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自転車とクルマの間隔「1.5m以上」、海外では当たり前?

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愛媛県は、車道を走る自転車との間隔を1.5m以上開けるよう車の運転者に求める「思いやり1.5m運動」を昨年11月から実施している。自転車との間隔確保を呼びかける取り組みは国内初とみられるが、海外ではすでに浸透をみせている。
 

法令は「安全な速度と方法で」と規定

道路脇で「1.5m」と書かれたプラカードを掲げる、愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」(愛媛県ウェブサイトから引用)
道路脇で「1.5m」と書かれたプラカードを掲げる、愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」(愛媛県ウェブサイトから引用)


県は「愛媛県自転車安全利用促進条例」で、車の運転者に対して自転車との安全な間隔の確保や徐行を求める。また道交法も「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定める。しかしいずれの法令も、安全とされる間隔について具体的な基準は示されていない。

そこで県では、海外の事例などを参考に「1.5m以上」と定め、周知に乗り出した。県が定める毎月10日の「自転車安全利用の日」に街頭キャンペーンを実施。2月10日には、今治市内の道路脇で県のゆるキャラ「みきゃん」も参加して「1.5m」などと書かれたプラカードを掲げた。県では「来年度以降は取り組みを強化したい」と話している。
 

台湾ではシール配布

台湾で配布されているステッカー。1.5m以上の間隔を保つよう呼びかける(小林氏提供)
台湾で配布されているステッカー。1.5m以上の間隔を保つよう呼びかける(小林氏提供)


「1.5m以上の間隔があれば、転倒しても車と接触する危険が減る。また、車のドアが急に開いても避けやすい。欧米や韓国、台湾などでは浸透が進んでいるようだ」。NPO自転車活用推進研究会の小林成基理事長はこのように話す。小林氏が先日訪れた台湾ではステッカーを配布。車の後部などに貼られていたという。

道交法は、自転車は車道左側を通行するよう定める。ところが現実には、車が自転車との間隔を十分に保たないまま通行する例も多い。車への恐怖心から、歩道を通行する自転車も後を絶たないとみられる。一方、道路事情等によっては車が1.5m以上の間隔を空けるのが難しい場合もある。

いずれにしても、車と自転車との接触事故を避ける上で、一定の間隔を確保して通行するのが安全であることは言うまでもない。小林氏は「国内で普及させるには、行政が率先して啓発の取り組みを行う必要がある」と指摘する。(斉藤円華)

<参考サイト>
思いやり1.5m運動(愛媛県)
https://www.pref.ehime.jp/h15300/1-5m/1-5m.html