骨を骨折して肩甲骨にもヒビが入っていたことがわかった。

ジュラ山脈の峠をいくつも越えるステージは、スタートからアタックがつづき、最初のベルティアン峠(カテゴリー1)の山頂まで1km地点でポーランドのマイカとロシアのイルヌール・ザカリン(カチューシャ)が集団から抜け出した。

マイカが先頭で山頂を通過した後、2人は追走グループに捕まり、先頭は30人になった。そこにはビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)、ピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック)、トーマ・ボークレール(ディレクトエネルジー)が加わっていた。

総合成績が最も上位だったのはスイスのセバスティアン・ライヒェンバッハ(FDJ)で、11分41秒遅れの総合17位だった。先頭グループは30km地点でチームスカイがコントロールする集団に1分差を付け、そのリードは8km先では4分にまで開いていた。

集団ではスペインのヘスス・エラダ(モビスター)がリタイア。彼は朝、熱があって不調だった。これでナイロ・キンタナ(モビスター)はアルプスの前に大事な山岳アシストを失ってしまった。

52km地点のサペル峠(カテゴリー2)はボークレールが先頭で山頂を通過し、マイカは2位で通過。つつぐカテゴリー3のピセループ峠でもマイカは2位通過でポイントを稼ぎ、山岳賞総合で暫定首位に返り咲いた。この日は最初の2時間の平均時速が37km/hだった。

79km地点のロシェット峠(カテゴリー3)を通過した後、先頭グループからオランダのディラン・ファンバールレ(キャノンデール・ドラパック)がアタックして先行。そこにドゥムランが合流したとき、集団は7分後方を走っていた。

ドゥムランはゴールまで70km地点で1人になったが、ニーバリ、パンタノ、アレクシス・ビヤモーズ(AG2R・ラモンディアル)が合流し、残り62kmで先頭は4人になった。そして全長12.8kmのグラン・コロンビエール峠(カテゴリー超級)の登坂がスタートしたとき、集団とのタイム差は8分40秒にまで開いていた。
 
グラン・コロンビエール峠を上るザカリンとマイカ(Photo: YAZUKA WADA)
グラン・コロンビエール峠を上るザカリンとマイカ(Photo: YAZUKA WADA)
グラン・コロンビエール峠で先頭を追うアラフィリップ(Photo: YAZUKA WADA)
グラン・コロンビエール峠で先頭を追うアラフィリップ(Photo: YAZUKA WADA)
最後の下り坂を疾走するバルデ(Photo: YAZUKA WADA)
最後の下り坂を疾走するバルデ(Photo: YAZUKA WADA)
グラン・コロンビエール峠で先頭の4人は追走グループに捕まり、ここでニーバリやドゥムランは脱落した。そこから山頂まで4.3kmで、マイカとザカリンがアタックし、2人で山頂を目指した。

カテゴリー超級の山頂はマイカがトップで通過し、さらにポイントを加算した。メイン集団はディエゴ・ローザ(アスタナ)が先頭を引き、チームスカイの山岳アシストであるセルヒオ・エナオが遅れていた。

グラン・コロンビエール峠の下りで、マイカとザカリンにパンタノとジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ)が追いつき、ゴールまで残り42kmで先頭は4人になった。

下りでアラフィリップが一時先行したが、機材故障に見舞われて止まってしまった。その間にマイカとパンタノが先頭に立った。この日は一度フィニッシュラインを通過する、ツールではめずらしいコースレイアウトで、2人はゴールまで残り24kmのフィニッシュラインを後続に1分近いタイム差を付けて通過した。

最後のラセ・デュ・グラン・コロンビエール峠(カテゴリー1)の登坂が始まり、先頭はパンタノが遅れてマイカの一人旅になった。マイカはそのまま独走を続け、先頭でカテゴリー1の山頂を通過したが、追走するパンタノとライヒェンバッハとのタイム差はたった22秒しかなかった。

追走グループでは上りでザカリンが止まり、機材トラブルかと思われていたが、実はコンタクトレンズが外れてしまい、それを付け直さなければならなくなっていたのだと、レース後明らかになった。

6分半後ろのメイン集団では、ラセ・デュ・グラン・コロンビエール峠でファビオ・アルー(アスタナ)がアタックし、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が追いついて2人で先行した。しかしすぐにチームスカイに引き戻されてしまった。

地元フランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)もアタックしたが、成功はしなかった。しかし、この動きでマイヨ・ジョーヌ集団からは米国のバンガーデレンが脱落してしまった。

先頭ではゴールまで残り8.5kmでマイカがパンタノに追いつかれてしまった。2人は数10秒差のアドバンテージを守りきり、最後はゴールスプリントでパンタノが区間初優勝を獲得した。



 
マイカは2014年に山岳賞を1度獲得しているが、その時もエースのコンタドールが途中リタイアしていた                                               
マイカは2014年に山岳賞を1度獲得しているが、その時もエースのコンタドールが途中リタイアしていた                                               
■ツールで区間初優勝した27歳のパンタノ「信じられない。夢が叶ったんだ。僕はこの勝利のためにツールにやって来たけれど、現実になるとは思っていなかった。すごくうれしいよ。チームメートに感謝するためにやり遂げた。この勝利は妻と、病気でリタイアしなければならなかったチームキャプテンのマティアス・フランクに捧げる」

■区間優勝を逃したマイカのコメント「今日は勝てると思ったのに、最後に勝てなかった。ゴールが山頂だったら勝っていただろう。4日前に落車して、まだ腕が痛むんだ。だから僕はダウンヒルであまり危険を冒したくなかった。ツールで4度目の区間優勝がしたかった。でもまだ終わってはいない。アルプスではもっとチャンスがあるにちがいない。マイヨ・アポワを取り戻せてうれしい。これを守れるように努力するよ」
 
 
7月18日は、モワラン・ザン・モンターニュをスタートし、スイスに越境して首都ベルンにゴールする209kmの第16ステージが行われる。終盤にカテゴリー4の山岳ポイントが1カ所だけある平坦区間だが、ゴール手前2kmには6.5%の坂がある。ベルンと言えばファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)の故郷なので、彼がどんな走りを魅せてくれるのか楽しみだ。
 
 
MAP : ASO
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■第15ステージ結果[7月17日/ブール・ガン・ブレス~キュロズ/160km]

1 ハーリンソン・パンタノ(IAM/コロンビア)4時間24分49秒
2 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
3 アレクシス・ビヤモーズ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+6秒
4 セバスティアン・ライヒェンバッハ(FDJ/スイス)+6秒
5 ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ/フランス)+22秒
6 セルジュ・パウエルス(ディメンションデータ/ベルギー)+25秒
7 ピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック/フランス)+25秒
8 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+1分30秒
9 ダニエル・ナバロ(コフィディス/スペイン)+1分30秒
10 トムイェルテ・スラフテル(キャノンデール・ドラパック/オランダ)+2分8秒
14 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+3分07秒
30 ティージェイ・バンガーデレン(BMC/米国)+4分35秒
102 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+22分40秒
■第15ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)68時間14分36秒
2 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+1分47秒
3 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+2分45秒
4 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分59秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分17秒
6 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分04秒
7 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+4分27秒
8 ティージェイ・バンガーデレン(BMC/米国)+4分47秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+5分03秒
10 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+5分16秒
131 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+2時間34分13秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
(http://www.letour.fr/us/)
 
 
グラン・コロンビエール峠からはモン・ブランが見えた。アルプス山岳決戦は近い(Photo: YAZUKA WADA)
グラン・コロンビエール峠からはモン・ブランが見えた。アルプス山岳決戦は近い(Photo: YAZUKA WADA)






ツール第15ステージの公式ダイジェスト映像


Summary - Stage 15 (Bourg-en-Bresse / Culoz... 投稿者 tourdefrance_en